いい加減な営業マン

 モデルルームで、見学者が「上階の音は大丈夫ですか」と聞いたら、「スラブ厚が25センチもあるので心配ないですよ」と答えた営業マン。「バルコニー側の隣地に、将来マンションが建つ可能性はありませんか」と聞くと、「日照権がありますから心配いりません」と説明した営業マン。これは、本当にあった最近の話である。

 少し勉強した営業マンなら、笑ってしまうような回答である。「スラブが厚くても、他の条件次第では、薄いマンションと変わらない。音の聞こえ方は様々で、いろんな原因が考えられるので、遮音対策に力を入れたマンションでも、絶対大丈夫ということはない。ただ、このマンションの遮音対策は、これこれしかじかとなっておりますので、性能は高い方です。とはいえ、マンションは、入居者が互いに気を付けて暮らすことが大切である。こうした答えが用意できていない営業マンであった。
 
 「日照権があるから」も、無知な人は「そうなんですか?」と反応しばがらも半信半疑の体であった。将来の可能性としては、市街地ならどこにも建つのが建物である。ただ、都市計画がどうなっているかによって建つ高さや規模が異なるのである。隣地の面積や所有者がどのような人かなどによって、ある程度まで予想はできる。こうしたことも、少し勉強したら簡単な説明である。
 だが、「音はします」や「建物が建つ可能性があります」と答えたら買ってくれないという恐怖心が働くのであろうか。単に知識不足からの説明なのだろうか。追求はしなかったが、このような、お粗末な営業マンはマンション現場には少なくないようだ。中途採用の新人なのかもしれない。会社の教育が悪いのか、本人の勉強不足なのか。

 いずれにせよ、納得する答えをもらえないときは、「分かる人をお願いします」と言うべきである。
  今日はここまでです。  三井健太