第749回「その間取り、Wベッドは収まりますか?」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。

今日は、間取りの見方についての話です。注意すべき点をいくつか述べることにします。 先ずは「主寝室」から。  

●テーブルをはさんでシングルベッドが2つ置けますか?

どなたも販売図面に書いてある「6帖」とか「7帖」という数字に注目することでしょう。しかし、それだけでは不十分です。 問題は、家具配置、つまりベッドの置き方です。  

同じ6帖でも、Wベッドがきれいに収まるものと、壁に押し付けないと部屋のドアやクローゼットのドアにベッドにぶつかってしまう主寝室も多く見られます。  

 

壁に押し付けておいた場合、壁側に寝る妻は、手前を夫が占領すると、ベッドの足元からベッドの上を這って行かなければなりません。   *基本は、ベッドの両脇にスペースがあって、どちらからもストレスなく横たわれることができることなのです。主寝室は、畳数表示のチェックだけでは不十分です。  

●訪問者に奥までのぞかれてしまう玄関

次の間取りは、玄関に訪問者が立ったとき、奥が覗かれてしまう気使いのない「クランクイン」タイプです。

 

多くの間取りは「寸胴型」で、玄関のドア位置からストレートの廊下です。 この図のような「クランクイン」タイプは少ないのです。

●壁一枚で仕切られた間取りは家族間のプライバシー性に問題がある

上の間取りを見てすぐに気づいた人は専門家かもしれません。次の間取りも同じですが、3室が完全な独立型間取りなのです。  

 

家族間であっても、プライバシーは守られるべきですから、壁1枚で仕切られた間取りより優れていると言えるでしょう。

●寸胴型のホール+廊下ですか?

玄関ホールの先が廊下ですが、ホールと廊下に区切りはありませんが、高級マンションでは、接客のためのチェアが置くことができる広さのホールがあり、その先にくびれた廊下が続くのです。  

 

一般的なマンションでは、そこまでの広さは取れないものですが、顔としての玄関は開けた瞬間の横広がりが欲しいものです。 玄関は顔なのです。できるだけ広く、立派に見える形と広さが望ましいとは言えないでしょうか?  

 

上の間取りは、その意味で良い部類です。かたや、下の間取りは「寸胴(ずんどう)」型のホール+廊下で、残念なタイプですが、このタイプの間取りが多いのが現実です。

 

●廊下側の個室のプライバシー性に心配はありませんか?

この間取りは、主寝室が廊下に面しています。これは、まだ良い方ですが、多くの間取りが廊下との離隔距離が短く、寝室の前を家族以外の誰かが通行するのです。  

 

シャッター付きなので、中が覗かれることはないとしても防音性能が高い窓とは言えません。  

●洗面所はどこにありますか?

次の間取りは、角部屋で個室のプライバシー性も高く、良さそうに見えますが、浴室の出入りが問題です。 廊下でなく、リビングダイニングから出入りする形だからです。  

 

女子がいる家庭では、父親がリビングに居るときは入浴できないという事情があるでしょう。 家族であっても、湯上り姿を見られずにすむ位置、すなわち廊下に出入り口があった方が良いのです。

●収納スペースは十分ですか?

次の間取りは、大きなウォークインクローゼットあって、寝室からもダイニングからも出入りできる2WAYです。大きさもさることながら、出し入れに重宝するはずです。悪くない工夫と言えましょう。

 

 

●柱は室内に張り出していませんか?

上図で気づくのは、柱が室内に張り出している部分が僅かという点です。業界ではア「アウトポール設計」などと呼びますが、中には4本とも室内に張り出していない例もあります。  

 

柱が室内に飛び出していると、表示は6帖でも実質は5.5帖しかないことになるのです。建築基準法では「壁芯面積」で表示することになっているので、誇大広告ではないものの、表示数字には注意しなければなりません。  

●間取り以外の面では?

本題から少し離れますが、間取り以外で注意したい点についても少し触れておきます。  

 

店舗が1階・2階に設置されたマンションでは、店舗の種類が問題です。飲食店の場合は、ゴキブリが上階に上って来ることがないとは言えないからです。清潔にしているはずですが、完璧はないと思った方が良いのです。  

 

小型スーパーが1階にあると便利とはいえ、生ものをあつかっている店は心配です。食料品以外の店でも、見た目が悪い店はマンション全体のイメージを落としがちです。

 

店舗付きマンションは、管理規約のチェックも必須です。  

●等価交換方式のマンションで注意したいこと

旧地主の意向が強く反映された残念なマンションがあります。  

 

港区の某マンション、高級マンションかと思いきや、依頼を頂いて調べたところ、室内は高級だったものの、共用部はお粗末だったのです。共用部分を極限まで削った設計だったからです。

 

価格は立地条件なりに高い物件でしたが、そのエリアには似つかわしくないシンプルな外観デザインと、エントランス周りの狭さ、高級感が足りない残念な物件だったのです。それでも立地なりの高値で売り出されていました。  

 

マンションの商品企画は、マンションメーカーに主導権があるとはいえ、等価交換方式の物件では、旧地主が「より多くの住戸・面積」を欲しがります。等価交換方式のマンションとは、簡単に言えば、土地代の支払いを現金でなく完成建物の一部とするものです。  

 

元の地主は、可能な限り高く売りたいと考え、代金として受け取る住戸数(面積)が多いことを望むのです。 交渉事ですから、売り手と買い手(デベロッパー)との綱引きになり、用地難に苦労を強いられているデベロッパーは、地主の要求を受け入れざるを得ないのです。  

 

要求が単独地主ならまだしも、多数の地主であったりすると、デベロッパーは多勢に無勢で、地主側の要求を受け入れざるを得ないことになるのです。用地難に苦悩するデベロッパーは弱い立場にあるとも言えます。  

 

分譲価格を相場に抑えるため、仕方なく共用部分を削り、販売面積を増やそうとしたものが商品化されてしまうのです。  

 

共用面積、すなわちエントランスホールやロビー、ラウンジ、コミュニティホールといったものが排除されたり、最小面積に切り詰められていたりします。 残念な設計・商品企画と言わざるを得ないのです。  

 

住戸数のシェアも問題です。旧地主が持つ住戸数の割合が多いと、管理組合の決議が旧地主側の意向によって左右されることになるからです。  

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