売れ残りマンションに福はあるか?

 3月をまたいで、完成済みマンションの売れ残りが急増します。3月末引き渡しのスケジュールで工事を行なう物件が多いからです。もちろん、3月中に売れてしまえば、完成済みの売れ残り(業界では完成在庫と呼んでいます)はないわけです。

 今年は3.11地震の影響で引き渡しが遅れてしまい、4月か5月引き渡しになってしまったという特殊な事情はあるが、完成在庫が多いときはマンション販売があまり順調でないことを裏付けるのです。

 ともあれ、マンション事業者は、完成在庫になりそうなときは販売促進のために各種のサービスを買い手に提供することを辞さないものです。

 4月10日のブログ「おまけ付きマンションに飛びつくな」の中で、完成済みマンションは売れ残りマンションだから、おまけが付いて丁度いいのであって、決してオトクなわけではないという趣旨のことを書きました。
売れ残りマンションに、お買い得を思わせる「福」は本当にないのでしょうか?

 人気のある物件はすぐに完売します。遅くとも竣工する前に完売してしまいます。従って、売れ残りは、何か問題点があるのでしょう。立地条件が悪いか、近隣に嫌悪施設があるなど環境に何か落とし穴があるのかも知れません。

 売主の経営状態が悪く、倒産の可能性が噂されているのかもしれません。
 
 売主が倒産すると、購入後に構造の欠陥や雨漏り等の重大な問題が発生した場合は保険が付保されていますから心配ないですが、そこまででもない故障や不具合に関しては、瑕疵担責任が問えなくなります。

 また、売主が独自で約束している定期点検などのアフターサービスも受けられなくなる可能性があります。
そのことを認識していなくても、倒産の懸念がささやかれる事業者には何かと不安があって敬遠したくなるのが普通の顧客心理でしょう。

 売れないマンションには売れない理由が必ず存在します。売れ残っている理由を知るには、営業マンに問うても無駄です。本当のことは決して言わないからです。

 そこで、方法ですが、近隣住民や複数の不動産会社に問い合わせることです。その行動の勇気が必要です。評判を聞いてみるということですね。インターネットの掲示板を読むのも悪いとは言いませんが、非常に偏見や悪意に満ちた、かつ無責任な書き込みが多いので、あまりおススメできません

 例外もあります。メージャー7(セブン)の中に入るような大手の場合において、かつ1000戸規模の大型マンションの場合は、最初から長期の販売計画を組んでいることがあるからです。

 一般的には、次のようなケースが例外と言えるものです。
 ①完売したはずの人気マンションが竣工時点に突然空きが出ることがあるのです。理由は、契約のキャンセル です。持ち家の処分が予定内の価格でできずに解約になるケースはたまにあるのです。
 ②転勤が理由のキャンセルも稀にあります。

 但し、人気マンションのキャンセル情報がチラシのような広告で一般に知らされることはありません。あるとしたら、それは間違いなく嘘で、単なる売れ残りなのです。

 本物のキャンセル住戸は、売主が募集している友の会会員になるなどして、情報の提供を待つしかありません。しかし、空きが出る保証もありません。

 それでも待つというほど執着するマンションは、さほど存在しないでしょうから、他のマンションを購入する方が現実的です。

 要するに残り物に福はないということですね。

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