シニア夫婦の間取りは1LDK+2DENがいい

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2012年7月、55歳以上の男女を対象に行われた、あるアンケート調査によれば、夫婦それぞれが自分専用の個室を欲しいと考えていることが分かりました。

アンケートでは、男女とも8割以上の人が自分だけの「くつろぎの部屋」や「趣味の部屋」が欲しいと答えており、夫婦といえどもプライベートな空間を確保したいという希望があるとのこと。解説によれば、適度な距離感を保つことが夫婦円満のために必要と考えていることの証しなのだとか。

そう言えば昨年、三井不動産レジデンシャルが実施した「第6回三井住空間デザインコンペ」最優秀作品に「3つのリビングがある家」というコンセプトの間取りがありました。

夫婦が孤立し過ぎることも、同化し過ぎることもないよう、適切な距離感を意識した「二人のリビング・趣味のリビング」「妻のリビング」「夫のリビング」の3つの空間をレイアウト。「二人のリビング」の壁には、小窓や引き戸を設け、居室全体をゆるやかにつなぎ、キッチンで料理をしている時やそれぞれのリビングに居るときにも、お互いの気配を感じられるようプランニングした――と説明しています。

このプランには寝室が見当たらないので、そこはどうするのだろうと首を傾げるしかないのですが、ともかく夫婦それぞれのプライベート空間を設けた点は目を引くものでした。
(この間取り図は、無償提供中のBOOK「住んで気付くダメ間取りと名作間取り50選」に掲載していますので、ご興味のある方はこちらからお申込みください➔http://mituikenta.web.fc2.com)

子供が独立し夫婦二人だけになったとき、自宅マンションの間取りはどうあるべきかを今から考えておいても無駄ではありません。
上記の調査データを参考に、私が考える間取りの基本形を披露しましょう。といっても、ここでは図面をお見せできないので、概念のみとなりますが、お読みいただければ幸甚です。

●寝室は別々でないことが前提

夫婦は何歳になっても寝室をひとつに、というのは多数派なのでしょうか? 以下のプランは夫婦同室を前提にして考えたものです。

寝室にはシングルベッドを2台置きますか?それともダブルベッド1台でしょうか?これも家庭によって異なりますが、どちらにせよベッドと妻のためのドレッサーが置ける広さが必要です。
ドレッサーは、洗面所の三面鏡を使いたいという人もありますが、それだと妻の身支度・化粧時間は、夫が使用不能になるので困ります。しかし、その場合は、トイレを洗面所兼用にすることで解決できます(後述)。

ベッドの両脇は40センチ以上の空きスペースを確保します。寝るだけの部屋と割り切るのです。ドアの位置や縦横の長さなどにもよりますが、おおよそ6畳分の広さで間に合います。

部屋のスペースとは別に、クローゼットも考えます。完全リタイアしたら夫の洋服は少なくてすみますが、毎日スーツに着替えて出かける期間も残っているならば、大きなサイズが要るでしょう。また、ほぼ生涯リタイアがない妻の分は、それなりのスペースが必要ですね。

●夫は「書斎 兼 趣味室」、妻は「家事室 兼 趣味の部屋」

次に、寝室とは別に夫と妻それぞれの専用ルームを考えます。夫が「書斎 兼 趣味の部屋」、妻は「家事室 兼 趣味の部屋」というイメージです。

それぞれの部屋は完全に閉め切るのではなく、セミ独立空間とします。ドアを引き戸にし、普段は開けっ放しにします。もちろん閉め切ることも可能ですが、中がぼんやりと見える半透明ガラスのドアがいいでしょう。
二つの部屋が廊下を隔てて離れているよりは、二間続きにしておき、普段は引き戸で仕切るのも良いような気がします。何かあればつないで使うことができますから。
その必要がない人は、間仕切り壁は腰の高さまでとし、上部を半透明のガラス窓や障子にするといいでしょう。

また、二つの部屋はどちらもリビングルームから中が見える位置にあり、中の気配が分かるように設える(しつらえる)ことが大事です。つまり、いちいちノックをしなくても用事があるときはひと声かければ済む状態にすることが大事です。

●共用のリビングルームも

夫婦が同じTV番組を観賞するというときもあるでしょうし、食事以外の時間に会話することも当然あるわけですから、共用のリビングも必要です。もちろん、食事が済んだら、そのままダイニングテーブルで話すことも可能ですし、TV視聴もできますから、割り切ってリビングルームはやめてしまう案もあります。ソファタイプのダイニングセットを置き、少し広めのダイニングキッチンでいいのかもしれません。

客を招きたいから応接室兼用のリビングルームは、やはり必須という考え方にも賛成です。孫が来たら遊ぶスペースとして、自室ではなくリビングルームを使うという人もあるでしょうし。

結局、夫婦二人になったら、1寝室+2DEN+LDKが理想というお話です。尚、DENとは英語で巣、根城という語源があり、住宅用語としては私室(書斎・仕事部屋)という意味ですから、夫婦それぞれがDENを有する家ということになります。

ただの3LDKよりは1LDK+2DENの方が、夫婦円満の快適空間になるかと思うのですが、いかがでしょうか?

●洗面所 兼 トイレのススメ

蛇足ですが、最後にトイレの話です。
最近はどこのモデルルームを見ても、トイレに洗浄用水を貯めるタンクが見当たりません。タンクレスのスマートな便器と、タンクの上の手洗い器の代わりに、サイドの壁に細長いカウンターと小さな手洗い器が設けられています。

この手洗い専用器をやめて、洗面所にあるのと同じサイズのカウンター及び手洗いボウルを設けることを薦めます。もちろん鏡も付けます。これこそレストルームですね。
こうしておくと、妻が洗面所を使用中にも、夫はトイレで洗面も髭剃りもできるのです。広くて豪華なイメージで、自慢のトイレとなることでしょう。

ここに紹介した夫婦二人世帯用の間取りのアイディアは、シニア夫婦用とは限りません。DENは子供部屋に転用できますね。是非、応用していただきたいものです。

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