管理費が安いマンションは要注意

筆者の住むマンションは20戸台の小型低層マンションである。毎月の管理費がとても高い。これは仕方ないところである。管理人さんが週6日の勤務なので、平均月収30万円を世帯数で割ると、1世帯当たり1万円余となる。つまり、管理人人件費だけでも1万円以上も負担する計算になる。
 地下にも駐車場があるから共用部分の面積が広く、その分だけ管理対象も広いせいだろうか、細かく分析はしていないが、それにしても高いような気がする。
 管理委託先は大手の管理会社である。暴利をむさぼるような会社ではないと思う。だが、信頼しきっているのだろう。誰も追及もしないし、第3者の比較調査を検討する声もないらしい。関心がないのこもしれない。
修繕積立金も長期の修繕計画達成にも十分らしく、心配する住居者はいないと妻は言う。
 
 さて、分譲マンションの総ストック数は全国で600万戸に達する。そのうち、築30年の古いマンションは今年中に100万戸になるという。老朽化は、新築された、その時から始まる。いつかは、寿命が来て建て替えるときが来る。だが、その手前で住むに耐えられない状態、いわゆるスラム化状態になる。これは、ある意味で仕方ない。問題は、その時期をどれだけ遅らすかという点にある。税法上は47年、実際は100年はもつというマンションだが、これはコンクリートの躯体だけの話であり、配管やエレベーター、機械式駐車場などの設備はもっと短い。屋根の防水コーティングも同様である。
 一定の周期で交換することが必要であるし、ひび割れなどは、隙間から雨水が入り込み鉄筋を錆させる要因にもなりかねないから、発見したら早い段階で補修をしなければならない。
 こうした点検は、素人ではできないから、管理会社に依頼して、適切な措置をお願いする。日々の管理と適切な修繕などを行うことは、マンションの寿命を延ばすために必須の作業である。
 当然ながら、費用はかかる。自主管理のマンションでは、適切な管理ができないはずである。毎月の費用は、後のまとまった費用支出を抑制することにもなる。一時金を徴収しようとしても、高齢化した所有者が徴収に応じられないこともある。若い人でも、中古万ションの購入という形で入居したばかりというときには、しばらくの間は応じられないことがあるからだ。勿論、法人化した管理組合が銀行から融資を受けて解決することもできる。しかし、返済は、管理費にプラスする形で行う。そこに抵抗する人もあり、話がまとまらない場合がある。そのために、大規模修繕に着手できないで老朽化が急進する。
 
 適切な管理費・修繕費が設定されているかどうか。これは、入居後もチェックしていくことが求められる。管理費が高いのは販売しにくいからと、分譲時に低く抑えるマンションがあるが、これは危険である。入居後に管理組合総会を開催して値上げを決議することは可能だが、現実は困難である。
 管理費や修繕積立金などが低いマンション(特に小型マンション)には要注意である。

 今日はここまでです。「三井健太のマンション相談室