完成済みマンションに飛びつくな!

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
マンションの完成時期は1年間を通して見ると、圧倒的に2月、3月が多いものです。この時期に完成させて3月中に引き渡しを済ませたいというのが売主の計画ですが、その理由はユーザーが学校の新学期に間に合わせたいというニーズからです。転校を伴う場合、年度の変わり目が良いからですね。売主側においても、多くは3月が決算期なので、4月に引き渡しが延びないようにしたいのです。

さて、この時期になると完成マンションの販売キャンペーンが増えます。既に完成済みの物件と、1月、2月に完成する物件を合わせて、「実物がご覧になれます」という触れ込みのマンションが増加するのです。
東京では「ビューラウンジや屋上テラスからスカイツリー見学会」なども挙行されるでしょう。
この時期、完成済みマンションを検討する人が多くなることにちなんで、今日はこの話題を選んでみました。

●完成済みマンションのメリット
完成済みのマンションには、以下のようなメリットがあると考えられます。

①実物を見て購入できる
室内からの眺望や日当たりなどは勿論のこと、マンション全体、すなわち共用施設や敷地内公園、セキュリティシステム、屋上テラスなどからの眺望などを確認・実感してから判断できるので、未完成マンションを購入するときの「想像して購入する」ことに比べたら安心感が違います。

②住宅ローン変動リスクがない
1年先の未完成マンションを購入するような場合は、建物完成後の引き渡し時における金利で住宅ローンが実行されるため、契約時点でローン金利がどう変動するか分からないという心配が大きい。その点、完成マンションは現在金利で利用できるため、返済計画の狂いなく購入できるという安心感があります。

③値引きや物品サービスなどの特典が付くこともある
建物が完成していて在庫を抱えている場合、売主は建築費の支払いが迫っているため、早期に完売したいという思惑があります。販売期間が長期化していることが多く、そこに固定された人的資源の効率化や販売コストの肥大化を抑制することも命題であるため、早期に完売したいと考えます。そこで、販売促進のための各種サービス策が登場することになるのです。
単純な値引きや、家具・家電といった物品サービスが一般的ですが、これらの金額やサービスの内容によってはお買い得になる場合もあると言えます。

●完成済みマンションの傾向
メリットがあれば必ずデメリットもあるもの。完成済みマンションのデメリットはどのようなものでしょうか?

①売れ残りである場合が多い
完成しているマンションが販売中というのは、多くの場合で売れ残りを意味します。普通は、完成前の完売を目論み、かつ達成できるものですが、いくつかの事由で完売に至らない場合がしばしばあります。
念のため補足しますが、完成済みなのに売れ残りではないという例外もあります。それは、モデルルーム建設ができないためなどで、建物が完成してから販売を始めるケースがあります。また、500戸もの大型マンションなどでは、販売計画と建物工事スケジュールと合致しない(つまり、一定期間内の販売戸数が多過ぎる)ために何割かの住戸が未発売のままで建物の竣工が先に来るというケースもあります。

②間取りのセミオーダーやオプションが殆んど不可能
マンション全体は気に入ったが、間取りだけが気に入らないという場合、未完成の場合なら設計変更ができます。また、設備やインテリアカラーを好みで追加したり交換したりも可能です。完成済みの場合は、これらが不可能になります。
正確に言えば、一度壊してからの変更になるわけですが、その場合は、一旦引き渡し(代金全額を支払い)の後に自己負担で工事することなる場合が多いのです。

③駐車場が残っていないこともある
最近は車を保有しない傾向も強くなっていますが、マイカーを必要とする人には不可欠の駐車場が空いていないこともあります。

●完成済みマンションを選択するときの留意点
メリットとデメリットが分かったところで、完成済みマンションを検討する場合は、どのような所に留意するべきかの話題に移ります。

①価格が高い可能性がある
売れ残りマンションは、既述のように物件が優良であっても数が多いために残ってしまったという場合があります。しかし、価格をもっと安く設定できていたら爆発的に売れたでしょう。爆発的にとは、短時間で完売ということを意味します。
ところが、それは簡単なことではないのです。大型マンションでは、スケールメリットを活かして商品の魅力の割には安いという判定や評価を受けることはあっても、相場の価格から大幅に安くするというのは難しいのが実態です。
このため、一定期間に売れる戸数には限度が生じます。つまり、割安ではあるけれども残ってしまうのです。

一方、単純に価格が割高という物件があります。内容の割に価格が普通(相場)というケースです。戸数もさほど多いとは言えないのに、残ってしまった物件がそうですが、多数の割合で残っている場合は、価格がかなり高いのでしょうし、ほんの数戸の売れ残りであれば、そうでもないと考えられるわけです。
しかし、何戸残っているかを売主は秘匿するので、買い手の方から見抜くのは難しいのが実態です。いずれにせよ、価格が高いか普通かを検証することが重要です。

②条件の合致しない住戸しか残っていない場合が多い
完成済みマンションでも、条件の良い住戸が残っている場合も稀にありますが、売れ残るべくして残っている場合が多いものです。例えば、使いにくい間取りの住戸、日当たりの悪い位置の住戸、前面道路の騒音公害をまともに受ける位置の住戸、広過ぎるなどの理由で価格が特別に高い住戸等々。
実物を確認できるので、これらの欠点はすぐに目に付くことでしょう。ところが、見過ごす場合もあります。例えば日当たり。曇りの日に見学したら、照明によって気付かないまま見学を終わることがあります。また、交通量の多寡は、曜日や時間帯によって変化します。多くの場合、休日に見学するため交通量が少ないときに当たるからです。
このようなことに注意しながら、何故その部屋が売れ残っているかをよく検証することも大事です。

●どうすれば完成済みマンションを適正に購入出来るか
完成済みマンションを気に入って購入したいというとき、最後の壁は、あとひとつか二つの不満解消と価格の問題になるようです。
不満とは、例えばある部屋の収納スペースが足りないとか、和室でなく洋室ならいいのにといったことです。この種の不満は、何とか売主に相談または要望すれば叶えられるものです。

問題は価格です。予算的に問題はないが、どうも割高な感じがするとか、高いかどうかは分からないが、少しでも安く買いたいというホンネは誰にもあるものです。

そこでネゴシエーションへのチャレンジです。詳しいテクニックは、WEBサイト(三井健太のマンション相談室)の「無料提供資料・請求NO.18 新築マンションの値切り方」をご覧いただきたいですが、これは是非実行してみましょう。
早期完売を目論む売主は、きっと貴方の要求の何割かを呑むはずですから。