「勉強のし過ぎで買えなくなる」罠:PartⅡ

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

前回は、勉強のし過ぎで買えなくなる罠にはまる要因について解説しましたが、今日は、罠に嵌まらないための術と考え方についてお話しすることにします。

●貴方が知りたいことは、きっとこんなこと

買い手がマンションの基礎的な知識や情報を得ようとするのは、視点を変えて考えてみると「不安」の解消にあると言えます。その不安は、大きく分けると3つあります。
1.商品に対する不安
2.売主に対する不安
3.将来に対する不安――の3種です。それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。

1.商品に対する不安「このマンションは大丈夫か?」

□手抜き工事はしていないだろうか?
□図面だけで購入してしまって大丈夫だろうか?
□上階の音に悩まされることはないだろうか?
□お隣さんはどんな人だろうか?
□将来、多額の修繕費に悩まされることはないか?
□この物件で決めてしまって本当にいいのか、他にもっと良いものがあるのでは?
□管理費の値上げの心配はないか?
□西向きでも本当に問題ないのか?
□ベイエリアの超高層マンション、本当に地震は大丈夫なの?

2.売主に対する不安「この会社は大丈夫か?」
□気に入ったマンションがあるのだが、無名業者が売主。どこをチェックしたらいいか?
□アフターケアは大丈夫だろうか?(何かあった時に、きちんと対応してくれる会社だろうか)
□廃業・倒産して消えてしまうことはないだろうか?
□引渡しまできちんと面倒を見てくれるのだろうか?

3.将来に対する不安「今はいいけど先々は大丈夫か?」

□将来、金利が上がっても本当に大丈夫か?
□今は払って行けるが、将来どうなるか分からないしなあ!
□病気や失業したら?
□転勤になった時どうする?
□買替えたい時、うまく転売できるだろうか?
□20年、30年先、マンションの価値はどう変わるのか?

このような不安を解消するために、貴方は何を頼りにしますか?
インターネット情報ですか?本や雑誌の知識と情報ですか?友人・知人の話ですか?親・兄弟の助言ですか?
手っ取り早いのは、実は販売担当者ではありませんか?

こうした疑問を一つ一つ自分で解決・学習するのは、かなり大変です。やはり、営業マンに質問して学習するのが早いようです。

<方法その1>営業マンの活用術を身に着けよう

俄か仕込みの情報や知識しかない買い手にとって、朝から晩まで毎日マンションに何らかの形で接触し、情報と知識を吸収し続けている営業マンは、逆立ちしても敵わない相手です。
近年、営業マン顔負けの知識や情報武装した買い手が増えたなどと言われることがありますが、所詮は一夜漬けみたいなものです。
勉強することは悪いことではないですが、手っとり早いのが営業マンをブレーンとして使うことですし、その方が賢明です。何でも聞けばいいのです。
即答できないことは調べてくれますし、調べ方もよく知っていますから、手早く答えを見つけてくれます。自分で調べるより早いのです。
見学したマンションに関することだけではなく、マンション全般について、例えば基本的なことまで「ちゃっかり」と聞けばいいのです。担当営業マンは、お客になってくれるかもしれないので懸命に期待に応えようとするはずです。
しかし、その販売担当者が実は悩ましい存在なのです。上記の不安や疑問にすべて明快に答えられる営業マンは、実はあまり多くないからです。
大手の大京や、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産、野村不動産、東京建物、東急不動産、こうした企業の担当営業マンなら皆よく勉強していて、専門家としての知識や情報に長けており、あなたの疑問や不安に対し、正しく的確な答えを出してくれるのでしょうか?
一方、名もない小さな企業は教育も行き届いておらず、信頼に値しない営業マンばかりと想像されますか?
正解は全く違うところにあります。
ともあれ、営業マンのレベルは様々です。既述のような不安・疑問に的確に答えてくれる営業マンに当たるとは限りません。
では、どうしたらいいのでしょうか?

●販売担当者をテストして、ダメなら期待しないで行こう

そこで、簡単なテストをお勧めします。
テストして合格点に達しないときは、担当者を替えてくれとも言えないので、そのマンションでは多くを期待しなければいいのです。商品知識に関してだけでも説明できる営業マンなら良しとしましょう。
さて、テストの方法ですが、狙いは「信頼できるかどうかのチェック」です。誠実さと熱心さ、説明の明快度などを試すのです。
設問(1)営業マンが答えにくい質問(欠点に関するものなど)をわざとする

例えば、駅前の騒音が気になるマンションで「電車の走る音はうるさいでしょうね」と投げかけます。そのとき、「窓を開けると確かに静かとは言えません。ただ、サッシの等級が30デシベル低下する遮音性能のT-3ですので、窓を閉めて頂ければ殆んど気にならないかと思います。電車は夜、走行していませんし、問題は少ないかと」―このように答えたら合格ですが、「T-3級のサッシを採用していますから音の問題は大丈夫です」程度の答えなら不合格です。

もうひとつ例を。「西向きだから暑いでしょうね?」と聞いたとき、「西日が暑いと感じるのは真夏のことかと思いますが、このマンションはLow-Eサッシを採用しておりまして、その断熱効果はメーカーの資料によれば、かくかくしかじかですので全く問題ありません。西向きだからといってクーラーを特別に強くかけなけなければならないということはありません。逆に、冬は夕方の太陽が奥まで差し込み温かくて良いかと思いますよ」―これが模範解答。
ダメなのは「向きを気にしたらマンションは買えませんよ」などです。

設問(2)自分が知っていることを質問する

例えば、事前に勉強しておいた「耐震構造と免震構造は、何が違うのですか?」や「親から贈与を受ける予定なのですが、贈与税はいくらまでなら非課税になるのですか?」、「駐車場の機械は何年くらいもつのですか?」といった質問をしてみましょう。
曖昧な答えであったり、いい加減な説明であったりすれば不合格。仮に答えに窮するようでも、「今は分からないので、後ほど調べてご説明します」と言うようなら誠実さを買えるでしょう。

●論外の営業マン

以下は、もはや何をかいわんやの類です。参考までに。
「ここの担当になって日が浅いから、よく知りません」―プロなら準備不足で仕事に出るな。失礼の極み。
「詳しい性能は省きますが、良い材料を使っているので大丈夫です」―プロなんだから詳しく説明しろよ。
「この辺では一番安い物件です」―どうしてそう言えるの?
「どうしても知りたいということでしたら、後日になりますが調べて連絡します」―面倒くさそうな態度。
「隣の空き地は何か建つとしても心配ありませんよ。日照権がありますから」―根拠なしのいい加減な説明。
「わかるかなあ?このマンション、ちょっと他とは違うんだよなあ」―こんなタメぐちを聞くような営業マンがたまにいます。

<方法その2>情報を取捨選択で活かす「整理術」

情報氾濫時代と言われてもう何十年も経ちますが、インターネットの普及で拍車がかかりましたね。マンションに関する情報も集めることが簡単になりました。
情報は取捨選択して賢く使うことが大事と言われていますが、捨てる方が実は難しいのかもしれません。自分なりの方法で情報を整理することが大事です。
マンション選びでお勧めの方法は、比較表にすることです。比較項目は、大別すると①立地条件(駅距離・環境・買い物など)、②規模(戸数・高さ)、③構造(基礎・耐震性・耐久性・遮音性・省エネ性など)、④検討住戸(面積・間取り・向き・階数)、⑤価格(グロスと単価)、⑥ブランド(売主・施工・管理)、⑦入居時期などですが、自分で工夫して作るといいですね。

●取捨選択の基本(考え方):百点満点のマンションはない。短所を補ってお釣りが来ればいい

人間は欲深にできていますから、「より良いものを、より安く」と望みます。しかし、それがエスカレートすると「青い鳥症候群」に陥る危険があります。そこで、どこかで割り切る必要があります。
「百点をつけられるような理想的なマンションはそもそも存在しない、必ず気に入らない点や懸念点がひとつふたつはある」このように思いましょう。「あちらが立てばこちらが立たず」となることを承知の上で検討にかかるのが賢明な態度というものです。
問題は優先順位です。後順位のものは捨てましょう。短所・デメリットは、長所・メリットが補ってお釣りが出るかどうかで判断しましょう。お釣りが出るほど長所・メリットのインパクトがあれば良し、そうでもないなら見送るといった考え方をお勧めします。

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