新築マンションの即日完売の裏は?

ブログテーマ:マンション購入に関する疑問や各種問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介/構成:①マンション選びの重大ポイント②不動産業者と営業マン③一戸建てかマンションか④郊外か都心か⑤持ち家か借家か⑥購入資金⑦その他の疑問・悩みなど・・・について毎月5と10の日に投稿しています。・・・・・・・・・・・・・・・マンション市況が好調さを取り戻しつつあるという。各種報道からも窺えることだが、その一端である「即日完売」物件が増えていることが注目される。
ところで、「即日完売」とは、どういうことだろうか?発売したその日に全部売れてしまうことはないはずだ。その疑問にお答えしよう。
マンション以外の商品では、事前の広告で話題になり、評判が高まった後に、いよいよ発売となったときに客が押し寄せて半日で完売する、早いものは5分完売といったことがある。
商品に対する前評判は、普通、次のような流れで膨らんでいくものである。
先ず、メーカーがプレス発表する。直ちにニュースとして流される。次には、ニュース以外の記事や番組として取り上げてもらうため、報道機関に限定した商品発表会を催す。マスコミ各社は、商品を詳細に分析して紹介する。メーカーは、ホームページで告知する。同時に、顧客リストや取引企業などにも知らせる。これらが、助走である。ここまでの反応を確認しながら、続いて宣伝広告を大々的に実施する。
こうして、問い合わせの数などから販売予測が確実なものになっていく。最近の顕著な例を挙げると、日産自動車の電気自動車「リーフ」は、12月の発売を前に8カ月も前にプレス発表しているが、評判は上々で、既に予約だけで目標台数は行くらしい。これまでには、ゴ―ン社長自ら雑誌のインタビューなどに応じながら、リーフの売り込みを図って来た。また、三洋電機のお米粒から作るパン焼き機「ゴパン」は、予約が殺到し、製造台数を大きく超える注文数を得た。このため、発売を延期する決定をしたという。どちらも、発売前には用意した商品が品切れ状態になる、すなわち即日完売が予想されるという。
このように、即日で完売するというのは、前もって宣伝をしておくことで、用意した数が即日でなくなる状態をいうわけである。
マンションでも同じことで、違いがあるとすれば、発売の前に商品をモデルルームの形で一般に公開することであろう。大抵の場合、発売の数か月前にモデルルームを公開し、様子を見ながら発売日を決めるということも違いと言ってよいかもしれない。
数か月前からの広告宣伝によって集まったモデルルーム見学者は、二度、三度販売事務所(モデルルーム)を訪れて発売日までに態度を決める。その結果、全住戸(商品は一つしかないのが不動産の特徴でもある)にそれぞれ買い手がつけば完売となる。それが発売当日に達成できたら、即日完売のマンションとなるのである。
補足すると、発売日というのは、土曜日から翌週の日曜日までの9日間を受付期間とし、最終日を発売日と定義することも多いので、厳密には即日完売というのはないのである。
さらに、最近の即日完売というマンション事業者の発表には、おかしなことがあることをお伝えしておこう。
マンションの総販売予定戸数が100戸あっても、25戸ずつ4回に分割して発売するという「期分け販売」のことだ。モデルルームを公開し、訪れた客と対応すれば、購入見込み数が読める。その数が期待はずれならば、発売戸数を減らすのである。つまり、当初は25戸を販売する計画だったが、買ってくれそうな見込み客が10人(売れそうな住戸が10戸)しかいないと判断できたら、発売戸数を10戸に絞れば、即日完売を達成できることになる。契約率は100%となる。
仮に、25戸発売して10戸しか売れなかったら、契約率は40%に過ぎない。ところが、10戸に発売戸数を絞れば、見せかけの「高契約率」を達成できるのである。従って、「おかげさまで好評裡に完売しました。とても良いマンションです」と売り手が次の発売に向けて広告に記載したり、見学者の言ったとしても、その話は眉唾ものと言わざるを得ないのである。
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