一戸建てが安いらしいですが・・・

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
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マンション価格の急騰に比べて建売住宅は殆んど値上りしていないということをご存知でしょうか?

2016年12月18日の本ブログで新築マンション価格の年度別データをご紹介しましたが、値上がり率は最近3年余りの間に、20%以上もの高率でした。2013年には5000万円で買えた新築マンションが、同程度の立地と広さ・スペックで6000万円以上に上昇したのです。

この間、金利が一段と低下したことにより購買力が向上したとはいうものの、1000万円も上がると返済負担が大きくなり過ぎてしまい、購買を諦めざるを得ないこととなった人も少なくないのです。

一方、建売住宅はこの数年間、価格が殆んど上がっていないと言います。マンションの場合、建築費は東日本大震災以後、2割も3割も上がったため、その影響で分譲価格の上昇となったのですが、一戸建ての建築費はなぜ上がらないのでしょうか?そんな疑問を持ちつつ、市場データを探してみました。

不動産経済研究所が継続調査している「首都圏(1都4県=茨城県を含む)建売市場動向2015年版」のサマリーを見ると、以下のようになっています。

過去3年の推移(4月~3月の年度集計)を、敷地面積/建物面積/販売価格の順で比較しました。

2013年度 125.31㎡/99.78㎡/4572万円
2014年度 127.01㎡/99.98㎡/4737万円(前年比+3.6%)
2015年度 124.65㎡/99.42㎡/4835万円(前年比+2.1%)(2013年比で+5.7%)

敷地面積も建物面積も殆んど変わらないですが、価格は緩やかながら上昇傾向を示していることが分かります。しかし、マンションの上昇率の比ではありませんね。

ところで、建売住宅の立地条件はマンションに比べるとどのくらいの差があるのでしょうか?
マンションは、ご存知のようにバス便もありますが、その数は少なく、大半が最寄駅から徒歩10分以内です。これに対して建売住宅はバス便や最寄り駅から徒歩圏であっても10分以内は殆んどないはずでした。

しかし、「駅から徒歩10分・価格5000万円台」で検索してみると、さすがに23区内ではヒット数が少ないものの、都内全域では結構あることが分かります。

以下のデータは、情報サイトのSUUMOで検索した5000万円台の新築建売住宅です。

※販売価格5779万円~6480万円

所在地:東京都調布市国領町 
沿線・駅:京王線「国領」徒歩8分
土地面積100.22㎡~106.3㎡ 
間取り:3LDK~4LDK  
建物面積88.39㎡~100.54㎡

※販売価格4798万円~5698万円

所在地:東京都小平市花小金井2丁目 
沿線・駅:西武新宿線「花小金井」徒歩8分
土地面積:119.21㎡・125.05㎡ 
間取り:3LDK+S(納戸)・4LDK
建物面積94.54㎡・96.05㎡

③販売価格5180万円

所在地:東京都国分寺市東元町2 
沿線・駅:JR中央線「国分寺」徒歩10分
土地面積:119.09㎡ 
間取り:4LDK
建物面積:102.46㎡

※販売価格5548万円・6388万円

所在地:東京都狛江市猪方3-354番 
沿線・駅:小田急線「和泉多摩川」徒歩7分
土地面積:112.02㎡・112.03㎡ 
間取り:3LDK+S(納戸)・4LDK+S(納戸)
建物面積85.07㎡・89.3㎡

※販売価格5474万円~6371万円

所在地:東京都稲城市平尾字10号1165番地 
沿線・駅:小田急多摩線「栗平」徒歩9分
土地面積:135.03m㎡~153.64㎡ 
間取り:3LDK~4LDK
建物面積:101.26㎡~119.53㎡

※販売価格4816万円~5654万円

所在地:東京都西東京市栄町2-1448-1 
沿線・駅:西武池袋線「ひばりヶ丘」徒歩10分
土地面積:112.74㎡~112.94㎡ 
間取り:3LDK~4LDK
建物面積:88.96㎡~90.06㎡

まあまだあるのですが、ここに挙げた6例は、いずれも東京市部、徒歩10分以内の物件ばかりで、価格は同エリアの新築マンションと差がないか逆に安いものも見られます

建物面積だけで比較すると最小でも85㎡はあるので、それぞれのエリアの新築マンション価格(平均70㎡程度)より低い単価であることが明らかです。敷地も100㎡以上が大半であり、庭は猫の額ほどかもしれませんが、ガレージも付いていりますし、高級とは言えないまでも立派なマイホームと言えるものばかりのようです。

価格が同じなら、管理費と駐車料金もいらない一戸建てのランニングコストは、間違いなくマンションより少ないことになります。

こうした実態を知り、マンションから一戸建てにマイホームのターゲットをシフトさせた人も多いのではないか、そんな気にさせられます。

パワービルダーと呼ばれる建売住宅を量産している業者の物件になると、SUUMOではヒットしないことが多いのですが、情報を総合すると、品質あともかくも、一段と安く販売されているようです。

さて、マンションの歴史を紐解くと、マンションは当初一戸建ての代替品でした。マイホームとは庭付き一戸建てと相場が決まっていましたが、地価の高騰によって片道90分、120分の長距離通勤を強いられるようになって、比較的都心に近いところで取得できるマンションが代替品として人気を集めるようになって行ったのです。

マンション大衆化時代到来と言われ始めた昭和40年代から50年を経た現在、マンション住まいの快適さや安全性などが広く知れ渡り、今では地価の安い地方都市でもマンション住まいを志向する人が少なくありません。

少なくとも東京圏では、代替品から主流品へ大きく変わったのです。つまり、今やマイホームと言えば何の疑問も持たずに「マンション」と決めてかかる人が大半を占めるようになりました。

今後も、高齢化の進行とともに「みんなが集まって暮らし、共助の住まいとなり得るマンション」の需要は高まって行くのでしょう。

今日この場でマンションと一戸建ての比較を論じるつもりではないのですが、マンション価格があまりにも高くなってしまったので、今までマンションしか頭になかった人が建売住宅に目を向け、少し研究してみようかとなっているかもしれない。再び一戸建て主流の時代に逆戻りするとは思えないものの、ちょっとした揺り戻しもありそうな気配を感じるのは筆者だけではないような気がします。

しかしながら、都心部では相変わらずマンション価格に近い建売住宅はありません。稀に目にすることはあっても、狭小敷地に狭小建物であったり、3階建の変形建物であったりします。

選択肢のひとつとして建売住宅の存在を否定するわけではありませんが、木造住宅の耐久性や防火性能に関する不安と、評価方法が変わりつつあるとはいえ、中古市場での建物価値の低評価に鑑みると、資産価値の面では疑問符が付くのです。

豪華なエントランスとコンシェルジュの笑顔に迎えられる大規模マンション、上階から見える眺望の良さ、セキュリティの高さ、丈夫で長持ちのコンクリート住宅、数々のライフサポートなどはマンションならではのものです。

どちらが良いかは、買い手の価値観で変わるものであり、ずばりマンションが上とか下とかに区別することはできません。しかし、価格が安いというだけで、あるいはマンションより広いというだけで短絡的に建売住宅に走ってしまうことだけは避けたいところです

・・・・関連記事は追って書こうと思いますが、今日はここまでです。

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