第736回 買ってはいけない“格安建売住宅”

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論」を展開しております。

テレビや新聞報道でお気づきの読者もいらっしゃるかもしれませんが、今日は最近人気の建売住宅の話をしようと思います。

 

●テレワークの増加で建売住宅が売れているのだとか

テレビや新聞報道によれば「建売住宅」がよく売れているのだそうです。業界人に聞いてみると、確かに前年比で20%程度は売上げが伸びているようです。ここで具体的な社名を出すことは控えますが、テレビCMでも有名な大手2社の売れ行きは絶好調と聞きます。

 

なぜ、売れているかは単純です。マンションより広くて安いからです。マンションならせいぜい70㎡なのに、建売住宅は100㎡以上と広いからです。しかも、価格も安い例が少なくない。 ここが最大の要因らしいのです。

 

売れ行きに加速がついたらしい理由は「コロナ禍」が背景にあります。在宅勤務が増えていることと関係があるのです。お分かりのように、在宅勤務がトレンドになった2020年、狭い賃貸住宅では在宅で仕事をこなすことが難しく、近くのカフェでも、何かと問題があるし、密集の危険もあるということなのでしょう。

 

大企業は、郊外の中核都市にサテライトオフィスを持っていたり、新規開設したりしているという情報も見聞きしますが、限定的な話です。 多くのサラリーマン諸氏は自分で工夫するしかなく、その選択肢として広い家に移ろう、広い家は家賃が高く手が出ないこともないが、いっそのこと買った方が得ではないか、そう考える人を増やしているのかもしれません。

 

このニーズはマンションにも無論、顕著に表れていて、売れ残っていた「バス便立地のマンション」も急に在庫がさばけてしまったというニュースも飛び込んできました。

 

コロナ禍が思わぬ販売好調をもたらしている新築マンション、新築建売住宅ですが、このニュースを聞いて筆者は「危険な臭い」を感じました。 いずれも、立地条件に問題があるからです。そんな立地の家を買ったら、あとで困ったことになるという心配をしないのだろうか? 在宅勤務が未来永劫続くとでも思っているのだろうか?

 

世の中の動きは、いつもトレンドとサイクルがあるものです。住宅に関して言えば、「都心・準都心マンション」➡「郊外化」➡「超郊外化」➡「準都心・都心回帰」という流れが高度成長時代から最近までの歴史の中で見られます。それは、時代の潮流が庶民の抵抗を押し流して来た歴史でもあるのです。

 

かつて、マイホーム購入がトレンドだったとき、憧れた人々は2時間通勤をものともせずに「超郊外の建売住宅」に走りました。マンションがマイホームの主役に躍り出ると、通勤に便利なマンション購入が主役に躍り出ます。

 

ところが、そのマンションも地価高騰によって郊外に押し出されます。マンション郊外化の時代があったのです。駅からは徒歩圏にあって便利なマンションも、通勤時間はたっぷり1時間以上かかるのが普通になってしまいました。そうして、郊外マンション主流の

ときも終わります。一時は、どこを探してもマンションは販売されていない状況になったのです。

 

いささか簡略化した説明でお叱りを受けるかもしれませんが、私たちは常に時代の奔流に押し流される傾向があります。「世間はどうであれ、自分は自分」などと抗ってみても、それでは生きていけないのが現実です。 とはいうものの、個人の裁量、個人の好みで人生を選択することが不可能なわけでもありません。

コロナ禍の今日でも、目先の波に流されない行動が大事です。

 

 「マクロとミクロの複眼思考」が重要と教わったことがあります。今、まさに住宅を買おうとしている人こそ、複眼思考が重要ですし、目先のトレンドだけで判断を誤ってはならない、筆者はそう思います。

 

言い換えましょう。大昔と違い、東京圏の会社員・サラリーマン家庭は転勤や転職があるはずですし、よしんば転勤・転職がない勤務先であるとしても、ひとつの家に死ぬまで自分・家族が縛られるはずはないと思うのです。

 

その前提に立つと、「家は換金処分ができるかどうか」という視点を外すことはできません。目先の都合だけで不便な立地の建売住宅や分譲マンションを買ってしまうと、想像もしていなかった価値の下落に遭遇し、最悪の場合は売るに売れない、貸すこともままならない「負の産物=負動産」になりかねないという点に着目して選択して欲しい。他人事ながら、筆者は思うのです。

 

●建売住宅はなぜ安い?

建売住宅はマンションより広くて安いのだとか。 安い理由は簡単に説明できます。

土地が安い、建物も安いからにほかなりませんが、土地が安いのは、立地条件が悪いからであり、建物が安いのは品質がそれなりだからです。

 

建物がそれなりという点を補足すると、耐久性や耐震性などに問題があるわけではないものの、高級品ではないこと、個性に乏しいこと、いかにも安値の建売という様相の外観であること、隣接住宅との距離も接近していて誇らしく思えないことなどです。あげつらうのはほどほどに止めておかないといけませんが、個人的にはお勧めできない代物ばかりです。

 

安値の理由が分かったとしても、個人の好み・個人の選択ですから第三者の筆者ごときが何を言うかとお叱りをいただくかもしれませんが、東京圏の土地事情では、甘んじて受け入れなければならないことは無論よく分かっているつもりです。

 

それでも、筆者は「選んではいけない住宅、マンション」について言い続けて来ました。本稿では「安売り戸建てには手を出さない方が良い」と言いたいのです。

 

●あとさき考えない住宅購入は危険

先にも少し触れましたが、住まいは売るときのことを考えつつ選ぶべきなのです。いつか売るときが来るから、購入価格より安くなるのは当然としても、その「下落率が低い物件を選ぶべき」、筆者の考え方です。

 

マンションが専門の筆者ですが、マイホームというカテゴリーでは建売の一戸建ても同類です。 住宅購入者の選好についても、よく知る方と自負しています。自身も買い手の立場、売り手の立場で売買に携わった経験を一度ならず持っていますから、買い手・売り手の立場の違い、それぞれの心理なども分かると言って過言ではありません。

 

無論、建売ではありませんが一戸建ても経験済みです。自身の経験、職業的立場から言えるのは、住宅・マンションは消耗品ではなく、資産なのです。本来は換金価値がある財産なのです。だからこそ、値打ちのあるものを選択しておかなければなりません。

 

借金(住宅ローン)が残っていても換金価値が高く、現金が多額に残るものもあれば、手出ししないと(預金を崩さないと)売るに売れない代物もあるように、物件価値には大きな差異があるのです。

マンションとて同じですが、一戸建てとの大きな差は、新築と変わらない高値の中古マンションもあるという事実です。つまり、マンションは建物が古くなっても、敷地と建物全体の価値、場所の価値が補い得るのです。

 

●家は全容を見て買うべき

筆者は、遠くから「あれが私の家です」と指さして分かるようなマンションを選択すべきだと主張します。他のマンションやビルの陰に隠れてしまうようなマンションは避けておきたいと言います。

 

最寄りの駅に着いたらほどなく姿を現すような外観、もっと言えばたとえ70㎡しかない自宅でも、マンション全体が豪壮であるとか、威風堂々の外観であるといったものが良いのです。誰かが言いました「大きいことは良いことだ」と。

玄関も広くて豪華であることは、「立派なお住まいだこと」と問わず語りに我が家を誇示することができましょう。 

 

男は「どうだ、この成果を見よ」と密かな自慢をしつつ、更なる高みをめざして生きて来た人をたくさん知っていますが、筆者もその一人です。マイホーム選びに関して、「どうだ、俺の買った家は!!」と誇るべきものを選ぶよう進言してしまうのが常です。

 

ともあれ、過去たくさんのご相談者が筆者を尋ねて来られましたが、「貧相なマンションを選びたい人」はいませんでした。 予算との兼ね合いで残念なマンションを選んでしまいかねないだけのことです。

 

筆者は、ミクロよりマクロを見る、マンションの細部を見る前に全容を見ることを絶えず主張して来ました。 つい細部に目が行きがちな買い手心理も理解はできますが、「大事なのはそこではない」と、つい言いたくなってしまうのです。

 

マンションの価値は、1に立地、2,3がなくて4に立地と言われるほど立地条件が優先します。次が建物全体、その次が個別住戸という順番で冷静に見ることが大事です。 端的に言えば、モデルルームの美しさ・演出などに囚われてはなりません。

 

●予算との兼ね合いがあって候補物件がないと嘆く前に

最近(ここ3~4年)は、中古マンションのご相談比率が高くなりましたが、日本人は新築志向が根強いようです。神代の昔から「新しいもの」を好む日本人が多く、家も新築志向が強いのは確かです。

 

マンションもできたら新築が良いと思っている人が多いと感じます。ところが、新築マンション供給戸数が大きく減少してしまったので、紹介サイトを検索しても物件が見つからない状態がもう5年以上も続いています。

 

そのせいか、中古マンションの検討者が着実に増えています。新築が買いたいがどれも高くて手が出ない。中古も立地の良いものは新築並みに高いが、選択肢は新築より多い感じがする・・・・こんな声が届きます。

 

新築にせよ、中古にせよ高値の今、候補物件を見つけるのは中々難しい。そんな印象は確かにあるようです。そこで、筆者は次のように進言しています。

 

「マンションは立地条件を妥協してはダメです。 新築がないなら中古を。築浅中古より築15年以上が選びやすい」と。

 

賢明な読者なら、その理由・論拠がお分かりのはずです。マンションも一戸建ても、その価値は立地条件に大きく左右されるのです。間違っても、バス便立地の物件を選んではならない、筆者はそう強弁します。

 

新築住宅が高くて手が出ない人も、バス便立地は避けて通るべし。そうなると、必然的にマンションに限定されましょう。しかも、新築でなく、中古を。それも、人気の高い「築浅」でなく、安く買える「築15年を超えたもの」が良い・・・筆者は常にこう言い続けて来ました。 

 

15年を超えたものが良いというのは、築年数の新しいものは人気が高く、検討時間にゆとりがないためだけではなく、最近10年に建てられた築浅(ちくあさ)マンションより高品質の建物が多いからです。

 

新築にせよ、中古にせよ、マンションは立地を最優先条件とすべし。立地条件とは、言わずもがな「郊外よりは都心・準都心、最寄り駅から徒歩5分、妥協しても7分、勤務先の関係で都心から離れた立地のマンションを選ぶ場合は、その土地一番の立地を」、建物は大きいほどよく、間違ってもペンシルビル的なマンションは買わない方が良い・・・変わらぬ筆者の信念です。

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談のお申込みはこちらから(http://www.syuppanservice.com

 

※こちらのBLOGも是非ご利用ください。

https://www.sumu-log.com/archives/author/mituikenta/(スムログ)

http://sumitaimansion.blogspot.com/(三井健太の住みたいマンション)

 

※売却相談も三井健太へ・・・ご相談料は不要です※

=== ご売却物件を募集中 ===

ご自宅の売却も先ずは三井健太にご相談ください

不動産業者でない三井健太が中立的な立場で売却をサポート!

以下は、売主様への提言です。

1.売却見込み額をお調べします。

2.どこの仲介業者に依頼したら良いのかについて助言します。

3.適切な売却時期を提案いたします。

4.少しでも高く売却するためのコツをお教えします。

 

1.売却見込み額をお調べいたします。

不動産仲介会社に査定をしてもらったが妥当な価格なのか、これで本当に売れるのかなど、心配なときは是非ご相談ください。中立の立場で相場をお調べし、お答えいたします。

2.どこの仲介業者に依頼したら良いのかについて助言します。

地場の仲介会社がいいのか、それとも大手仲介会社がいいのか、専任にすべきか複数の業者に依頼できる「一般媒介」にすべきかなど、仲介会社の選び方のコツをお伝えいたします。

「既に依頼中だが、買い手が決まらないで困っている」などのご相談もどうぞ

3.適切な売却時期を提案いたします。

マンションを買い替えるうえで、少しでも高く売るためにはいつ売り出すのが良いのかなど、ご事情に応じて最適な解を探すお手伝いをいたします。

4.少しでも高く売却するためのコツをお教えします。

少しでも高く売るためにはコツがあります。不当に安く見られてしまうことを避けるためには、室内を上手に演出することをはじめ、売出しのコツがあります。

HP作成を業者任せにせず自ら参加するなど、ご所有のマンションに合わせた具体的な提案をいたします。

購入希望者を迎える時の留意点、室内の展示方法なども適切に助言します。

5.お買い換えの場合、売却と購入、それぞれの適切なタイミングをお伝えいたします。

マンションを買い替えしたいけど、売却が決まってからか買うのが良いか、それとも先に購入してしまう方が良いかなど適切な住み替えのタイミングをお伝えいたします。

6.手数料を低く抑えます

 売り手の仲介手数料は「売買価格の3%+6万円+消費税」ですが、これは上限に過ぎません。交渉によって引き下げることが可能です。その方法を伝授、もしくは下げてくれる業者をご紹介します。

 (手数料を取らないなどの怪しい業者には注意しましょう

 

※先ずは、こちらからご相談ください(ご相談料は無料です)https://form1ssl.fc2.com/form/?id=73c067921943e21e

h