久々に登場!「大型床下収納付き」マンション

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。どんな業界でも競争の激化は画期的な新製品を生むものですが、昨今のマンション市場も新たな試みが目立ちます。主に防災関連、省エネ・創エネといった類が多いですが、特許がないのがマンションの企画で、どこかが採用すると直ちに追随する企業が後を絶たないのが業界の通弊です。
昔は珍しかったオートロックシステムやシャワートイレも、今では採用しない物件はまず見当たりません。最近では、窓の防犯センサーや断熱性の高い複層ガラス窓、冷めにくい保温浴槽、掃除がしやすいガラストップのガスコンロといったものも定番になっています。
初めは高い導入費も、普及が進めばメーカー出し価格も下がりますから、オプションとしてではなく標準品として装備するデベロッパーが更に増えて行きます。
現在当たり前になっている設備等に関しては、「三井健太のマンション相談室」でまとめたFreeBook「分譲マンション2012年 スタンダード仕様とアップグレード仕様」をご請求頂きご高覧いただくとして、今日紹介したいのは1階住戸のプランニングである「大型床下収納」の話です。

大型というのは体ごとすっぽり入るような大きさというほどの意味ですが、具体的には深さ1.3メートル(これ以上深くするのは建築規制が働くため。詳細は省略)、広さは約4.5畳というもので、ヴィークコート浜田山」という新発売マンションに導入されています。
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●床下収納は限られた住戸だけの稀少なもの
ご承知のようにマンションの床下は、1階住戸を除いて下の階に他人の家がありますから、収納スペースを設けることは極めて困難です。しかし、稀に設置できるケースがあります。
それは下の階の天井が深い場合です。深いと言っても、せいぜい50センチ程度です。それ以上深く取ることはコスト面で困難だからです。採用する例はレア中のレアです。
最近、たまたま覗いたモデルルームで全階のキッチンに床下収納というプランに遭遇しましたが、見せてもらって失望しました。無理をしてつくったもので、何と缶詰・ビン詰が1段の高さで入る程度の深さ(約8センチ)しかなかったからです。まあ、ないよりはマシという程度のものでした。
やはり床下収納を設けられるのは、1階住戸に限られます。

●売りにくい1階住戸
かつて、マンション不況の折に1階住戸は特に売りにくいことから、マンションメーカーは様々な工夫をしたものでした。
和室があれば掘り炬燵を設けたり、畳1枚を電動で持ち上げて収納スペースとしたり、オーディオルームなどとして使える地下室をつくったりしたものです。中には、核シェルターになる部屋をつくった例もありました。また、反対側の玄関を勝手口にし、庭側に表玄関を設けたタイプもありました。庭に離れの部屋を設けたユニークなプランもあったと記憶しています。
最近これらのアイディアはほとんど見られなくなっています。

そんな中でポピュラーになったのが、専用庭付き住戸や専用駐車場付き住戸などです。一方、定番になりかかって、その後消滅したのが、掘り炬燵と深さ1メートル余、広さ4.5畳余の大型床下収納でした。

1階住戸は何故売りづらいのでしょうか?以下のようなデメリットがあるためと考えられます。
1.寒い・・・1階住戸は断熱材を入れて対策しているのですが、サンドイッチ住戸(上下左右にお隣さんがある家)のような効果は出にくいのです。
2.防犯面の不安がある・・・防犯センサーを窓に取り付けてあるので、外部侵入があれば直ちに防犯ベルが鳴り響き、管理人や警備員が駆け付けるようになっていますが、それでも侵入されてからでは遅いかもしれません。
3.プライバシーの確保が難しい・・・垣根を設けていますが、人通りのある道に面しているような位置関係にある場合は、覗かれる心配があります。
4.日当たりが悪い・・・前方にアパートなどの既存の建物があるケースでは、接近度合いによって日照状態が悪くなるものがあります。
5.眺望がない・・・もう語るまでもなく、遠くを見渡すことができる1階住戸は傾斜地しかありません。

●1階住戸の魅力
上述のように、1階住戸は稀少なものですが、稀少が価値あるものであるためには様々な特色を持たなければなりません。単に専用庭があるというだけでは魅力に乏しいのです。勿論、専用庭の広さ、使い勝手にもよりますが。
それだけデメリットの方が大きいということです。
よく元気な男の子がいる家庭の相談者から、具体的な物件で1階住戸の価値評価を依頼されますが、最近の物件はどれも微妙な内容ばかりです。
「価格の安さで勝負」みたいな企画ばかりが横行していると言ったらマンションメーカーから非難されるかもしれませんが、そんな印象を強く受けます。

1階住戸は、例えばプライバシーに難点がある代わりに住戸以上の大きな庭がつき、かつ大型床下収納がある、そのうえ上層階の価格よりグンと安いと来たら食指が動くことでしょう。
問題は、メリットの大きさです。デメリットを補ってお釣りが来るほどのメリットでなければ後悔につながります。つまり、将来の売却において、価格が期待を裏切ることが多いのです。安易に手を出さない方が良い――それが1階住戸の留意点です。

この判断は簡単ではないかもしれませんから、そのような物件を検討する際には是非ともご相談いただければと思います。
最後に、子供がうるさくて隣近所に迷惑をかけるかもしれないと心配しながら上層階を選んだ人も、我が子に対する教育のおかげで実際は静かにしてくれているという例もあることを付言しておきます。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。「無料相談」と「マンションの無料評価サービス」があります。

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