相場の5割高も登場の新築マンション

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

各方面のマンション評価をルーチンワークにしている筆者は、統計に表れる前に市場の流れやトレンドが見えて来ることがあります。

2年前には価格上昇の兆しを一部の動きで感じていましたが、その後、徐々に広がりを見せながら上昇の傾向は明確になって行きました。相場の2割高、3割高の物件が少数派から多数派に変わって行ったのです。

昨年1年間の首都圏・平均価格(専有面積1坪あたりの単価)は8%も上がったと調査会社は発表しました。

その傾向は今年も続いています。筆者は今、ある種の恐怖感にさいなまれています。「これは大変なことになって来た」と。

●相場崩しがまかり通る

実は、8%の値上がりの中身を精査すると、大半が東京23区の物件で占められており、郊外部には波及していないという統計でした。

ところが、今年は郊外部にも波及して来たのです。立川市で現在工事中の「プラウドタワー立川」などは、その象徴的な物件です。

同物件は、2014年9月19日の日本経済新聞によれば、相場から3割も高いとの記述になっていましたが、筆者の調査では5割高でした。

立地条件と建物内容を評価すれば相場からかけ離れた価格になっても不思議ではない優良物件なので新聞記事の3割高なら納得もできるのですが、5割高となると説明がつきません。

最近2年間を振り返ると、郊外にも高いと感じる物件はいくつもあったのですが、5割高はなかったと記憶しています。

ともあれ、今後は都区部だけでなく、比較的安価な郊外にも高値物件がどんどん出て来る予感がします。

物件名は触れませんが、横浜市で何と相場の6割高で売り出されると聞きました。都区内でも6割高の物件が間もなく発売になります。

前後しますが、筆者のいう相場とは、過去5年間くらいの平均価格を指しています。

2012年までの価格が100だった地区で、昨年・今年は120くらいに急騰し、相場が完全に変わってしまったという例は無数にありますが、新相場の120を基準に考えると誤った判断になりやすいので、5年くらいの平均を取って見ることにしているのです。

相場をこの定義として各物件を見ると、どれも激しく上がっていることに気付くとともに、適切な判断を己に課すことができるからです。

新相場を基準にしてしまうと、安いという見まがう危険があるということです。

ともあれ、相場の5割高の物件でも短期完売している例が少なくありません。先に出したプラウドタワー立川も230戸(第1期)が即日完売だったと新聞は伝えています。

急激な価格上昇はいずれ必ず調整されるものですが、価格の高騰要因は、建築費の上昇と円安による輸入資材の高騰が主因なので、当分は下がる見込みがなく、今後は東京オリンピックの関係から一段と上がることも懸念されています。

●高値買いに追い込まれる人も?

前の方で「大変なことになって来た」と書きましたが、価格の先高観は買い手の購買行動を急がせ、「高値掴み」の過ちを起こさせるに違いないと予測するからです。

依然として品薄感が続いています。その中では、好立地の物件に人気が集中するという状態を生み出すことでしょう。人気物件は抽選で購入者を決める方式を採用します。それは、同時に落選者を誕生させます。

落選者は、次の売り出しでは何とか当選したいと益々購買意欲を燃やします。こうして、高値掴みと知らずに買ってしまう買い手も増えて行きます。

落選者に対しマンション業者は「今買ってしまわないと、2020年以降まで待たなければならない気がする」という恐怖観念まで植えつけているかのようです。

●売れ行きを見て値を吊り上げる業者も登場?

某有名デベロッパーは、分割分譲における第1期の販売状況を見て、第2期の住戸の価格を上げるらしいという話を聞きました。同デベロッパーは別の物件で既に値上げしたとも聞きました。

殆んど条件の変わらない住戸なのに、1期の売り出しでは5000万円だったのに、第2期の売り出しは5500万円となっているというのです。

次期の売り出し住戸は価格表に記載されていません。先の売り出しが完売すると(実は完売しなくても完売したことにして)、その住戸はすべて「分譲済み」の文字で蓋をし、新たな売り出し住戸だけの価格表を提示して商談するというのが常態化しています。

従って、あとから初めて来店した買い手は値上げしたことを知りません。ところが、前回の売り出し中に一度来店した買い手は前回住戸とは違う住戸であっても、条件的に大差ない住戸が理由なく値上げされたことに気づき憤慨するはずです。

ゆえに、普通は(良心的な売主は)目立つ値上げなどしないのです。未発売の住戸の価格は、価格表上は伏せてあっても、売り手の持つ全住戸に数字が入った価格表の上では決まっているものです。
変えるとしても、僅かな微調整をするだけです。

販売不振のときの値下げは、先行契約者から「先に買って損をした。差額を返せ」などとクレームをつけられ、過去には係争になったこともあるほど難しいのです。

この反対の値上げは、先行契約者を喜ばせるかもしれませんが、あとから来た人には何と言い訳するのでしょうか? 知らないことをいいことに頬かぶりするのでしょうか?それとも、売れ行きがいいので値上げしたと言うのでしょうか?

その中には以前からの来店客もあるはずですが、クレームをつけられたら「だから言ったでしょう。次回売り出し住戸は値段が変わると」こんふうな言い訳ができるように布石を打っておくのでしょうか?

筆者はデベロッパー出身であるし、このブログや提供させて頂いている各種サービスは業界で学ばせてもらったからこそ続けておられるのです。

その意味から、あまり批判がましくは言いたくないのですが、売れ行きを見ながら値上げするという姿勢には売り手の傲岸さが見えて仕方ありません。

それでも貴方はそんな業者からお買いになりますか?

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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