単身者が選ぶべきマンションの形態は?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

昔、「非婚時代」という著書で今日の晩婚傾向や一生独身を貫く人の増加を予言した人がいましたが、本当にそうなってしまいました。
日本人の結婚年齢は年々上昇しています。生涯結婚しない人も増えています。これは、女性の職場が増えて、男性に頼らない生き方を選択する女性が増えたことと無縁な話ではないようです。女性が独身を貫くと、男性もとばっちり(?)を受けて独身でいることになるのでしょうか?
ともあれ、そんな独身男女のうち、親世帯と同居しないでいる人がマンションを購入する例が増えて来ました。このブログを通じて私の相談室を訪れるご相談者、実は半数が独身なのです。
さて、独身者が購入するマンションは、どのようなタイプがふさわしいのでしょうか?単身だからワンルームや1DK、せいぜい2LDKでいいと単純な発想でマンションを選択していいものでしょうか?また、独身者は、独身者が多数集まるコンパクトマンションがいいのでしょうか?それとも、ファミリー中心で構成されるマンションがいいのでしょうか?そんなことを考察してみました。

●単身者ばかりのコンパクトマンションには問題あり?

ファミリー世帯が中心のマンションでは、子供を通じて母親同士が知り合いになるということが普通にあります。例えば子供の学校が同じだからPTAで知り合うことが大いにあるでしょうし、マンションのキッズルームや敷地内公園で話相手になるということもあるでしょう。
これに対して単身者が多く集まるコンパクトマンションでは、マンション内ですれ違うことから顔見知りにはなれても、せいぜい挨拶を交わす程度で終わっていることが多いようです。
人づきあいが苦手と思っている人、面倒だと思っている人などは、積極的な交流を望まないかもしれませんが、果たしてそれでよいものでしょうか?
あるコンパクトマンションでは、外部のコミュニティ支援会社に委託し、毎月1回の割合で様々なイベントを催しています。
懇親パーティや不用品交換会、異業種交流会などを1年くらい実施すれば、おおむね全居住者間で顔見知りになれるのだそうです。それから先は当人同士の問題ですが、程よい距離の隣人関係ができることが多いとのこと。
このような交流のきっかけを積極的に作らなければ、コンパクトマンションの住人は何年経っても孤独のままでいなければならない懸念があるのも事実です。

●親世帯との共生を探る動きもあるが・・・

最近、高齢化に伴い一度は核家族化した親子が再び同居するという動きが見られるという新聞記事に触れました。何となく分かるような気がします。近居や隣居という形態もありそうです。
しかし、それは親世帯が比較的近くに住んでいる人の場合であって、遠く離れて暮らしていれば、子供は一人住まいを続けることになりそうです。その子供が独身の場合、賃貸住宅ではシェアハウスという共生の形態も最近は増えていますが、購入ということになると共生の道は見つけにくいかもしれません。

●多様な世帯が同じ屋根の下にいる安心感

大地震で気付かされたことがあります。
マンションには多様な世帯・人種が住んでいたことで、避難の際や復旧に向けて住人が役割分担して動いたことです。
ある中古マンションが被災しました。液状化で駐車場が陥没し、排水管が破断してトイレが使えなくなったのです。
そのマンションでは、地震後まもなく対策本部が発足し、危険箇所の応急処置や仮の排水管敷設などの手配を速やかに行なったそうです。

「そのとき、中年から初老の入居者の中に建築関係の人や、電気関係の仕事をしている人がいたので無知な私も安心することができました」、「また学校の先生がいて避難の誘導に先頭に立ってくれました。若い人で独身の人が近所の世帯の小さな子どもさんを背負ってくれたり、乳飲み子を抱えたお母さんの荷物を運んでくれたりなど、普段つきあいのなかった住人同士が互いに助け合う様子に感動しました」。
このような感想は、あちらこちらで聞かれました。これは、マンションが多様な世代と世帯が住むことで得られる安心感と言えるのかもしれません。

マンションの中には、教師、銀行マン、公務員、建築士、弁護士、公認会計士、税理士、コンピューター技術者、同ソフト開発者、医師、不動産屋、証券マンなど、挙げるとキリがないですが、実に様々な職業人が集まって住んでいます。
日ごろは付き合いがないので、顔は見知っていても仕事までは知らない。でも、専門家集団なのですね。いざというとき、頼りになる人たちが同じ屋根の下に住んでいるのは、マンションの良さです。高齢化が進んでも、昔とった杵柄とやらで、経験と知恵はマンションの見えない財産なのかもしれません。

近所づきあいが煩わしいからという理由で一戸建てからマンションに移って来たという人には思惑違いと落胆させるかもしれない話ですが、普段は顔を差すことが少ないメリットと、いざという時に助け合えるメリットの二つがマンションには存在するとも言えるのではないでしょうか?

●価格帯の幅が広いマンションに懸念はあるか

ところで、ご相談者の中に「例えば3000万円から1億円までと、価格の幅が広いマンションを買うのは問題があるのではないか」という疑問をお持ちの人があります。
この疑問にお答えしておきましょう。

まず、価格差イコール所得格差ではありません。
また、価格帯の差は必ずしも溶け合わない異分子が混じるということにはならないと思います。仮に3000万円の住戸を購入する人と1億円の住戸を購入する人とを比べて、例えば住む世界が違い過ぎるとは断定できませんし、教養レベルが違い過ぎるということもないと信じます。
何故なら、こうしたマンションの多くが都心にあり、低い価格帯のコンパクトタイプを購入する人は小家族ゆえの選択であり、所得が低くてもそれは未だ管理職などに到達していない若者というだけで、将来の高額所得者やエリート層かもしれません。

このような価格帯の幅広いマンションを検討するとき、気にすることがあるとしたら、低額住戸のワンルームや1DKタイプが投資目的で買われ賃貸されたとき、その借り手がどんな階層になるかをチェックすることくらいでしょう。
つまり、都心の好立地にある物件が投資対象になっているはずで、そのうち低額でコンパクトな住戸に高い賃料を払う入居者とはどんな階層かを推測することです。
繁華街に近いマンションでは迷惑分子が入居して「高級マンションなのに・・・」とまゆをひそめるケースも少なくないと聞きます。注意する必要があるでしょう。

●似たような年代層ばかりが集まるマンションの未来

郊外マンションには、子育て世帯ばかりが集まります。そこで入居者の多くは、「同じような子育ての悩みを抱えた住人が多いので、互いに相談しあえるのが嬉しい」などという感想を漏らしています。
それはそれで結構なことですが、時間が経過すると住人は一緒に歳を取るのです。最初は賑やかな子供たちの声であふれていたマンションも、次第に静かになり賑わいも少なくなります。
活発だった交流イベントの数も減り、今では「老人ホームみたい」と入居者が卑下するマンションも少なくありません。
最初から広い部屋中心に作られたので、居住年数は平均して長く、入れ替わりが少ないために一緒に歳を重ねてしまった例です。

マンションは適当に入れ替わった方が、世代交替が起こっていいのです。手狭になったから売却して出て行く。そこへ新しい若い世帯が入居して来る。この循環が生まれることで平均年齢は極端に上がらずにすみます。
だから、若い世帯と高齢の世帯という年代較差や、単身者の住むコンパクトタイプから4LDKのファミリータイプが混在するマンションでも問題はない、否、むしろ幅広く多様な世帯が同居している方が良いのではないでしょうか?

全タイプがコンパクトというマンションでは、既述のように積極的な交流を企画したり、交流の場がマンション内に設けられて気軽に利用できるような仕掛けをつくったりしないと、孤独な単身者ばかりのマンションということになるのではないか。そんな心配をしてしまいます。

単身者だからコンパクトマンション(全体がコンパクトタイプで占められるという定義)を検討するのではなく、ファミリーマンションも混在する物件も検討してみることをお勧めします。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。「無料相談」と「マンションの無料評価サービス」があります。

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