中古マンションは本当に安いか?


ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています

「業者の利益が乗っていないので、新築より中古が得と思って探しているのですが、中古でも気に入った物は新築並みに高いということに気付きました。中古を買うのは本当に得なのか疑問なのです」――このような声をときどき耳にします。本当のところはどうなのでしょうか?また、どうして中古なのに高いのでしようか?今日は、そんなことについて述べようと思います。

●優良中古は新築価格に近い
例えば、かねて目をつけていた中古マンションで、10年前の新築分譲時に5000万くらいした部屋が4500万円(10%しか下がっていない)で市場に出たとします。一方、近所に新築の物件があって、気に入っている部屋は5300万円するとします。
その差は700万円ですが、中古の方は若干のリフォーム費用と仲介手数料がかかりますし、登記料や固定資産税の軽減措置がないので、実質的には400万円くらいの差にしかなりません。
それなら、少し頑張って新築を買った方が良いという判断が成り立つかもしれません。
しかし、コトはそんなに単純ではないのです。

常識的には、築10年の中古マンションが新築の10%安というのは、かなり優良な中古マンションということであり、その立地条件や建物全体の内容(共用施設の充実度、グレードなど)が優れていて、かつブランド力も高い物件という前提になります。下手な新築より価値のあるマンションです。
ただ、中古マンションには「耐久性=建物の劣化の軽減」の項目(性能表示における)が最低の等級1という例もあります。それに対して、直近のマンションは等級3が多いので、その面では新築の方が良いということは言えるかもしれません。
さらには、防災対応設備においても新築マンションの方が優れているはずです。

●優良な中古は取得が難しい
中古の優良物件は、実は市場に出ても直ぐに買い手がついてしまうため、フットワークの良さがないと手に入らないという現実があります。
つまり、出たら即決するつもりで待たなければならないのです。優良な中古マンションには順番待ちリストがあるほどですし、仲介業者と親密な関係を保つ必要もあるとも言います。

こうしたことを鑑みると、優良な中古マンションを手に入れるのは中々大変そうです。人気マンションは、価格差だけを見れば新築とほとんど差がないというのも真実です。それでも手に入れたい中古マンションは、かなり惚れこんだものであり、かつ、将来はヴィンテージマンションと呼ばれるような類になるのでしょう。
そのようなマンションは、もはや価格ではないかもしれません。どんなに高くても買いたい名品というわけです。
●中古マンションはピンキリ
そこまでの惚れこみようではなく、単に「中古なら新築よりお得であろう」という発想でしたら、それは間違いかもしれません。
同一地域の中古マンションを拾って比較してみると、駅からの距離、建物規模、ネームバリュー、デザイン、管理状態などで驚くほどの差があることに気付きます。築年数で大きな開きがないのに、改めて価値観の差が価格に反映されるものだと教えられます。
それぞれ新築のときは、さほどの価格差がないにも関わらず、中古市場では大きな差がつくのです。
ということは、安いマンションは誰も買わないから安いことを意味しています。そのようなマンションを果たしてお買い得と言いきれるでしょうか?

次に、10年先のリセールバリューという視点で考えてみましょう。築10年の中古は築20年、新築は築10年ということになりますが、その時、どのような差が表われるのでしょうか?
20年経ってもあまり変わらない中古と、10年で大きく値を下げる中古、そんな例は多数存在します。20年経ってますます安くなってしまった中古と、築10年に到達したが新築並みの人気中古という例も勿論あるのです。
折角人気エリアにあるのに、駅から遠いために敬遠されている中古マンションがあります。ブランドマンションであっても、小型で貧相な外観と管理費が高いことが嫌われて値が付きにくい中古マンションもあります。
反対に、駅2分の便利さとランドマーク的存在感が20年間高い人気を保ち続けているマンションがあります。再開発が進んで10年くらい前から人気が急に高くなり、20年経った現在では、新築マンションの供給が途絶えていることも手伝い、高い値がつくマンションがあります。

●結論は「新築・中古を問わず物件によりけり」
モノの価値は需給関係で決まるものであり、新築マンションには業者の利益が乗っているから高い、中古はそれがないから安いと考えている人をたまに見かけますが、そんな単純な関係ではありません。。
業者の利益が乗っていても新築に魅力があるから買い手が付くのですね。反対に、利益をゼロにした値引き物件でも売れない新築は少なくありません。一方、中古の人気マンションには個人の所有者の転売利益が乗ることに気付くべきです。

結局、新築であれ中古であれ、マンションの価値は個別要素が大きく左右しますから、あくまで具体の物件ごとに判断していくほかにないのです。
「安もの買いの銭失い」という格言があります。「安かろう、悪かろう」というのもあります。「安さ」は要注意です。
反対に、一見高いように思えて、長い目で見れば割安の良い買い物になることだってあるのです。
これらの金言を肝に銘じてマンション探しをしたいものです。

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