郊外に向かい出した(?)マンション需要

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

最近、現住所から遠く離れた物件を検討もしくは購入した人によく出会います。これは、たまたまなのか、それとも「あの兆しなのか」、そんなことを思います。

あの兆しとは、価格高騰がもたらす「郊外押し出し」パワーのことです。今日は、郊外に向かい出したマンション需要について述べようと思います。

マンションの発売戸数が大幅に減っています。不動産経済研究所の調査によれば、5か月連続して前年比40%前後の減少が続いているそうです。近畿圏も半年くらい同様の傾向にあるとデータが語っています。

売れ残って販売在庫が積み上がっているために新規発売を手控えているわけではないのです。土地の取得ができず、商品開発が遅れている様子もありません。

先行指標である「住宅着工件数」の統計(国土交通省調べ)を見ると、着工件数自体が減っています。つまり、土地はあり、設計も終わった、建築許可も受けた。しかし、着工ができないでいるのです。

理由は、建設職人の人件費と資材価格の高騰によってマンションメーカーが考える予算で請け負ってくれるゼネコンが見つからないため、工事契約が進まないのです。

建設業界は、震災復興需要や国土強靭化計画で急増している公共工事が受注増となって、繁忙を極める状態にあると言います。

仕事が少ないときは赤字になりそうな安値工事でも請け負うのが業界の通弊ですが、今は逆の時期です。建築費は、震災前から2~3割上がっているというのです。

マンション工事にも当然影響しています。日頃の付き合いなどを考慮したとしても、マンションメーカーの希望する工事金額からはるか遠い見積りしか出せないのです。

マンションメーカーは工事費のアップ分を分譲価格に転嫁すればいいようなものですが、それが市場で通用するかどうかは未知数であり、自信がないとマンション業者は語ります。今、マンションメーカーは、相場を大きく上回る価格設定を買い手が受け入れてくれるかどうかを見極めようとしています。

話しを元に戻しましょう。市場に新築マンションという品物が大幅に減ってしまった現在、マンション探しにさまよった人が、遠く離れた物件に辿り着いたとは言えないだろうか?そんな印象を持っている昨今です。

例えば、横浜の人が千葉市の物件を、東京都の人が埼玉県下の物件をということですが、現状の通勤と比べて不便になるのを覚悟して選定したという人も少なくありません。

住み慣れた地元と沿線の物件、あるいは親戚兄弟などが住んでいる街の付近ばかりを探しても条件に合うものがないので、仕方なく全く縁のなかったエリアまで検討対象を拡大する必要が出て来たのです。

通勤時間を考えて範囲はこの辺までと一度は設定します。しかし、それでは条件を満たす物件に出会えないので、仕方なく通勤時間を少し延ばしているのです。

郊外マンションが増えているわけではありません。郊外マンションは、そもそも地価が安いため、建築費の占める割合の方が高いのですが、その建築費が上昇すると分譲価格に与える影響は都心より大きいのです。従って、郊外も着工を思いとどまっているのは同じです。

そもそも郊外では土地の取得自体が少ない傾向が、ここ10年くらい続いています。大手業者は都内志向が強く、郊外での開発は元々少ないのです。郊外マンションの開発を担って来た中堅・中小デベロッパーは、2008年から2010年にかけて大幅に消滅しました。リーマンショックを契機とした金融危機が破たんに追いやったのです。

わずかに残った中堅・中小デベロッパーと一部の大手が参加して郊外マンションを開発しているものの、全体の戸数は低迷したままです。

幸いにして住宅ローン金利は底を這うような低水準が続いていますし、消費税対策で打ち出された「住宅ローン控除の拡充策」もあって、購買力は実質的に伸びています。更に、景気浮揚のムード、わずかながらベースアップで所得の伸びがあったことなどが購買意欲を後押ししています。

それが契約率を高水準に保っていると考えられるのですが、買い手の多くが予算を増やしたり、向きや面積を妥協したりして契約に漕ぎ着けている感じがします。

マンション購入者の予算は、言わずもがな人によって相当な幅があります。また、予算に余裕のある人、余裕がない人と分かれます。余裕のある人はよいとしても、タイトな人は外へ押し出されてしまうのでしょうか? それとも市場を彷徨し続けるのでしょうか? 蛇足ですが、中古市場も品薄感が強まっているとデータに出ています。

このまま様子眺めしていても「待てば海路の~」にはならないと考えます。以上のような背景と業界事情などに鑑みると、今マンション探しは岐路を迎えているのかもしれません。

いつまでも様子見を続けていられないのは、マンション業者も同じです。いずれ、高値のマンションばかりが市場に送り込まれることでしょう。難しい時期が来ました。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

★三井健太のマンション相談室は、マンション購入のお悩みにお答えするサイトです。

★「無料の未公開情報」や「マンションWEB講座」など、お役立ち情報も多数掲載されています。

★新築も中古も物件検索はこちらが便利➔➔➔➔➔➔➔➔http://mituikenta.web.fc2.com/index2.html

★好評「マンション無料評価サービス」のお申込みはこちらから➔➔➔➔➔➔➔➔➔➔➔http://mituikenta.web.fc2.com