問われる施工監理体制

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

信頼していた下請け業者が最も重要な基礎工事において、でたらめな仕事をしていたことが発覚し、建物所有者のみならず、元請ゼネコン、そのゼネコンに発注したデベロッパーに衝撃を与えました。

今回の事件でマスコミが欠陥工事は他にもあるはずだと疑いを持ち、ニュースバリューのある事例を探しているようです。

つい3日前にも、あるTV番組が大手デベロッパーの分譲した建物の躯体工事に重大な欠陥があったとし、発覚から4年半を超えた今も解決に至っていないことを報道していました。

その欠陥は今回の杭工事同様、番組に出演した専門家の言によれば「あり得ない欠陥」だと言うのです。

筆者も同感でしたが、それはあるべき鉄筋を入れ忘れ、壁の一部が地震の揺れで崩落してしまったというのですから驚きです。

筆者も長くマンションを見て来ましたが、このような欠陥はこれまで聞いたことがないものでした。

そのとき同時に思いました。 「工事関係者の誰も気付かなかったのだろうか? 監理は設計事務所が担当だったのだろうか、それともゼネコン自らの監理だったか? 行政による配筋検査をどうやってすり抜けたのか?」

「性善説に基づいて仕事は進められるとはいうものの、やはり検査・監督・管理はしっかり行われるべきである。人間のやることにミスは付き物なのだから。検査体制に遺漏があったか、そもそも杜撰な検査しかしていなかったのか?」 様々な疑問が湧いて来ます。

コンクリート工事は終わってしまうと目視では分からなくなります。まして地中の杭工事など目では分かりようがないのです。

地震に揺られたときに発覚したり、長い時間(横浜のマンションは住友不動産も三井不動産も9年前後でした)を経て自重が傾斜を露見させたりします。

こうなってくると、マンションの売主たるデベロッパーもゼネコンの検査体制を疑い、自らの検査を厳しく見直す必要が叫ばれて来ます。また、監理をゼネコンでなく第三者(通常は設計を担当した事務所)に厳しく要求するべきです。

施工を担当する下請けの技術者を疑い、四六時中そばで監視するとか、監視カメラでチェックするといったことは事実上できない相談であるはずです。どのような対策を生み出すかは分かりませんが、今後の新築マンションはより安全な建物になって来ることでしょう。期待したいものです。

目下の緊急対策としては、各社とも現場ごと担当ゼネコンに再検査を要求し、かつ報告をさせているようです。多くの販売現場で、契約者には勿論のこと、検討客に対しても「当マンションの杭工事は適切に行われております」の通知をしています。

工事中の建物の場合は、敷地が分譲主の所有なので容易に検査に入ることができ、比較的迅速に実施できたということなのでしょう。問題なのが販売中の完成済みマンションと中古マンションです。

前回も書きましたが、中古マンションは管理組合(所有者)の承諾がなければ敷地内に検査機械を持ち込むことすらできません。その管理組合が簡単に承諾するかは不透明ですし、販売を終了した売主が傾斜などの疑念がないマンションに対して主体的に検査を行うことも考えにくいことです。

そうなると、中古を検討している買い手は自らの目で、もしくは専門家に費用を払って点検を委任しなければなりません。

チェックポイントは改めて書こうと思いますが、傾斜していないかどうかを見るには、少し遠くから隣の建物と壁同士の間隔を観察するのがひとつの方法です。外廊下を歩くときには、壁に亀裂がないかどうかを見るといいでしょう。

完成済みで販売中マンションの場合は、微妙な気がします。既に多くの入居者があり、土地建物の所有者は分譲主単独所有ではないからです。機械を持ち込んで検査することはしないでしょう。

工事が終わったばかりなので、ゼネコンも下請けの杭工事業者の所在もつかめるはずです。そこに対し、適切な工事を行った旨の報告を改めて求めるという形になるはずです。

筆者が見た書式は、施工図面とデータを添付したゼネコンによる報告書に押印したものでした。
工事を外注した先は〇〇社で、杭は支持層まで間違いなく到達していると説明されていました。

マンション購入を検討中の方は、売主に対し、一担当営業マンの口頭ではなく、ゼネコンから書面による回答を求めるべきかもしれません。

こういう事件が起こると、それを教訓に政府も対策を練り、規制を強めます。いずれ、杜撰な工事、杜撰な検査を許さない体制ができて来ることでしょう。命を預けるマンションだけに、より安全で安心して住める建物となることを願ってやみません。

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