独身男性は3LDKを買ってはいけない
- 2011.11.20
- マンション購入アドバイス
ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
男性は深謀遠慮タイプの人が多いせいでしょうか、それとも計画的な人が購入しているためでしょうか、独身でも最初から3LDKを購入する人が多いようです。
女性単身者がコンパクトタイプを購入する例が多いのと対照的です。(以上は、リクルート社のマンション購入者調査の結果からも裏付けられている)
結婚することが決まっているわけでもなく、3LDKを選択するのはいかがなものか。都心に3LDKを求めることができる人は別ですが、都心から離れた(職場からも遠い)立地条件の3LDKを選んでしまう人には大いに疑問を感じます。
今日はそのことについて述べることにします。
●ライフステージに応じて住み替えるという発想で選択したら良い
誰でも、一生の間に一度やニ度の住み替えは必ず経験します。その理由には、どのようなものがあるのでしょう?
キャリアアップの象徴としての住み替えでしょうか?「謙譲の美徳」という言葉があるように、日本では謙遜が尊ばれるため、地位にふさわしい家に住むことにしたという人は少ないはずです。
どちらかと言えば、ライフステージの転換時に、必要に迫られて転居するということが多いとは言えないでしょうか?
そもそもライフステージ(Life stage)とは、人間の一生において節目となる出来事(出生、入学、卒業、就職、結婚、出産、子育て、退職等)によって区分される生活環境の段階のことをいうわけですが、その転換時の住み替えとは、どんなことでしょうか?
転勤がすぐ浮かびます。結婚を機に住まいが変わるというのも多いし、子供が増えて手狭になったから、というのもよくある住み替えの動機になっています。
最初から将来を見越して住まいの場所・形を決めても、ライフステージの変化は急変することもあります。というか、人生は予定通りにならないということかもしれません。
計画的に物事を進めるのは素晴らしいことですが、計画が計画通りにならないことも事実です。結婚を前提にしていても、具体的な話のない人には失礼ですが、郊外に3LDKを買ってしまうのは実に勿体ないことです。
なぜなら、通勤に費やす時間と通勤地獄で費消するエネルギーがそもそも勿体ないからです。
結婚予定が見えて来たときに考えても遅くないと私は思います。
当面、結婚の予定もないからと思って都心の1LDKを購入したら、急に結婚話が舞い込んで来て、ということもあるでしょう。先に述べた通り、計画外のことは、どちらもあり得ます。しかし、その場合でも問題はないはずです。
30㎡のワンルームマンションでなく、40㎡台、50㎡台の広さを確保しておけば、結婚しても狭くはないですし、子供ができても一人目が8歳くらいまでは問題ないはずです。つまり、購入してから10年くらいは住めるのです。
●売却しやすい条件のマンションを選ぶ
結婚以外の住み替え理由は起こらないでしょうか?
実際にあった話ですが、大手メーカーに勤務していた独身のAさんは、会社の円高の影響でリストラが行なわれることになったとき、退職を決断しました。安穏として独身生活を楽しんでいたAさんにとって青天の霹靂、まさかの一大変化だったそうです。
幸い、再就職先は時間を置かずに決まりました。しかし、新しい勤務先まで通勤時間がドア・ツー・ドアで2時間半もかかるという問題がありました。
仕方なくAさんは、2年前に購入したばかりの3LDKマンションを出ることにしたのです。
新しい勤務先では、前にも増して頑張りたい。というより、頑張らないといけないという心境だったAさんは、勤務先の近くに住むことが必要だろうと考えたのでした。
とりあえず都心のワンルームマンションに仮住まいをしながら、自宅を売りに出すことにしたAさんでしたが、思った以上の値がつかず、ほどなく売却が決まったものの、購入時に入れた頭金の600万円は殆ど消え、手元に残ったのは100万円もなかったそうです。
所有していたマンションは、郊外のターミナル駅から3分ほどにあり、便利で悪くない物件でしたが、購入時の価格から10%余も低い金額であったうえに、仲介手数料も払う必要があったためです。それでも、仲介業者の担当者は「急いだ割には良い値がついて良かったですね」とコメントしたそうです。
いつなんどき、どんな事情で住み替えることになっても、売却価値が高い方がよいわけで、そのときのための物件選択は慎重にするべきなのです。
「売却しやすいマンション」、できたら「購入価格を割り込む値段に落ちないマンション」を選択するべきであることは言うまでもなく、そのためには、できるだけ都心に近くて便利な立地条件の物件を選択したいものです。
●小型マンションは避けたい
都心の近い、または都心でということになると、3LDKではなく例えば1LDKなどになるわけですが、注意しなければならないことがあります。
専有面積が30㎡台から50㎡台(30~59㎡)のマンションを「コンパクトマンション(間取りで言うと1DK~2LDK)」と言いますが、このコンパクトマンションには問題のあるものが少なくないのです。
コンパクトマンションは、ファミリータイプが中心のマンションの中に混在する形で企画されるものがあります。主として超高層マンションの下層階にそれは用意されています。
物件によっては、投資目的と考えられる買い手が入ってしまう、もしくはデベロッパーが最初からそのニーズを期待して企画したケースもありますが、いずれにせよ、ほぼ例外なく下層階にはコンパクトタイプを編成して販売しています。
ファミリータイプに混在したコンパクトマンションと、全住戸がコンパクトタイプで占められているマンションがあります。後者は「純粋なコンパクトマンション」と呼ぶべきと考えますが、問題ありは、この「純粋コンパクトマンション」の方です。
このブログでも、再三述べて来たことですが、その問題点は以下の3点です。
①規模の小さいものが多く、管理は巡回方式が多い。巡回管理の問題点は10月30日の記事に詳しいので、ここでは割愛いたします。
②大手施工の物件は殆ど見られない。
これに関しても9月24日の記事を参照願います。
③割高な物件が多い
小型物件で、かつコンパクト住戸ばかりで企画すると、建築コストはどうしても高くなります。同じ敷地に80㎡の住戸を30戸つくるのと、40㎡の住戸を60戸つくった場合で説明しましょう。
面積の合計は同じでも、玄関ドアも、トイレも、ユニットバスも、ファミリータイプが30台ですむのに、コンパクトマンションの方は60台必要になるため、コンパクトタイプで固めた企画の方がコストは余分にかかります。
住戸と住戸を仕切る壁も多くなります。遮音性に配慮した仕上げを施したコンクリート壁は、単純に言って2倍の数が必要になるのですね。これもコストアップ要因です。
④売却の際に良い値段がつくかは疑問の物件が多い。
小規模マンションの場合、特に狭小敷地のペンシル型マンションは、外装やエントランス周りをどんなにデザインしても、威風堂々にはなりません。当然ながら、ゆとりがほとんどない建物です。高木になる可能性を持った植栽で囲むなどということも困難です。
つまり、貧相とは言えないまでも、立派な外観にはなりそうもなく、館内のグレードをどれほど高く造ってあっても、周辺の建物に埋もれた形にしかならないのです。
基本的には大型マンションの中のコンパクト住戸を選ぶことをお勧めします。
大型ならではの風格、充実した共用施設など、多分に付加価値を備えているからですし、管理やメンテナンス面でのメリットもあるからです。
配置は50階マンションの10階以下の下層階になってしまう場合もありますが、それは同時に割安な価格で入手できることでもあるのです。
タワーマンションなら、北向き住戸もよく見られます。あまりお勧めはしませんが、価格は割安な物件が多く、思いがけない掘り出し物になるケースもあります。
★コンパクト物件に興味を持たれた方はこちら(http://mituikenta.web.fc2.com/index2.html)から検索できます。
・・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ