繰り上げ返済の凄い効果

ブログテーマ:業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

住宅ローンを利用してマンションを買う。これは普通のことです。今は歴史的な超低金利で借りられるのですから、実に幸運とも言えます。その昔、住宅金融公庫が民間金融機関より低利で住宅資金を貸してくれた時代がありましたが、低い金利というのが実に5.5%。今では信じられない高さでした。
勿論、民間金融機関(銀行など)は、それ以上だったのです。7~8%台が長かったと記憶しています。

そのころから見れば、今の金利は異常なほどです。変動型ローンで0%台、固定金利でも1%台後半という超低利。こんな時代が来るとは、誰が予想できたでしょうか?

さて、超低利とはいえども、金利は長く払い続ければ「ちりも積もれば何とやら」で大変な金額になるものです。

ちなみに例題で挙げる「3500万円を35年返済」で借りた場合、35年間ずっと2.0%だとして、金利の合計は1370万円にもなるのです。

そこで提案します。極力ローンの利用額を少なくすること、借りたら早く返すことです。

すなわち、約定返済が何年であっても、途中で繰り上げ返済することをお勧めしたいのです。勿論、読者の皆さんは「繰り上げ返済」の存在をご存知だと思いますから、これ以上の解説は無用と考えます。今日ここで取り上げたいのは、繰り上げ返済の効果を具体的に数字でお伝えすることです。

例題として3500万円を35年返済で組み、5年ごとに300万円を繰り上げ返済した場合で試算してみることにします。利用するローンの種類は、フラット35(35年間の固定金利)で、金利は2.0%と仮定します。

期間短縮型の場合で試算
毎月の返済が何かの事情で重たいものとなってしまい、できれば負担を軽くしたいという場合もありましょう。その場合は完済までの期間はそのままにして、「返済額軽減型」を選択することもできますが、ここでの試算は「期間短縮型」のみとします。テーマは、いかに早く完済するかなのですから。

<1回目の繰り上げ返済>
・・・・5年後の残債:3136万円。ここで300万円を返済すると残債は2836万円。返済期間は残り30年から26年3か月に(45か月=3年と9か月)短縮します。

<2回目の繰り上げ返済>
・・・・5年後(通算10年後)の残債:2400万円。ここで300万円を返済すると、残債は2100万円。返済期間は残り21年3か月から18年1か月に(38か月=3年と2か月)短縮します。

<3回目の繰り上げ返済>
・・・・5年後(通算15年後)の残債:1593万円。ここで300万円を返済。残債務は1293万円。
返済期間は残り13年1か月から10年と5か月に(32か月=2年と8か月)短縮します。

10年と5か月後の完済時期は、通算では25年5か月後なので、都合10年弱の短縮です。ここまで来ると、完済までは僅かなので、更に5年後くらいに全額繰り上げ返済も可能となりましょう。ちなみに、5年後の残債額は705万円です。

完済までの期間が短いほど金利は減少する

繰り上げ返済を何回か実行することにより、借入元本が大きく減るわけですから、支払金利も当然ながら減少します。

説明を分かりやすくするため、繰り上げ返済をしない場合で比較してみます。

同じ3500万円を35年返済と20年返済で借りた場合とで比較すると、20年の場合は毎月の返済額は増えますが、最終的に支払金利は大きく減少することになります。

※毎月返済額は、35年返済なら115,941円ですが、20年返済にすると177,059円となります。
※金利の総支払額は、35年返済は1370万円でしたが、20年返済にすると750万円で済むのです。

これでお分かりのとおり、繰り上げ返済に努力すれば金利負担は大きく変わってくるのです。

繰り上げ返済の時期は早いほど有利

上記シミュレーションでは、短縮される期間が1回目で45か月[→]2回目38か月[→]3回目32か月と短くなっていることに気付きます。同じ300万円の返済なのに、いったいどうしてでしょうか?

借入当初は元金が大きいので金利も大きい。これが「元利均等返済方式」です。つまり、元利均等返済の住宅ローンは、元金と金利をプラスした返済総額が一定という方式ですから、金利が大きいということは、元金返済が少ないことを意味します。返済が進むと、元金は減って行きますから、毎月返済に占める金利も減って行き、反対に元金部分が増えていくのです。

元金と金利の動きを示します。「増える元金、減る金利」に注目してください。

回目 /返済額 /元金分 /利息分 /借入残高
1 /115,941/57,608 /58,333 /34,942,392
2 /115,941/57,704 /58,237 /34,884,688
3 /115,941 /57,800 /58,141 /34,826,888
4 /115,941/57,897 /58,044 /34,768,991
5 /115,941/57,993 /57,948 /34,710,998
6 /115,941/58,090 /57,851 /34,652,908
7 /115,941/58,187 /57,754 /34,594,721
8 /115,941/58,284 /57,657 /34,536,437
9 /115,941/58,381 /57,560 /34,478,056
10 /115,941 /58,478 /57,463 /34,419,578
11 /115,941/58,576 /57,365 /34,361,002
12 /115,941 /58,673 /57,268 /34,302,329
中略
60 /115,941/63,556 /52,385 /31,367,957
61 /115,941 /63,662 /52,279 /31,304,295
62 /115,941 /63,768 /52,173 /31,240,527
中略
105 /115,941/68,501 /47,440 /28,395,592
106 /115,941/68,616 /47,325 /28,326,976
107 /115,941 /68,730 /47,211 /28,258,246

毎月の返済額は115,941円で一定ですが、内訳は少しずつ変化していますね、元金が増えて金利が減っています。借入残金が減って行くので金利も減るのです。このことを先ず予備知識として持っていただきます。

繰り上げ返済とは、借りた元本を一気に返すことを意味します。融資を受けた5年後に300万円を繰り上げ返済するということは、その時点の残金のうち、61か月目の元金から106か月目までの元金の合計300万円を返済することを意味します。

この45か月分の元本を前倒しで返すと、対応する金利は無論ゼロ。これが繰り上げ返済・期間短縮の仕組みです。

同じ300万円の返済でも、5年後付近の月額の元金は少ないので45か月分にもなるのですが、2回目(通算120か月目)付近は月額の元金が増えていますから、38か月分と短くなるのです。

ということは、できるだけ早い段階で返す方が短縮効果は大きくなるというわけです。ならば、5年間で300万円貯めてから返すより、100万円でも貯まったら返し、また100万円貯まったら返すというふうに、早め早めに繰り上げ返済する方が得策と言えます。

繰り上げ返済の事務手数料に注意

銀行によっては、繰り上げ返済の手数料を要求するところもあるので注意をしなければなりません。その都度、手数料を払っていたのでは、効果は半減してしまいますから。
尚、フラット35は手数料が要らないようです。

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本稿のシミュレーションは5年ごとに300万円でしたが、これを500万円ずつにすれば、当然それだけ期間は短くなりますし、初回は100万円でも2回目が300万円、3回目は500万円などと変え、返済時期も早めにすれば、それだけ期間が短縮され、35年ローンが15年くらいで完済してしまうなどと、ウソのような現実もあり得るのです。

ローンの残っていないマイホームは、何かと便利なもの。様々な住み替え計画の絵が描けるからです。

ローンは早く返す。このことを肝に銘じておくとよろしいでしょう。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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~目次(抜粋)~
第1章 マンション業界の概括・・・5.デベの力量 /10.模倣で成り立つマンション業界

第2章 マンションの歴史と分譲会社の栄枯盛衰・・・1.構造転換を迫った大事件/2.撤退企業と生き残った企業/撤退企業の犯した過ち/3.国策に後押しされたマンション業界 /4.繰り返したマンションブーム

第3章 現代のマンション事情・・・新しモノ好きの日本人/ワケあり物件に注意/3.リノベーション住宅/4.単身者とコンパクトマンション /5.永住できないマンション/高い修繕積立金/人の寿命より家の寿命が短い/8.「値上がりしないマンション」を購入する場合の覚悟/

第4章 マンション業界の裏側・・・2.青田売りと完成売りの真実/モデルルームの魔力/完成済みマンションの舞台裏/6.ゼネコンが売主だから安いはウソ/7.安かろう悪かろうに注意/ 10.不動産屋の話はウソばかり ?/13.値引き販売の真実

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