都心の高額マンション誰が買うの?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

東京都心のマンションが、普通の人でも買える時代がしばらく続いて来ましたが、それもどうやら終わりに近づいて来たように感じます。今日は、マンション市場を概括してみます。
(データはすべて不動産経済研究所の調査です)

今、再び都心から郊外へ

時代を第一次石油ショック(1973年)以前までさかのぼって考えると、そもそもマンションは地価の高騰で一戸建てが通勤便の良い都心に近いエリアで購入することが難しくなって行った過程で、大衆化が進んだのでした(それまでは、ごく一部の富裕層の住まいであった)。

当時は、一戸建て志向の強い時代でしたが、長距離と満員の電車“痛勤”に耐えるよりはと、マンションを志向する人が次第に増えて行きました。

そのマンションも高騰するに連れ、より買いやすいものをという需要にこたえる形で次第に郊外の開発が増えて行きました。

1980年代の後半から1990年代初頭にかけては、都心供給も不可能になるほどの狂乱の地価暴騰があり、首都圏全体でも新規供給が現在(2013年は56,478戸)の半分以下(1991年で25,910戸)でした。23区は、何と4,748戸(2013年の約6分の1)だったのです。
都区内のみならず首都圏全般に、購買力から大きく乖離したマンションを開発しても販売が不可能だったからです。土地が投機対象となり、「土地ころがし」が横行してまともに検討できるマンション用地がなくなっていたとも言える。そんな時代でした。

その後はバブル崩壊を経て、地価が急低下し、再びマンション開発が活発になりました。2000年は、史上最高の95,635戸も新築マンションは供給されるに至ったのですが、そのうちの37%の35,318戸が東京23区内でした。この動向を多くのマスコミや業界関係者は「都心回帰」と称しました。
2013年は、56,478戸のうち28,340戸、50%が23区なのです。ピーク時と比べると、絶対戸数は減らしていますが、都心中心の開発という傾向が続いています。

しかし、今再び都心から郊外へと押し出されるようになりそうです。理由は、再び価格の高騰が顕著になって来たからです。2013年の平均価格は、23区平均で前年比8%も上昇しました。

今のところ、郊外マンションが急増するという傾向は見られませんが、次第に増えて来ることでしょう。絶対数で増えないとするなら、相対的に増える、逆に言えば都心が減る傾向に向かうと予測します。
23区内の開発は、湾岸エリアなどの大規模マンションを除くと開発が難しい。言い換えれば、高過ぎて商品化が困難と判断して見送るマンション業者が増えると思うからです。
小規模の土地では、建築コストの抑制が困難であり、地価も上昇傾向にあることがその要因です。

金利変動が購買力に与えた影響

以上の過程を分譲価格の推移で見ると、大きなアップダウンを繰り返して行くものであることが想像できると思いますが、見逃せないのは並行する住宅ローンの金利変動です。

現状の金利は変動型ローンで1%を切っており、35年固定でも1.8%くらいです。これに対し、バブル期前後の銀行金利は何と7~8%台でした。税金で補助していた住宅金融公庫の金利でも5.5%だったのです。

その時代をご存知ない人には信じられない事実です。

金利が高ければ、返済額が高くなり生活が圧迫されますから、多額の借入はできません。もっとも金融機関も所得に対して返済率の制限をかけるため借りたくても借りられないのですが。

7%の固定金利で35年返済、借入額3000万円とすると、毎月返済は191,656円にもなります。

(これでは大変なので、ボーナス時に半分返済することとし、毎月返済を半分に減らすとすると、ボーナス時の加算額は6倍なので約115万円となって、毎月分は95,828円となります。当時はボーナス返済併用の借り入れをする人が圧倒的に多かったのです)

これを現在の金利1.8%固定に置き換えると、何と96,327円で済むのです。

また、7%のケースと同じ19万円の返済が可能とし、所得も問題ないと仮定して逆算すると、1.8%の金利なら何と2倍の6000万円も借入が可能となります。つまり、購入予算を3000万円も増やせる理屈となるのです。

仮に頭金1000万円の人が7%のローン3000万円を利用して4000万円の買い物をするのと、同じ頭金で7000万円の買い物をするのとで、負担額は同じなのです。

この計算をした狙いは、購買力に与える金利の影響度を見て欲しかったからです。

都心のマンション価格がピーク時に1億円だったときから比べて、同じような条件の物件が今5000万円とするなら、金利の低下と重なって「普通の人」がみな買えてしまうということが分かります。

これが先に述べた「都心回帰現象」をもたらしたもう一つの要因なのです。バブル崩壊後の過去20年余の市場の動きを振り返ると、地価の高騰は庶民を東京の外へトコロテン式に押し出したなどと表現した時代から、再び都内に戻れるようになったというわけです。

都心のマンションを買うのは誰

最近、筆者に届くご相談物件のうち、23区のマンションは平均して坪単価が300万円を超えているものが多い現状にあります。

70㎡クラスなら6000万円以上7000万円くらいになっているのです。

ご相談者の過半が、これ以上高くなったら誰も買うことができなくなるのではと心配しています。これは、今まさに都心のマンションを購入しようとしている人が、将来の売却を心配する側面としての声なのですが、その答えをここで少し触れておきましょう。

誰も買えなくなることはないにしても、これ以上値上がりすると、「普通の人」が買えなくなるのは間違いありません。値上がりしなくても金利が上がるだけで手が出なくなる可能性もあります。

では、普通の人が買えた去年、今年のマンションを将来手放すとき、高値で売ることはできなくなってしまうのでしょうか?そのことについて述べましょう。

東京には、%では僅かでも、その絶対数は大きな塊の階層があります。言わずもがな、人口が多いからです。最近は外国人の買手も加わるので、大量の億ションもあっさりと売れてしまうようです。

不動産経済研究所の調査によれば2013年に供給された億ションは1504戸あったそうですが、どれもたちまち売れたと言います。

上は5億円もする住戸があったと記憶しています。一体誰が買うのかといぶかる人も多いことと想像しますが、実際に購入する人があるのです。台湾や中国人が購入するということも聞いていますが、大半は日本の富裕層ですから、凄いものです。

さて、億ションに限らず高額マンションを購入できる富裕層は、悪い意味ではなく、皆なんとなく得体の知れない人たちです。そのような階層が東京には分厚く存在することが分かっていますから、少々高くなっても良い物件なら買い手に困ることはないと思って間違いありません。

ただし、「良い物件なら」という条件付きなのです。
単に相場が上がりました。地価が高騰し、建築費も上がったので、コストを価格に反映させて分譲しますと言っても、コトは簡単ではありません。需要はついて来なくなるのです。
新築が上がれば、新築より安いからという理由で中古に眼を向ける人が増えるので、連動して中古マンションも上昇して行きますが、おのずと限界があるというわけです。

もし、くすぶったままの金利先高観測が本当に上がってしまうと、ダブルパンチとなり、買えない人が急増してしまいます。

こうした事態を想定すると、富裕層やアッパーミドル層から選んでもらえるような、価値ある物件を選択しておくことが将来の売却時に良い結果を生むことになるでしょう。肝心なことは、その目利きです。

筆者が提供する「無料評価サービス」は、その主旨が「資産価値の算定」にありますが、これは将来のリセール価値がどの程度になるかを検討する際の参考にしてもらうことです。

高値のマンションが増えつつある中、肝腎なことは「高いが価値あり」と認定できるマンションかどうか、言い換えると「高値で売れる物件かどうか」です。今は選択を誤らないように一段と慎重を期す時期に入ったと言えます。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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~目次(抜粋)~
1章 マンション業界の概括・・・5.デベの力量 /10.模倣で成り立つマンション業界

第2章 マンションの歴史と分譲会社の栄枯盛衰・・・1.構造転換を迫った大事件/2.撤退企業と生き残った企業/撤退企業の犯した過ち/3.国策に後押しされたマンション業界 /4.繰り返したマンションブーム

第3章 現代のマンション事情・・・新しモノ好きの日本人/ワケあり物件に注意/3.リノベーション住宅/4.単身者とコンパクトマンション /5.永住できないマンション/高い修繕積立金/人の寿命より家の寿命が短い/8.「値上がりしないマンション」を購入する場合の覚悟/

第4章 マンション業界の裏側・・・2.青田売りと完成売りの真実/モデルルームの魔力/完成済みマンションの舞台裏/6.ゼネコンが売主だから安いはウソ/7.安かろう悪かろうに注意/ 10.不動産屋の話はウソばかり ?/13.値引き販売の真実

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