買い手を煽る新聞記事 「マンション価格に上昇圧力」

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

嬉しくない新聞報道が出てしまいました。7月12日の日経新聞に「マンション価格 上昇圧力/大京など対応を検討」という見出しの記事を見つけました。この見出しが目に入った瞬間、いや~な感覚が頭をよぎったのです。

マンション価格の上昇圧力とは、鋼材やセメントなど建築資材の値上げのことです。

新聞によれば、「建築コストの上昇は避けられないが、それをマンションの販売価格に転嫁するのは難しいので価格を変えず専有面積の圧縮という、実質値上げを検討する(大京)」との声があるのだとか。

顧客誘導に都合よく使われる新聞記事

このような新聞記事は早速コピーされ、販売現場でセールス活動に活かすことになります。「だから買うのは今のうちだ」と。

新聞は事実の報道を行なうのが務め。決して買い手の購買熱に火を着けて煽るのが目的ではないはずです。ところが、結果的にそうなるのです。

いや~な感覚と書いたのは、ただでさえ消費税の増税と金利の上昇が駆け込み需要を生み、買い手を慌てさせる状態を生んでいる最近、さらに拍車をかける要素が加わるからです。
慌てて後悔につながる行動にならなければいいが。そんなふうに思うためです。

前回のブログでも書きましたが、慌てている買い手さんが急増している感じが私の元へ伝わって来るのです。そこへ、新聞記事という客観的事実を使った営業誘導が一段と強化・実行されれば、初めての買い手さんは完璧にはまってしまうだろう。こんな予測が老婆心であればよいのですが。

価格高騰前夜? 

建築業界は外から見ると摩訶不思議なところで、マンション業者が相見積もりを取ると上下で20%もの大差がつくことがあります。10億円クラスの工事では、下が9億円で、上が11億円といった開差が現われたりするのです。

いつもは高いゼネコンの見積もり額が一番安かったりもします。

設計と施工が別よりも、設計も施工もという形で発注すると予算内に納まることがあります。ゼネコンにとって工事のしやすい設計が可能だからです。

しかし、設計・施工方式は競争原理が働きません。発注者を悩ませる命題です。

今、様々な理由で建築コストが上がりそうというのは確かです。しかしながら、コストアップをそのまま分譲価格に転嫁すれば販売に支障が出てしまいます。

そのため、多くのマンションメーカーは悩むことになるのですが、建築業界の不思議さが救ってくれるのも事実です。

価格が高騰するかどうかは、建築費より用地費にかかって来ます。マンション用地はひっ迫していて、条件の良い土地には入札に何十社も殺到すると言われています。そこまででもない土地も、絶えず争奪戦が展開されています。

マンション販売は全体的に好調で、売り出し戸数も急増しています。
1~2年前に仕入れ、開発を進めて来た土地が販売開始段階に来ましたが、市場が活況と言えないときなら、着工はしても発売時期は様子見します。ところが、直近の市況は好調のため、前倒し発売に踏み切る例が増えているのです。

こうなると、次の土地仕入れも急ぐことになります。実は昨秋あたりから、その兆しはあったようで、水面下ではマンション用地の争奪戦が激化して、用地費高騰が既成事実となっているのです。

しかし、「土地と建物コストが上がりましたので分譲価格も上げます」は市場で通用しません。高い物件は必ず売れ残ります。だから慌てなくて良いのです。

「じっくり慎重に」を合い言葉に、間違いないマンション選びをしましょう。今くりかえしたい言葉です。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。

 

 

★三井健太のマンション相談室は、マンション購入のお悩みにお答えするサイトです。