売り惜しみ中古オーナー。マンション品薄に?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

新築マンション販売加速

首都圏のマンション販売が絶好調と、たびたび新聞に出るようになっています。新築マンションだけでなく、中古マンションも契約戸数を伸ばしていることが、各社の4半期業績発表でも明らかです。

好調の背景には、消費税の増税前・駆け込み需要が発生していることも明らかですが、金利の先高観測が後押ししているためと分析されています。

販売好調が伝わると、次に生じる買い手心理は「価格の先高観」です。
買い手は、「売れ行き好調は価格上昇を招く」と経験則で捉えているようです。

新築マンションの場合、販売好調によって売り手側に積極的な用地取得の動きが広がり、適地の争奪戦が激化して地価(仕入れ原価)が上がるので、マンション価格に影響するのは確かです。

しかし、新築マンションは土地を取得してから工事にかかるまで早くて半年、大型開発では1~2年の時間を要します。従って、販売好調が直ちに価格の高騰につながるわけではありません。しかし、既にマンション価格は高騰し始めているようです。

販売の好転は昨秋くらいから始まっていますから、用地取得の積極化が本格的に始まったのは今春からと見て良いのかもしれませんが、どうも用地争奪戦は水面下で進んでいたらしいのです。
ともあれ、今後は分譲価格高騰が加速することになりそうです。

中古マンション取引も活発化

一方、中古マンションは、開発期間という概念がありませんから、明日からでも価格が上がってもおかしくない理屈です。

中古マンションの場合、取引事例に基づいて売り出し価格を決めていますから、価格上昇は直ぐには目立ちませんが、成約スピードが早まり市場が活況を呈して来ると、仲介業者のセールス活動が強気に転じます。
その結果、買い手からの値引き交渉が空振りに終わり、成約価格は売り出し価格に近い値になります。結果的に中古価格は上昇するのです。それが、新たなレベルの比較事例となり、さらに価格は上方修正されて行きます。

何でも、最近は売り依頼を停止したいとか、売り価格を上げたいという所有者が出て来たのだとか。
買い替え先のマンションの引き渡し時期に間に合わせたいオーナーも、売り出し時期を測るようになっていて、ギリギリのタイミングを待つという考えが増えて来たのだそうです。

このような売り惜しみは、中古市場の品薄をもたらすでしょう。もともと中古の流通在庫は新築に比べて多いのですが、築年数の新しいものや人気エリアの好物件は少なく、それが売り惜しみされると、買い手にとっては将に狭き門となります。

新築マンションが供給量を伸ばしているとはいえ、絶対水準が高くはありませんから、中古と合わせたマンションの選択幅は狭くなりそうです。

こうした予想をすればするほど、購入検討者の買い急ぎ心理を煽ることになるので、筆者の本意とするところではありません。

大切なことは、焦ってカスをつかまない慎重姿勢です。理想が高過ぎても、マイホーム実現には至りませんが、こういう時期の焦りは失敗につながりやすいものであることも歴史が証明しています。

どうか冷静に、かつ的確・適切な判断を下されますよう願ってやみません。