「中古は安い」は本当か?

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

言うまでもなく、中古マンションは建物の経年劣化と設備の陳腐化、外見の古さなどが、物理的価値と心理的価値の双方で新築マンションより低くなるのが普通です。

築後20年も経過すると、地域によって差はあるものの、新築の半値くらいになるのが中古マンションの相場です。

そこまで安ければ、思い切った予算をつぎ込んで自分好みの間取りや最新の設備で内装を一新しょうと考える人もあって当然とも感じます。お仕着せの新築マンションより満足度が高くなる場合もあることでしょう。

最近、いわゆるリフォームを超えるリノベーションに挑戦する人が増えていると聞きます。

例えば、新築が5000万円する地区で、2500万円の中古を購入し、リノベーションに1000万円を投資しても3500万円なので、新築より1500万円も予算を抑えられるというわけで、トレンドになりつつあるようです。

●格安中古マンションのメリット・デメリット

従来、リフォーム代金は自己資金で用意するか、金利の高い、かつ短期ローンを組むしかなかったのですが、最近は購入代金とセットで同金利の長期ローンを組むことができるようになっています。それがトレンドの後押しになっているのでしょう。

セットローンは、購入代金とリフォーム代金の融資を分割実行してくれるので、使い勝手も向上しています。リフォーム工事を開始するには、物件を引き渡してもらうことが必須なので、先ずは購入代金を融資してもらうことになりますが、リフォーム代金の方は工事が最短でも1か月以上を要するので支払いも後になり、従って融資もあととなるのです。

さて、リノベーションによって室内は新築と変わらぬ快適空間に生まれ変わります。

新築マンションでも、セミオーダー的な販売手法を採用している例が少なくありませんが、いずれも用意されたメニューからセレクトする方式です。好き勝手にプランできるわけでは無論なく、売主が用意したお仕着せには変わりないのです。

その点、リノベーションは自分の趣味やセンスを具現化することが可能になるので、高い満足度を提供してくれます。

ただ、玄関扉や窓ガラスなどには変更を加えることができません。共用部分に属するからです。同様に、玄関ポーチまたはアルコーブの床を変えたりすることもできません。

また、マンションの外観、特に目立つ共用玄関の内外、エレベーターなども全く触れることはできません。築後20年を経過したマンションでは、古いとか汚いとか、デザインが陳腐化しているといった印象があったとしても、そのままです。リノベーション志向派にとって、そこは妥協というか割り切ることが必要になるのです。

●リノベーション対象マンションは見つかるか?

さて、思い切った予算でリフォーム、すなわちリノベーションを決断するには、購入価格が格安であることが前提となるはずです。そのようなマンションとは、築年数が少なくとも20年を経過しています。リフォーム紹介事例を見ていると、築30年を超えたものも目立ちます。

ここが一番の問題です。耐震性に不安が残る築30年超の物件は論外なので、30年未満で物色したとき、満足できる物件に遭遇するのだろうかという疑問が残るからです。

先に述べた通り、外観をはじめとして共用部分の劣化や陳腐化には目をつぶるといっても限度があるはずです。少なくとも、管理状態は良好でなければならないと考えるでしょうし、いずれ売却するときもあろうから、そのときに首尾よく売れそうな物件であって欲しいと期待したりもしましょう。

築20年、30年を経過していても、管理状態が良好で、大規模改修工事も定期的に実行しているので、築後10年くらいしか経過していないように見える。このようなマンションは格安ではありません。

また、立地条件にこだわると築年数の割には高いと感じる物件ばかりで、思い切ったリフォーム予算をつぎ込むことに抵抗が強いなどとなりそうです。

モノの値段は、マンションに限らず需要と供給の関係で決まるもの。良い物件は古くても高いのです。反対に、格安な物件は、何かと問題がある、若しくは格安なりの価値でしかないと思うべきなのです。建物状態か立地条件かのどちらかに何らかの問題や欠陥・欠点があるからこそ格安価格になっているのです。

結局、ここがダメ、あそこが不満などと言っているうち、格安中古マンションを買って大がかりなリフォームを施して住むという計画は、対象物件に巡り合えないまま頓挫してしまいがちです。

●リノベーションで多額投資した物件を売るとき

ともあれ、どこかを割り切り、どこかを妥協して中古マンションを取得できたとしましょう。念願の、そして自分好みの内装と間取りに大胆転換することにも成功したとします。

それで満足度が高いマンションライフが長く送れたら、それはそれで結構なのですが、永住することが難しい、若しくは計画の中にリセールがあるのであれば、将来価格についても一定の腹づもりなり覚悟のようなものを持っておくことが必要になりそうです。

つまり、築20年なり30年のマンションを10年後、20年後に売却するとき期待外れになるかもしれないということです。理由は次の点にあります。

リノベーションしてできた間取りや内装が個性的過ぎると、同じ感性を持つ買い手とめぐり会う偶然がない限り、非常に売りにくいのです。

また、設備はいずれ陳腐化するもので、設備の一新に〇〇〇万円もかけたと主張しても、次の買い手が最新の設備に換えたい人であれば、何ら価値はありません。

マンションの価値は専有部分だけで決まるものではありません。むしろ、マンション全体の価値、すなわち外観・玄関・空間(敷地のオープンスペース)・管理の4つのカンが重要です。勿論、それ以上に重要なのは立地条件です。

何十年と経過しても、Vintageマンションと言われて価値を保っている物件が少なからず存在します。

専有部分を新築同様にするだけで価値が上がり、価格も投下資金に見合って上がるなら結構なのですが、実際はそうならないという現実を認識しておかなければならないのです。

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中古マンションの価値を判断するのは簡単ではありません。相場を大きく下回る格安マンションに出会う幸運な人もないとは思いませんが、稀有なことですし、優良な中古マンションは新築並みの価格であったりします。 

格安マンションに巡り会えたとしても、リフォームの投下資金の大きさによっては、リセール時に大損するかもしれません。

結局、長い目で見たとき「中古マンションは安い」のかどうか、疑問なケースもあるということになるのです。

ただ、金銭的な損得ばかりを考えていたら、家は買えないのかもしれません。そこに住んで得られる精神的な満足にも着眼しておかなければなりません。資産価値と使用価値の双方をバランスよく考慮して選ぶというマンション選びは中々厄介なものです。

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