売れ行きを見て物件価値を判断するのも悪くはない

ブログテーマ:マンション購入に関する疑問や各種問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介/構成:①マンション選びの重大ポイント②不動産業者と営業マン③一戸建てかマンションか④郊外か都心か⑤持ち家か借家か⑥購入資金⑦その他の疑問・悩みなど・・・について毎月5と10の日に投稿しています。

人には、「よく売れていると聞くと、その商品が良い商品と錯覚してしまう」心理が働くもの。この真理を利用して、売り手は「売り上げナンバーワン」や「今一番売れています」といったフレーズを積極的に使う。どの業界、どの企業もよく使っている手法であることはご承知のとおりである。マンション業界も同様。だから、売れ行きが良いときは、例えば「第1期200戸即日完売」や「第1期、第2期連続即日完売」と謳うのが常套手段になっている。
人気物件と聞いて、買う気になりかけていた買い手の意思が固まる。つまり、最終決断を後押しするのが「人気」なのである。ごく普通の買い手の感覚である。

だが、次のような声を聞くと、ちょっと待てと言いたくなる。これは、某掲示板に書かれた買い手の怒りである。
「契約の時、販売状況は70%程度まで確かに進んでいましたが、入居してみると実際は30%も売れていないことが分かりました。売れ行きも良く、良いマンションと信じた私が悪いのかもしれませんが、業者に騙された感じがします。契約解除して退居したいのですが、それは無理と気付きました。今は、本当に悔しい思いで一杯です。こうした場合、どうしたら怒りが収まるでしょうか?」

人気がない物件は、売り手もそのことを隠す傾向がある。これは否めない。買い手心理に悪影響を与えるからだ。しかし、ここまで極端だと、不信感が募る。商品の質まで疑ってしまいかねない。業者の良識が疑われる。
さて、日本人には、「赤信号みんなで渡れば怖くない」と考える傾向が強いと言われている。みんなが良いと感じるマンションは良いマンションと感じるものなのである。これは、実は大事なことである。自分がいくら良いと感じても、一般受けしない物件は売却するときに買い手探しに苦労するからだ。

自宅のすぐ隣に建つ物件は、その人にとってはとても価値が高い。現在の生活パターンを変えなくて良いので、心理的負担が軽いからだ。子供の学校も変わらないだろうし、通勤にも問題ないだろう。近所づきあいしている人があれば、その人を含めて地域コミュニティーも変えなくていい。

しかし、その場所は一般に人気の地域であろうか。自分の住む場所を悪く思いたくないはずだが、客観的に見てどうなのだろうか。世間一般の物差しで「人気沿線・人気地域」なのであろうか。あるいは、広い地域から買い手を集めている人気物件なのであろうか。不人気な地域・不人気物件の場合は、買い手が近所の一部の人に限られてしまう。人気地域の場合は、周辺地域以外からも買い手を集めることができるので直ぐにも売れる。当然売値も強含みとなる。

このように考えると、分譲時点の売れ行きの良し悪しは、重要な判断指標と言えなくもない。不動産に関しては、「人は人」という独善(ひとりよがり)は賢明ではないということである。とすれば、売主の取りつくろった売れ行きではなく、本物の売れ行きをしっかりウォッチングする必要があることになる。露骨な言い方をすれば、業者のウソを見破る知恵が必要なのである。

何度か販売事務所を訪れてみよう。そのたびに売れている部屋の動きをチェックしておく。時系列で価格表に印を付けるだけであるが、それだけでも状況は分かる。抽選になる勢いのある物件なら問題はないのだが、それほどでもない物件の場合には要注意だ。

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