新築並み価格の中古マンションを考える
- 2013.02.15
- 中古マンション
ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています
このブログをご購読頂いている読者の中には、新築と並行して中古マンションをお探しの方も少なくないことと思います。
そんな方のために、新築並みの価格で売り出される中古マンションのことをお話ししたいと思います。
●中古は安いのが当たり前というけれど
建物は、工事が完成した瞬間から老朽化が始まります。寿命の長い鉄筋コンクリート造のマンションとはいえ、数年経てば新築の時とは見た目が変わって来ます。初めは単なる汚れだけかもしれませんが、次第に傷や故障、不具合が生じて来ます。エレベーターや廊下などの共用部もさることながら、区分された各住戸もキズと汚れが目立って来ます。どんなに綺麗好きな家庭であっても、経年劣化は免れないものです。
そんな中古マンションは、新築より価値が劣るのは当然です。まっさらな新築と他人が使い込んだ中古、価格に差ができてあたりまえのはずです。然るに現実はどうでしょうか?
20年も経過した中古なのに分譲時の価格を上回る値段で取引されている例は多数あります。 反対に、5年も経たない築年数の浅いマンションが分譲時の価格を30%も下回る価格での取引になったという実例もあるのです。
このような実態をどう考えればよいのでしょうか?
値上がりしたマンションは管理状態が良かったからでしょうか?値下がりしたマンションは、管理が悪かったからでしょうか?値上がりしたマンションの地域は、何かの事由で土地に対する需要が増え、それに伴ってマンション価格も上がったのでしょうか? 反対に値下がりしたマンションは、僅か数年で人口の急減などで需要がなくなってしまったのでしょうか?あるいは環境が悪化して誰も住みたいと思わなくなったからでしょうか?
値上がり、または値下がりのメカニズムが分かっているようでもあり、実は正確に理解している人は多くないようです。
●中古マンションが値上がりする要因――①新築価格による
新築マンションが地価や建築費の高騰で値上がりする現象は、過去に何度もありましたが、中古マンションの価格は、この新築価格に連動して値上がりする一面があります。新築相場が上がれば、割安な中古に需要が向かいますから、やがて中古も徐々に値上がりするのです。
その後、新築価格が調整局面に入り値下がりすると、中古の割高感が出始めます。そして、再び新築に需要は戻り、中古は需要を失って値下がり局面に転じるのです。
最近10年の東京圏は、新築価格が25%も上昇しましたから、10年前に新築を購入した人は10年後の今、購入価格とさほど差のない、つまりほとんど値下がりせずに売却が可能になっているのです。
●中古マンションが値上がりする要因――②個別の条件次第でもある
上記のことは、あくまで全体的な傾向であり、これに物件固有の条件が加わって差が生じます。注目すべきは、その差がびっくりするほど大きいことです。
10年前に新築された、あるマンションは30%も値上がりし、同じ築後10年の別のマンションは40%も下がったという事実があるからです。
この差は、一体何が原因で起こるのでしょうか?本ブログでたびたび述べて来たことでもあるので今日は割愛しますが、改めて復習をお望みの方は「三井健太のマンションWEB講座」から「値上がりするマンションの7大条件」をご高覧下さい。
●新築に優る中古とは?
個別の条件がいくら良いと言っても、新築マンションの方が設備も最新のものであるし、防災設備なども追加されているはず。また、新築の方が綺麗に決まっているはずです。それでも中古が新築に負けない評価を受け、新築並みの価格で売買されるのは何故なのでしょう。(ここで言う、新築並みというのは一定エリアの平均的な価格、すなわち相場ということです)
言うまでもなく、マンションは世界に二つとないものです。同じような物はたくさんありますが、ひとつひとつが微妙に違います。駅から同じ距離にあっても、駅のあちらとこちらでは、環境がまるで違うこともあります。また、接面道路が広いか狭いかで道路騒音が違います。周囲の建物との関係では眺望や日当たりが異なります。さらに、敷地の規模によって、建てられるマンションの高さや戸数が変わり、開発した事業者の基本姿勢や思想によってデザインや管理サービスの中身も変わって来ます。
それらが中古マンションの価格を左右する面は間違いなくあるのですが、中でも最も大きな要素は場所です。場所の価値とは、距離と環境です。
駅から近いほど高い価値となり、同時に環境が良いほど高くなると考えられます。しかし、駅から近いと環境が悪いことが多いので、駅近の物件はすべて良しとは言えません。騒音がひどいこともありますし、駅の周辺は商業地なので高層建物が密集していてその影響を受けて日当たりが悪かったりします。
一方、駅から少し離れると緑が多く閑静な住宅街になっていたりします。
つまり、駅近の利便性と緑多く閑静な環境などとは相反することが多く両立しないものです。しかし、何事も例外があります。駅から2、3分ではないが7分、8分ほどの場所で、周囲は高級住宅街であったりするマンションがあります。それこそが稀少価値となるわけです。
駅周辺の大規模開発・再開発の場合は、住みごこちの良い環境も併せて造るものですが、これも稀少な物件となり得ます。
「場所の稀少価値」は、新築にも勝てる要因になり得ます。そのインパクトは、新しさや設備の先進性にも優る強さがあることを意味します。
一定エリアで探したとき、「中古は安い」として期待しながら、少しでも良い物をと望むうちに気に入る中古は新築並みの価格であることに気付かされます。
何故高いか、それは場所の価値が新築を超えているからですし、建物の内容も分譲中の新築を超えるスケール感やデザイン性を誇り、また経年で植栽が豊かに育ち明らかに新築を超えているからです。
簡単に言えば、「古い」のマイナスを、ほかの面のプラスで新築に並ぶ、若しくは超えている中古マンションが新築価格並みになるというわけです。
●稀少価値を買うべし
少しでも価値あるマンションを求めたい人は、新築・中古を問わず、「稀少性」に着目する必要があるのです。勿論、その稀少性は永遠のものではありません。今は普通のものも、将来は稀少なものに変化する場合もあります。
ともかく、ダイヤモンドのように「稀少な条件」を備えているかどうかを選択のポイントに置くと良いでしょう。
駅の周辺には空き地がなく、マンション開発は少ないものです。そう思っていたら、駅前のスーパーが閉鎖してマンション開発会社に売却され、大型マンションが販売されるといったことがあります。そんなタイミングでは、我が家の値打ちが一時的に下がることがあるでしょう。このような運、不運もないことはないですが、タイミングを前後させれば価値は保たれるはずです。
「駅から7分と、少し距離はあるものの、周辺は公共の大公園があり、かつ隣は大型SCやシネコン、スポーツ施設などが集積している」といった場所もないわけではありません。しかし、極めて稀少です。
このような稀少な物件を探すと言っても、現実は難しいのも現実です。環境的に特色が発見できない場合は、とにかく「駅近」を、目安は徒歩5分。その条件を大前提にして選択すると良いでしょう。
・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室 (http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。
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