「建設現場に外国人」マンションは大丈夫か?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

マンション価格の高騰が際立っていますが、その原因のひとつは建築費の上昇にあります。

建築費はなぜ上昇しているのでしょうか。それは、建設労働者の人件費が高くなっているからです。なぜ高くなっているのでしょうか?建設需要が増えているからです。

建設需要には、公共事業と民間事業があり、今は東日本関連の公共事業(復興需要)が主体と考えられます。

今後はどうか? 復興関連はもうしばらく続きそうですし、これに東京五輪の需要が加わります。競技施設の建設、道路整備、老朽化インフラの改修などです。選手村の建設も大規模なものです。なんでも2万人分の部屋を一気に(5年以内に)建てるのですから。

人手不足は当分続きそうです。

●人手不足が起こった根本原因

建設業就業者数は1997年ごろのピーク時から26.6%も減っていて、人数にすると、約200万人にもなるのだそうです。

根本原因は、公共事業批判にあります。箱ものばかり作ってどうする的な声が巻き起こり、バブル後のデフレ経済下で公共投資は著しく減ってしまったからです。

小説家で当時長野県知事であった田中康夫さんが、2001年12月20日に長野県議会において宣言した「脱ダム宣言」が何故か最も筆者の記憶に鮮明に残っているのですが、公共事業見直し論が高まっていた時期でした。

それ以来、国も地方自治体も、財政難から公共事業を減らすほかなく、その煽りを食って建設業界は縮小して行きました。

元はと言えば、公共事業にぶら下がって存在して来た業界であったとの批判も根強くあるのですが、今ふたたび公共事業の必要が起こり、建設業界の春が来たという向きもあります。しかし、事はそう簡単にすみません。仕事の依頼があっても人手不足で請けられないというゼネコンの声がよく聞かれるからです。

請けてしまった工事も、人が集まらないために遅延したり、日当が高騰したりして採算が悪化しているというのです。

新聞報道では、「入札不調」という文字がよく見られます。入札に参加するゼネコンが現れないのです。発注する側の提示する工事予定額以下の金額で応じられるゼネコンが1社もないというわけです。

●人手不測の解消に外国人を起用

このような現象は1~2年の一時的な現象ではなく、少なくとも2020年までは続きそうだと見ているのでしょう。建設業界は人手不足解消のために、自ら実務を教える研修所を開設するほか、外国人実習生を受け入れて採用するなどの対策を講じているようです。

政府も2020年までの暫定措置として規制を緩和し、受け入れ期間を3年から最長5年まで延ばしたり、原則禁止していた過去の実習生の再入国も認めたりして、現状の2倍、3万人規模まで増やす計画を閣議決定したと報道されました。

人数的には到底足りない規模のようにも思いますが、外国人の受け入れには諸問題があって慎重な日本政府ですから、この程度が限界なのかもしれません。

そもそも外国人実習生は、母国で活躍してもらうのが趣旨であり、日本の人手不足解消のために受け入れるわけではないのです。

●研修員で大丈夫か?

それはともあれ、外国人はどのくらいの戦力になるのでしょうか? 一部の現場(ゼネコン)の話として、「新卒の日本人社員よりは覚えも早いし、十分戦力になっています」とインタビューに答えているテレビ報道を見ましたが、果たして本当にどこまで役に立っているのか、即戦力として期待が持てるのか、筆者には疑問が拭えません。

建設現場には様々な職種があります。現場監督を筆頭に、鉄筋工、型枠大工、配管工、鳶職、タイル職人、塗装工、電気配線工、内装工、など多岐に亘り、どれも一定期間以上の経験が必要になります。

どのような職種でも、それぞれの現場には熟練した社員ばかりではなく、見習い社員や経験の浅い社員が混在していることが多いはずです。それでも商品として仕上げ、代金をもらうのが企業活動です。

建設現場も同じで、経験の浅い社員の仕事ぶりをベテラン社員がそばで監理、指導しながら安全に建物を完成させているのです。

しかし、人間が見られる範囲、言い換えれば指導できる人数には限界があるものです。まだ目が離せない浅い経験者が多数いるようなチーム構成では、完璧な仕事を成し遂げるのは容易でないはずです。

急激な人手不足は、施工ミスや雑な工事をもたらしかねません。それを避けるためのチェックシステムがあることも聞き及んでいますが、それが機能しないことも稀にあり、大きな施工ミスを最近も引き起こし、マスコミで取り上げられたりしています。

噂によると、小さな工事ミスは過去にも絶えずどこかで発生して来たのだそうです。むしろマスコミに大きな問題として取り上げられるくらいの方が、欠陥を修復して建て直したりするので安全な建物が出来上がるという見方もあります。

耐震性や耐久性の問題に関わる危険は少ないかもしれませんが、小さなミスは闇に葬られてしまいかねません。

小さなミスとは言っても、それが長い間にどこかに不具合を生じさせるかもしれません。やはり完璧な施工を望みたいものです。

●ますます品質管理の大切さが注目される

施工ミスや手抜き工事はないと固く信じ、表面的な仕上げも丁寧で美しいマンションが完成するものと買い手は誰もが思っています。

その期待を裏切るケースが今後は増える可能性が高くなっている。最近そんな風に思うようになりました。

しかし、現場に張り付いて監視することは買い手にできる道理もありません。

では、どうしたらいいのでしょうか?答えは見つかりません。

ゼネコンや売主、住宅性能評価書を発行する第三者機関、設計事務所などを信用するほかないぼです。

日本企業の良さは「信用第一主義」の姿勢にあります。粗悪な品物を造って売り渡せばあとはどうでもいいと考える企業はひとつもないと言って過言ではありません。しかし、悪意はなくても起きてしまうのが欠陥商品です。

過去に優良企業と言われた大手が欠陥商品を市場に出して信用を失墜させ、経営破綻へ追い込まれた例があるくらいですから、品質管理にはことのほか力を入れているのが日本企業です。その点は国際的にも評価が高いのです。

ミスをなくすために、二重三重のチェックシステムが設けられています。また、そのための人員や専門部署を持っていたりもします。当然、過去の失敗経験から得た教訓によって出来上がったマニュアルも用意されています。

こうしたシステムや体制がしっかりしているのは、普通に考えて「大手企業」であり、歴史の長い企業に違いありません。

マンション建設は、その多くが歴史あるゼネコンが担っています。大手5社でなくても十分な経験を積んできたゼネコンが多いのです。

そのゼネコンと、施主(売主)その他を含む複数の期間による厳重なチェックシステム下で施工されるならば、それを信用するほかはありません。

買い手の皆さんには、「このマンション工事の品質管理体制はどうなっていますか」と尋ねることをお勧めします。

最後にもう一言、無理な工期を設定していたり、価格が安いと感じたりしたら、その物件は注意しなければなりません。

と言っても、適正な工期がどのくらいかを知るのは難しいかもしれませんが、ひとつの基準は、建物竣工日から引き渡し日までの期間が1か月程度あるかどうかです。竣工日というのは、役所の「竣工検査済み証」公布日のことです。検査は、外構などは未完成でも「竣工」と認定されます。

そこからが最後の仕上げですが、その間には買い手による内覧検査も実施され、手直し工事が行われます。この期間がタイトであれば、突貫工事になってしまう可能性があるのです。また、マンション建築のスケジュールは、天候にも左右されます。最初からタイトな工期で始めた現場は、なおのこと、その懸念があるのです。

価格の安さは、建築費の安さから来ています。こちらは施工の問題と言うより設計そのものに懸念があるのです。ここでは割愛しますが、コストダウンの手法はいろいろあります。それが全て品質の低さにつながるとまでは言えないものの、見えない所での省力化や工程数の削減などによって安くなっていることも多いのです。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

★三井健太のマンション相談室は、マンション購入のお悩みにお答えするサイトです。

★「無料の未公開情報」や「マンションWEB講座」など、お役立ち情報も多数掲載されています。

★新築も中古も物件検索はこちらが便利➔➔➔➔➔➔➔➔➔➔➔➔http://mituikenta.web.fc2.com/index2.html

★あなたの購入マンションの将来価格をズバリ予想 :好評承り中!!
「ご購入マンションの将来価格 予測サービス」➔➔詳細は上記ホームページで
ご契約済み住戸でも可能です。お試しください。