「どうせ買うなら広い家」―この方針は正しいか？

ブログテーマ：元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月５と１０の日に投稿しています

比較的若い年代の購入者に、マンションを購入する際に永住するというイメージはないはずです。では、何年くらい住むつもりなのでしょうか？
最初から何年と決めて購入する人もないわけではありませんが、普通は「転勤があるから分からない」とか、「子供の進学先によっては住み替えるかもしれない」といった感じで、曖昧なものです。
とはいえ、「子供ができたときのことを考えて間取りは3LDK」などと、ある程度長く住む前提で広さを求める人も多いように思います。また、現在の住まいとの比較で「広い家に住みたい」という願望が先に立つようです。
このとき、予算が問題になって来ます。広ければ価格が高いからです。
勿論、購入できないわけではありません。超低金利の現在、かつては考えられなかった大きな予算が組めるのも事実です。しかし、それでも予算の厳しい人も多く、無理をしがちであることも一方の事実なのです。
無理をしないで行こうとすれば、広さを優先することによって、例えば日当たりや眺望・見晴らし（開放感）の悪い下層階になってしまったりします。ここが問題です。

永住と決めている高齢者などは別ですが、マンションはいつか買い替えるときがやって来ます。そのときに有利に売れる、平たく言えば高く売れることを願うのが普通の心理です。そのためには、そのマンションの中で「より条件の良い住戸」を選ぶのがコツです。例えば、日当たりの良い住戸、眺望の良い住戸、ルーフテラスの付きの住戸、端住戸（角部屋）などが代表です。
こうした条件の良い住戸は、強気の値付けで売り出しても、程なく買い手が決まるものです。
対して、広さを優先して日当たりや眺望などを犠牲にした住戸を選んでしまうと、売却時に見学者を失望させ、価格を下げざるを得ないことが多いのです。

ところで、予算に余裕がある人は、日当たりや眺望が良くて、かつ広い住戸を選択できるわけですが、その場合は、問題がないのでしょうか？
有利に転売できるという面では問題はないはずですが、実は別の問題が残ります。
広い家に一度住んでしまうと、広い家なりに家財が増えるからです。
家財が増えるとどんな問題があるのでしょうか？それは、買い替えの際に、「もっと広い家に」という志向が生まれてしまうことにあります。普通の心理として、80㎡くらいのマンションに住んだら、次は100㎡くらいの部屋に住みたいと考えるのですね。
そのような買い替えが何も問題なくできてしまう人も無論たくさんありますが、それが障害になってしまう人もあります。
買い替えがランクアップ、ステップアップのためだとするなら、場所も建物のグレードも、あるいは広さも上のものを望みますね。当然ながら予算が大きくなります。
買い替えを検討する際には、それが可能な所得の向上、貯蓄の増加が前提になっているものですが、それでも、この高い願望を満たそうとすると予算が厳しいという現実に直面する人が少なくありません。

●広さの願望は抑えましょう
話を元に戻します。
専有面積が狭いものは、各室が狭かったり収納が小さかったりといった欠点が目につくことになります。70㎡クラスの3LDKなら、将来の子供部屋に予定する部屋は4.5帖しかなかったりします。
そこで悩みます。もう少し広いタイプはないかと見渡すと、75㎡の3LDKがあります。しかし、予算から追って行くと、日当たりとプライバシーに問題ある下層階だったりします。
このとき、広さを優先せず、日当たりやプライバシーに問題ない住戸（多くの場合、上層階）を選択することが大事です。その方が高値を維持できるからです。
ところで、狭いタイプで妥協することが簡単にできるものでしょうか？
「賃貸マンションなら仮住まいなので我慢できるが、マイホームは長い間住むのだから、ゆったり広い間取りを買いたい」と、広さに固執するものではないでしょうか？
　次に、この点を検討して行きましょう。

●子供部屋は立派過ぎない方が良い
広い子供部屋は、むしろ親子の断絶を招く原因にもなりかねないという学者がいます。
居心地が良いと、親子のコミュニケーションが稀薄になる可能性が高いというのです。部屋が広過ぎると、友達を呼んだり、そこら中にゲーム機やら本を散乱させたりしますし、部屋の中に閉じこもってしまう傾向が強いというわけです。
一番の問題点はここにあります。子供に自由を与え過ぎ、親も干渉しなさ過ぎて家族崩壊が起こってしまうといいます。

個室は整理整頓されてさえいれば、むしろ狭い方が落ち着くものであり、子供が何かに夢中になっている時は、部屋の大小など考えていないので、必要最小限あればよいのだそうです。
個室は寝るだけのスペースとし、学習コーナーはリビングの一角に設ける方が良いと言う主張も最近よく見聞きします。

子供の自立心を育むためにも、また、子供だって一人でいたい時があるし、親に内緒のこともあってよいので、やはり個室を与えるのは必要かもしれません。しかし、広すぎるのは問題があるそうです。

以上の点から、子供部屋は、ほどほどの洋室、もっと言えば小さな個室で十分と考えられます。

●子供がいない人は2LDKで十分だ
いずれ子供ができたときのことを考えて3LDKを買っておきたいと考えるDINKS購入者があります。
そこで、ついつい無理をしたり、無理をしない場合は下層階などの問題住戸を選択してしまったりするのです。ここに大いなる問題があります。
子供ができて手狭になったら、そのとき広い住まいに買い替えればいい――この着眼点を持ちましょう。
面積はコンパクトであっても、日当たりや眺望、あるいはプライバシーの面などで条件の良い住戸を選んでおく方が、つまり3LDKではなく2LDK（コンパクト3LDK崩しの2LDKでも同じ）がよく、条件の良い位置にある住戸を選択する方をお勧めします。

子供ができて個室を与える年齢に達するまで何年かかるでしょうか？普通は10歳くらい、早くても7歳です。としたら、まだ子供のいない夫婦が子供部屋を必要とするのは、今から早くて8年後のことです。
8年ないし10年間を、まずまず優雅な気分で暮らせる広さを求めたらいいのです。2LDKで十分ではありませんか。必要な時期が来たら売却しましょう。8～10年は、売り頃とも言われます。条件の良い上層階などを購入してあれば、買い替えもスムーズに行くはずですから。

但し、勘違いなさらないように補足しておきますが、立地条件の悪いマンションでは、売却価格があまり高くならないどころか、住宅ローンの清算ができないようなレベルに値下がりする場合もあるという事実をお忘れなく。

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