中古マンションも価格上昇トレンド続く

公益財団法人・東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は、4半期ごとに首都圏・住宅市場動向を発表していますが、最新版の2014年7~9月度の分を見ると、首都圏中古マンション成約件数は、前年比マイナス9.0%と2四半期連続で減少したそうです。

全地域で前年比減となって、取引の停滞が続いているとしています。

これだけを見ると、「売れ行きの悪化」ですが、そう捉えるのは短絡的です。

何故なら、新規登録戸数(売り出し戸数)が減っているからです。特に東京都は前年同月比で2013年12月から2014年11月まで、12か月連続マイナスなのです。

在庫状況を見ると、2013年11月が36,215戸だったものが、2014年11月は34,283戸と約5%減少しています。東京都だけを見ると、19,205戸から17,590戸と8.4%の減少です。

どうして売り出す人が減っているのでしょうか? 一説には、価格が上昇中なので売り惜しみしている人が多いというものがあります。

筆者は、根本には買い替える先の物件が少ないことがあると考えています。

買い替え先は中古もあるでしょうが、新築に買い替えたい人が圧倒的に多い傾向があります。その新築が少ないため購入先が決まらず、売却を思い止まらせていると思うのです。

新築マンションの供給戸数を見ると、2013年は首都圏全体で前年比23.8%増の56,478戸でした。2000年のピーク時95,635戸には遠く及ばないものの、大きく伸びた1年だったのです。

ところが、2014年は何と42,000戸(予測)と前年比で約25%も激減してしまったのです。
 
一方、中古マンションの成約単価は前年同期比プラス5.5%、1戸当たりの成約価格は同5.0%となり、前年同期比上昇は2013年第1四半期から始まり、2014年第3四半期(7~9月)の現在まで毎期プラス5~6%のレベルで続いています。

中でも都区部で上昇率が高く、7~9月期の成約単価は前年同期比+8.0%で、横浜市・川崎市の+5.4%、多摩の+5.3%、埼玉の4.4%、その他神奈川県+3.8%、千葉+1.5%に大差をつけています。

都区部の+8.0%は、新築マンションの上昇率を上回るほどの勢いです。

少し前に「中古にも目を向けましょう」と書きましたが、環境は悪くなっているようです。また、優良な中古は市場にたくさんあるというわけでもないでしょうし、逆説的ですが、良い中古は結構いい値段になっていると考えるべきなのでしょう。