激安中古の一戸建てを楽しむという発想

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

●中古一戸建ての評価
中古の一戸建てが築後20年を経過すると建物の評価がゼロになってしまうことをご存知でしょうか?まだ十分に住めそうな家でも、単に20年という経過年数を聞くだけでタダ同然になってしまうのです。
購入価格を土地と建物とに分解して、仮に50%ずつの比率だったとしたら、20年後は地価の上昇がない限り半値になってしまうことを意味します。
(関連記事は、先月20日のブログにあります。ご覧いただいていない方は一度お目をお通しください)
これに対し、マンションの場合は20年過ぎても、物件によっては新築相場に迫る流通価格を形成している優良物件もあり、おしなべて一戸建てより評価は高いのです。
この差はどこから来るものでしょうか?

中古一戸建ての評価が低い理由は、性能や価値が見えにくいこと、言い換えれば客観的な、あるいは市場の統一基準のような物差しが存在しないことに原因があります。
古い家に対しては、住んでから様々な不具合や故障が発見されるのではないかという不安が買い手側にあります。特に耐震性には大いなる懸念が残ります。ここを買い手に納得させる説明や物差しがないために購買をためらう結果となります。そのために買い手を探すのに時間がかかり、売りたい所有者は価格を下げざるを得なくなってしまうのです。
今後は、新築時の「住宅性能評価書」やリフォームの「履歴書」が備えられた中古住宅も増えて、少しずつ価値判断がしやすい環境が整って来るものと予想されますが、まだまだ時間はかかりそうで、築年数を拠り所に価値判断するしかない状態が続きそうです。

こうした事情から、建売住宅をこれから買おうと考えている人は、売却の時にとても不利になる恐れがあることを覚えておいた方がよさそうです。

このことは中古住宅を買おうとしている人から見ると、実際の価値より割安に購入できるの可能性が高いとも言えるわけです。

●マンションの評価が高い理由は?
ダイヤモンドの鑑定書のような存在がないために、実際の価値とは関係なく築年数だけが物差しになり、年数に準じて価格が決まる傾向があるというのは、マンションも例外ではありませんが、一戸建てより頑丈そうに思われることや、比較データが揃っているという事情が大きく、価格がつけやすいという傾向があります。
そのマンションの新築分譲時の売主が何と言う業者かや、工事をどこのゼネコンが行なったかという情報が得られやすく、その結果として安心感につながっているためです。
加えて、マンションは同じ屋根の下に大勢の所有者がいて、特に問題なく日常生活を送っているという実態を確認することもできますから、そのことも建物に対する不安をある程度まで払拭してくれるのでしょう。
これらを背景として、マンションは一戸建てより価格が下がりにくいと考えられるのです。

●中古の一戸建てを楽しむ
建物の欠陥や不具合がないようなら、上物(うわもの)がゼロの一戸建て、すなわち築後20年以上の家を買って楽しむという発想が生まれます。リフォームまたはリノベーション(※)しながら、それを楽しみながら住むのです。
(※先進の機能を持つ設備に交換するとか、間仕切りを大幅に変えるような、大掛かりなリフォームのこと。リノベーションRenovation:改革・刷新)
例えば、外壁のサイディングを交換する、キッチンを最新のシステムキッチンに交換する、
太陽光発電装置を取り付ける、住まいの顔に当たる玄関ドアを交換する、トイレを拡張して車椅子でも入れる大きさにするなどのほか、高齢になったら、1人になったとき近隣のお世話になるかもしれないので、非常用の警報装置をつけるのも一考です。万一のとき、ボタンさえ押せれば外を通りがかった人が駆けつけつけてくれるからです。

一戸建てはマンションと比べて手間がかかると言われます。大規模な修繕は、マンションなら管理組合が進めてくれますが、一戸建ては何から何まで自分で計画し実施しなければなりません。
しかし、それが魅力でもあります。手を加えることを楽しむという、発想の転換によります。日曜大工の教室に通って技術を学び、間仕切り壁を兼ねた収納家具や庭の花台などを製作したりする男性もいます。自分で修理したり色を変えてみたりするのが趣味だと語る人もいます。
うっかり中古を買うと、運悪く修繕費用が嵩んで高い買い物になったとぼやく人もいると聞きますが、趣味の一環で大工仕事をしたり、改造計画を図面に描いたりするのだとしたら、その費用は娯楽費であり、生きがいになって気にならない出費になるかもしれません。

●中古の一戸建てを買うときの注意点
マンションを中古で購入するのも選択肢のひとつですが、一戸建てを実際価値以上に安く買えるのであれば、それも賢明な選択と言えます。
ただし、注意しなければならないことがあります。以下のような点が挙げられます。
①耐震強化工事が必要になるかもしれない(「耐震診断書付き」はほとんどない)
一戸建てで最も心配なのが耐震性です。耐震性能が明示された物件は、まだ少ないのが実態です。大手ハウスメーカーが建てた家であれば心配は少ないですが、そうでない物が多いため、耐震強化工事が必要になるかもしれないと覚悟しなければならない場合があります。
②地盤を確認し、液状化対策が不要なものを選ぶ(自治体のハザードマップのチェック)
建物がしっかりしていても、地盤が悪いと液状化被害を受ける場合があります。しかし、地盤強化を個人で実施するのは簡単ではありません。費用も半端ではありません。これだけは購入前に調査する必要があります。
③ゲリラ豪雨に見舞われない地域かどうかの確認
想定外の集中豪雨に襲われて家が冠水するような事態は避けなければなりません。これは、自治体ごとに用意されたハザードマップを見れば分かります。

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新築に手が届かないから中古という消去法ではなく、生活を楽しむために中古住宅を手に入れるという選択肢があってもいいのではないか。ときどき、こんなふうに思います。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。「無料相談」と「マンションの無料評価サービス」があります。

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