住んでみたい街ではなかったが、住んでみたら良かった街

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

大手マンション業者7社(メジャーセブン=住友不動産・大京・東急不動産・東京建物・野村不動産・三井不動産レジデンシャル・三菱地所レジデンス)が共同運営するWEBサイトで会員限定に毎年調査している「住んでみたい街」ランキングが今年も発表されました。
今回注目したのは、同時に初めて調査した「実際に住んでみて良かった街」のランキングです。
住んでみたい街では比較的下位にランクされていた街が、「実際に」では上位になった例が多いからです。
それを次に紹介しましょう。

●首都圏「住んでみて良かった街」ランキング2012年
1位:横浜(住んでみたい街ランキングでは3位)
2位:吉祥寺(住んでみたい街ランキングでは1位)
3位:中野(住んでみたい街ランキングでは14位)・・・注目
4位:自由が丘(住んでみたい街ランキングでは2位)
4位:川崎(住んでみたい街ランキングでは45位)・・・注目
6位:目黒(住んでみたい街ランキングでは9位)
7位:荻窪(住んでみたい街ランキングでは26位)・・・注目
8位:下北沢(住んでみたい街ランキングでは27位)・・・注目
8位:三軒茶屋(住んでみたい街ランキングでは28位)・・・注目
10位:練馬(住んでみたい街ランキングでは143位)・・・注目

※尚、住んでみたい街のランキングTOP 10は次の通りでした。(人気の順に)
1.吉祥寺 2.自由が丘 3.横浜 4.恵比寿 5.広尾 6.二子玉川 7.中目黒 8.鎌倉 9.目黒 10.代官山

●近畿圏「住んでみて良かった街」」ランキング2012年
1位:西宮(住んでみたい街ランキングでは2位)
2位:神戸(住んでみたい街ランキングでは4位)
3位:豊中(住んでみたい街ランキングでは19位)・・・注目
4位:大阪市内(住んでみたい街ランキングでは12位)
4位:大阪(住んでみたい街ランキングでは25位)・・・注目
6位:堺(住んでみたい街ランキングでは37位)・・・注目
6位:京都(住んでみたい街ランキングでは7位)
6位:芦屋(住んでみたい街ランキングでは1位)
6位:茨木(住んでみたい街ランキングでは17位)
10位:高槻(住んでみたい街ランキングでは14位)
10位:尼崎(住んでみたい街ランキングでは39位)・・・注目

※住んでみたいランキングTOP 10の順位は次の通りでした。
1.芦屋 2.西宮 3.夙川 4.神戸 5.岡本 6.梅田 7.京都 8.千里中央 9.三宮 10.大阪

●先入観を捨てよと暗示するデータか?
このような差はどうして生まれるのでしょうか?
住んでみたい街は、回答者がそこに住んでいないからこその「憧れ」でしょうか?
一方、住んでみて良かった街は、回答者にとって住んでみたい街ではなかったが、住んでみたら意外にも良いところが一杯あって気に入っているということなのでしょうか?
もし、そうであれば「イメージと実際は違う」ということの現われと言えそうです。

人間は、様々な分野・事柄で先入観や固定観念に囚われているものです。深い所まで追究することなく、勝手な思い込みやイメージを持ってしまうことが少なくありません。
良いイメージの場所には実際に住んでみると、案外不便なことが多かったとか、窮屈な感じを受けるということがあるのかもしれません。
反対に、悪いイメージの場所には、住んでみたら案外良かったということはないはずです。こんな所には住みたくない場所に住む可能性は低いでしょうから。

ところが、中間の場所、つまり良くも悪くもない、いわば無色の場所には住む可能性が高いと言えるでしょう。その結果が、今回公表されたデータ「住んでみて良かった街ランキング」なのです。

このデータを採ったマンション業者の意図は何でしょうか? 「あなたの知らない街も、住んでみると良いところが沢山ありますよ。街の境界を超えてマンション探しをしませんか?」――そう語っているようにも受け取れます。
言い換えると、住み慣れた街や沿線、憧れの街だけに囚われずに、広い範囲でマンション購入を検討してください。――こんふうに呼びかけているのではないでしょうか?

●住みたい場所には良い物件が見つからないという現実
こんな所に住みたいというとき、普通は駅や行政区などから候補地を複数考えるはずで、そこでマンション探しをしてみると、自分の予算をはるかに超えるものしかないことを知り、初め愕然としたりします。
然らば、もう少し範囲を広げて探そうと考えます。しかしながら、通勤に慣れた沿線や、同一方向に絞ってしまうものです。例えば、新宿副都心に職場のある人は、「JR中央線や京王線、小田急線などの沿線で、遠くても〇〇駅まで」などと区切るのが普通です。
このときに、範囲をどれだけ広く取るかで結果は随分違います。
この予備調査で、この範囲なら予算内の物件がありそうだとか、ここまで拡大しないと希望は叶えられないなどといった感蝕をつかみます。

首都圏では毎年5万戸(今年の予想。昨年は4万戸台)もの新築マンションが発売されます。しかし、首都圏とは一都三県、広いのです。その中で地域を限定すると、実は供給量はさほどではありません。
供給量がまずまずだったとしても、広さが足りないとか、向きが悪い、ピンスポットの環境が気に入らない、外観デザインが良くないなどと、希望条件と好みから外れていることが多いのも現実なのです。
駅に近いことを絶対条件にして探しているが、徒歩5分以内には1件もないというケースも少なくありません。
反対に、駅から徒歩10分くらいの静かな住宅街のマンションに住みたいと探しているが、出て来る物件は駅近の喧騒の中ばかりか、反対にバス便で条件に合わない――このような例もあります。

かなりの部分で希望に合致し契約寸前まで進みながら、私に意見を求めたばかりに取り止めの結論に達したご相談者もありました。理由は割愛しますが、妥協した部分が実はとても大事なものだったからで、私は「その点だけは妥協すべきでない」とコメントしたための翻意でした。

マンション購入を応援する立場の私ですが、誤った選択をして後悔してほしくないための助言を提示する立場でもあるので、ズバリと言うことを主義としています。これまで大きな批判を受けていない以上、今後もこの主義は貫くつもりです。

脱線しましたが、住みたい場所には良いマンションが見つからないという現実があります。そこで提案ですが、先入観を取り払って他の街を研究し、住みたい街のマイリストを増やすようにしてはどうでしょう。案外、素敵な街が見つかるかもしれません。
今日ご紹介したデータが、そんなことを教えてくれたような気がしますが、皆さんのご感想はいかがですか? 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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