マンション価格の上昇を前にして

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

首都圏の新築マンションが随分値上がりが顕著になって来たと感じます。データでも裏付けられますが、ここでは私の肌感覚のようなものをお伝えしようと思います。
併せて、今後のマンション探しの指針に役立つお話しをしたいと考えます。

●マンション評価サービスを通じて

私の仕事のひとつに「マンションの評価サービス」があります。言うまでもないのですが、ご依頼者であるマンション購入検討者が、「第三者の意見を聞いて購入を止めるか前に進むか」の参考になさりたいというニーズから始めたサービスにほかなりません。

客観的、かつ具体的にご検討・候補物件を査定評価するもので、建物と立地条件の評価とを併せて、価値あるものか否かを評するサービスです。当然ながら、価格は妥当なのかどうかが加わりますし、最も皆さんがご興味を持つ「リセールバリュー(将来価値)」についてもコメントするのを特徴としています。

妥当な価格かどうかは、先ず相場を調べます。単純比較では相場より高くても、物件価値が高いと判定できれば妥当な価格という場合もありますし、割高であると見なす例も多数あります。

反対に、相場よりかなり安い物件でも、その内容(品質や立地など)から判断して安くないとコメントすることもあります。

リセールバリューは、将来の予測ですから金額まで提示することはできませんが、価格の下落率が低いか高いかを、言い換えると価格維持率が高いか低いかを私なりの基準で格付けしてお答えしています。

平たく言えば、将来、高い値で売れる可能性が高い物件、そうでもない物件、低くなることを覚悟しなければならない物件などと分類して差し上げています。

蛇足ながら、このような物件は止めた方がいいとか、より慎重になさった方がいいなどと進言することも少なくはありません。

前置きが長くなりましたが、この業務を通じて最近強く感じることのひとつが冒頭で述べた「値上がり」です。

●価格高騰は建築費も地価も原因だが
前回(9/25)の記事で書きましたので繰り返しませんが、建築費と地価の高騰がマンション価格の背景にあるのは言うまでもありません。

原価が上がれば販売価格を上げざるを得ないのが経済活動の上では当然とも言えますが、単純に実行すればユーザー・買い手から支持されなくなるのも反面の事実です。

そこで、売り手は間接コストを下げたり、原材料の値上がり分を製造技術の工夫でコストを下げたりする努力をします。

しかし、その限界を超えるとユーザーに頭を下げて値上げを許していただくという構図に変わります。よくご存知のことです。

分譲マンションも単純にコストを売値に転嫁すればどうなってしまうか、最近では2006年から2008年にかけての価格上昇過程で業界は手ひどい痛みを経験しました。

従って、価格が上がる(上げる)ことは避けたいのが業者の本音でもあるのです。

しかしながら、マンションは企業努力の範囲が限られる商品であることも事実なのです。間接経費や利益を削るにも、元々粗利益が小さい商品なので、そこでの圧縮は難しく、方法は限られます。

●品質の低下に進むか?

建設用地は限られ、良い物件ほど争奪戦で仕入れコストは高くなり、建築費も現在はゼネコン同士が価格(受注額)競争をしてくれないので、どちらかと言えば発注する側が弱いのです。
原価を抑える手段は建物品質を下げるほかないところへ追い込まれた感があります。

しかし、耐震性などの基本構造部分は品質を低下させるわけにいきません。そこで、装飾を減らすこと、装飾の材料を普及品にすること、凝ったデザインは止めてシンプルにすることなどの方法でコスト削減を図ろうと動きます。

ここが問題です。華美な装飾は要らないが、新築のマンションは憧れでもあるので、「できたらあれは欲しいな」「ここは譲れないな」といったニーズを買い手は多分に保有しています。

その部分を造り手は満足させようとしますが、他は手抜きしてしまうといった設計に移行する懸念が出て来ました。いいえ、もうその疑いのある物件が散見されるようになっています。

少し前ならエレベーターを3基にしていたところを、これからは2基に減らす。床は二重構造だったが、今回は直貼りのシンプルな構造にしようなどといった策が広がりつつあるのです。

●品質を落とさず価格を強気でという物件も増加へ

評価作業をしていると、大手の同じブランドでも明らかに品質を1ランクか2ランク下げている例があることに気付きます。

文句ない品質にした物件も一方では見られますが、それは限られます。この立地なら高いと承知しながら買ってくれる客が集まるという強気の読みを持てる物件だけです。強気な姿勢を貫いている物件で立地以外の共通点を探すと、高額物件、大規模物件、大手売主といったあたりです。

高額物件は、株価の高騰などの資産効果もあって売れ行きが良いからと分析されています。買い手の中には海外の投資家も含まれるのだとか。
しかし、このような物件は特殊なプレミア物件だけと言っても過言ではありません。

一方、一般のサラリーマンが選択する物件の中には、やや中途半端と言っては失礼ですが、そのプラン、その立地では、価格に疑問符がつくものが増えています。「そんなに高額にしたら買い手の支持を得られないでしょう」と、他人事ながら文句のひとつも言ってやりたい衝動にかられる物件にしばしばで遭遇するようになりました。

現場で応対してくれた営業マンに尋ねると、「土地がないのです。建築費も高くでどうしようもないらしいです」と開発・企画担当者の声を代弁しつつ「高くてすみません」と言うのです。現場の苦労が何となく伝わってきます。

●価格上昇のトレンドの中で

確かに、新築マンションの価格は上昇傾向にあるようです。だから、安いうちに買わなければ手が出なくなると考える人がきっと多いのでしょう。売れ行きの良さが、それを証明してもいます。

しかし、希望に適う物件が見つからないとき、目をつぶって妥協し、本意でない品を買っていいのでしょうか?

ここが思案のしどころです。このブログで個人の事情まで斟酌しながら書くことはできないので、あくまで一般論と断って言いましょう。

絶対に慌ててはいけません。高値掴みに陥ります。また、安いと飛びついて安ものマンションを掴む危険があります。

高値は必ずユーザーの支持を得られず、販売の苦戦へ、そして値引き・値下げ断行と移行します。利益がなくても在庫を抱えるより、利益を放棄してでも処分へ踏み切るデベロッパ―が増えるのです。過去に何度も通った道です。

それまで我慢したらいいのです。品質を下げた一見安いものや、品質は良いが高いものを慌てて掴むより、じっくり待って良いものを安く買うという選択肢もあるのです。

その間、2年か3年くらい待つことになるかもしれませんが、それが許されるならそうするのも悪くないと思います。読者の皆さんはどう思われますか?

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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自分の選択に自信がおありの方も、念のために意見をお聞きになって損はないでしょう。一度お気軽にご依頼、お試しください。

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