新築マンションが足りない

 大幅に減っていた新築マンションの供給に幾分回復傾向が見られるようになった。2010年10月15日の新聞によれば、首都圏における上期(4月~9月)の発売戸数は前年同期比+24.5%の21,702戸となり、5年ぶりに前年実績を上回った。近畿圏も、31.3%増の11,306戸となった(不動産経済研究所調べ)。この分だと、年間で首都圏は4万戸を超えることになりそうだ。近畿圏も23,000戸近く行くかもしれない。
 しかし、この数字は大変低いものである。首都圏では、2006年で74,463戸、価格の高騰による販売不振で発売量が減った2007年でも61,021戸も供給されていたからだ。
 2008年も更に減少し、2009年には3万戸台まで大幅に減少したが、ようやく底を脱したということは言えそうなトレンドを見せている。販売も好調に推移している物件が多いように感じる。不動産経済研究所の調査でも初月契約率が70%を超える好調ラインを春先から維持している。

 景気が低迷する中、政府の浮揚策(金利引き下げや減税など)の後押しも手伝って、収入の安定している家庭を中心に、マンションを買いたいと考える人は多いのだが、供給が回復しているのは都心部であり、外周部は低調なままである。

 リーマンショック以後、中堅マンション業者が多数倒産したことが原因である。大手が販売するのは、都心の超高層マンションばかり、価格はファミリータイプなら5千万円を超える。欲しいのは3千万円台のマンションであるという人は、物件探しに窮する状態にある。
 倒産した業者の中には、支援企業によって営業を再開したところも何社か見られるものの、かつての勢いはもうない。大手業者が、積極的に郊外マンションを手掛け始めたという動きも聞かない。

 新築マンションが少ないせいであろう。最近は中古マンションを検討する人が増えているそうだ。しばらく、予算の少ない人は中古にも対象を広げて検討することが必須と言える情勢えある。
 中古マンションの在庫は新築に比べて多いから、丹念に探せば希望の物件に当たる可能性はある。ただ、在庫が多いということは、良いものが少ないために流通市場で長く滞留していることの裏返しである。
中古マンションは、現地に行ってみると、見学者を失望させる者が多いのだ。新築と比べると、価格は安いものの、飛びつくような感動は少なく、たまに良い物件にめぐり会っても、維持管理やアフターケアに関して不安なことも多く、踏み切れない場合も多い。

  折角の好機なのに、マンション探しは苦労が当分続くかもしれない。・・・

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