マンションの価値を決めるエリア特性と個別要因

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

●マンションの価値を大きく左右する立地条件

マンションの価格には、随分と地域格差があるものです。
同じ23区内でも大きく異なり、例えば区別平均を比較すると、最高は港区で平均坪単価は@400万円を超えます。70㎡換算で9000万円もするのです。都心に近い割に安いと人気の高い江東区は上から10番目くらいですが、坪単価@250万円、70㎡換算で5400万円と、港区とは大きな開きがあります。最下位23番の区になると、どれだけ安いか想像していただけることでしょう。

また、駅別に見ると「六本木」、「渋谷」、「広尾」などが坪単価で@450万円もしますが、人気の「豊洲」はおよそ半分の@230万円と格安です。
東京市部では、「国立駅」が@220万円、「府中駅」@211万円、神奈川県に目を向けると「横浜駅」や「日吉駅」は@220万円、「大船駅」や「茅ヶ崎駅」が@160万円、埼玉県では「大宮駅」が横浜駅と同じ@220万円、千葉県では「船橋駅」が@200万円ですが、「柏駅」は@150万円といった具合に大きな差があるのです。

このような差はどうして生まれるのでしょうか? 様々な理由・原因がありますが、簡単に言ってしまえば「住みたい街としての人気度」と「商業集積度」から生まれるのです。

環境がどれほど良くても、通勤に不便な場所は人気が高まりません。新しい鉄道が完成し、都心へのアクセスが飛躍的に向上しても、駅周辺にスーパーが1軒できたというだけでは住まいの魅力は乏しいはずです。
通勤ほか生活の利便性が高いこと、更に暮らしを彩る各種施設が豊富に揃っていることが人気になる重要なポイントです。

人口が多い場所や、乗降客の多い鉄道のターミナル駅周辺には、魅力あふれる商業・娯楽施設が集まっています。金融サービスや教育産業、飲食業も多数あります。
これらが豊富に集まるエリアほど人が集まり、人が集まるから新たな施設やリニューアルされた施設が次々にできるのです。

東京に限らず、都心には職場(企業)があり、買い物施設、娯楽施設、飲食店があり、優れた教育機関が豊富に揃っています。そのうえ、意外にも自然環境も良く、足りないのは保育園・幼稚園だけと言って過言でないほど何でも揃っています。
それゆえに、都心の住宅は価値が高く、郊外は低いのです。

東京と他の都市では規模の大小が違うだけで、都心と郊外の住宅価格の差は同様です。上述のことが要因になって生まれるのです。

●平均と個別の違い

以上に述べたのは、あくまでエリアごとの平均値に過ぎません。マンションという商品は、二つとして同じものがなく、個別の条件や内容がみな異なります。
同じ最寄り駅のマンション同士を比較しても、駅までの距離、道路付け、騒音、自然環境、建物の構造、グレード、共用施設・設備の内容、植栽、ブランド、管理サービスなどが異なりますし、同じマンションでも、住戸によって日当たりと眺望、広さ、間取りなどが違ってきます。

このような違いを個別要素とすれば、同一エリアであっても価格(価値)が微妙に、また大きく異なるのは当然と言えば当然です。

開発業者は、エリア相場を考慮して、そこからあまり乖離しない価格で建設しようとはするものの、良いものは高くて当然と考えますし、条件の悪い物件であれば安く建設するように企図します。
ライバル物件が駅から徒歩10分にあって4000万円であるとき、我が社の計画は3分の近さにあるのだから、4500万円でも価値があるだろう(売れるだろう)などと目論むものです。
実際には、近い、遠いという距離の要素だけではなく、他の要素も絡んでの比較になり、同じ駅が最寄りであっても、一方は4000万円で他方が5000万円といった価格差が生まれたりします。

例えば、建物のグレードやブランドによる価格差も生じるものです。
ライバル物件を意識して、通常よりグレードを上げることもありますし、反対に価格の安さで差をつけたいという意図から、ライバル物件より影響の小さい部分や見えない部分でグレードを落とす例もあります。
設備・仕様のグレードは落とさない代わりに、構造や装飾をシンプルにして個性も面白味も何もない外観デザインになっている例も多く見られます。

ブランドが価格差につながるのは、大手有名業者が利益を多く取っているということではなく、ブランドにふさわしい建物にしようと、隠れた部分でも厳しい社内基準に沿って建設していることや、見える部分でのグレードの高さなどが反映されるためです。

もっとも、ブランドにふさわしくない物件も少なからず存在します。それは、それなりの理由や背景があったと推察できるのですが、具体例は別の機会にご紹介しましょう。

さて、このようにして企画されたマンションは、価格は似たような物件同士でも価値の違いのある物件が誕生します。また、価値が明らかに高いとしても価格が高過ぎると思われる物件、その反対に割安な物件といったふうに、同じエリア内でもバラつきができるのです。

●価値を見極めるのは大変むずかしい

買おうとしているマンションが、価値に見合った適正な価格なのかどうか、これを見分けるのは中々難しいものです。多数の要素が複雑に絡み、それらを測る一定の尺度や便利なメジャーなどが存在しないからです。

購入するときは、自分の予算を睨みながら好みの問題や優先条件などを念頭に置きながら、いずれはどこかで決断するとしても、途中では混乱が収まらなくなってしまう人も少なくありません。

将来の売却価値まで考えると、更に難しくなるようです。街の発展予測も困難ですし、価値を保存するための維持管理のウェイトも高いだけに、果たして将来どのくらいの価値になるのか、予測は極めて困難です。
また、そもそも分譲価格が適正なのかどうか、少し高いのではないか。そんな疑問も湧いて来たりもします。
同じマンションが二つとして存在しないために、考えれば考えるほど混迷の度は深まります。

しかし、後悔しない買い物をするためには通らなければならない隘路(あいろ)です。

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マンション選びで最も重要なのは立地条件ですが、それ以外の個別要素も軽視できません。言い換えると、最後は「立地条件を含んだ個別要因」がマンションの価値を決めるのです。

たとえ相場より安い価格でも実際の価値はもっと低い場合があり、反対に相場を大きく超えて割高に見える物件でも、将来価値はその上を行くという物もあることを念頭に置きましょう。

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