スペック劣る新築マンション増加中

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

マンション評価サービスを毎日欠かすことなく続けていると、トレンドが自然と分かるのですが、最近強く感じることのひとつは「スペックが良くない」物件が多いという点です。

言い換えると、マンション企画が進化ではなく後退しているのです。

主な変化を取り上げてみましょう。

一番目立つのは、「二重床でなく直貼り」にした物件の増加です。統計を取っているわけではないので、どのくらいの割合かを語ることはできませんが、着実に増えています。

次に、住戸形状が極めてシンプルになった という点です。

羊羹を切ったシンプルな長方形のマンションが多いのは、今に始まったわけではありませんが、それでも細部ではより快適な間取りをつくろうとデベロッパー各社は努力をしてきました。

ところが、最近はまるで30年前に戻ったようなものも登場しているのです。

外廊下式のマンションで多い一般的な長方形の間取り図を思い浮かべてみて下さい。玄関側の短辺部分にアルコーブという窪みを設けるので、普通なら凹の形になるのですが、これを止めて直線のままにした、完全長方形も出て来ました。

玄関ドアの位置が窪んだ位置にないというのは、ドアを90度まで開けると外廊下を半分ふさぐ格好となるわけで、廊下を子供が走るとドアに衝突する危険があります。

廊下幅を広く取ってあれば、その危険はないわけですが、それにしてもアルコーブがない玄関は「のっぺりした無表情の家」になるので、好ましいものではありません。

三番目は、窓なし個室の増加です。昔はこれを行燈部屋と言って嫌い、リビングに接する和室以外は決してつくらないのが業界の常識のようになっていました。

最近、これがやたらと多いのです。その印象はどこから来るかというと、どうやらタワー型マンションの増加と関係があるようです。タワー型でも、外廊下式と内廊下式があり、窓なし個室は後者の場合です。

窓なし個室は扉を引き戸にし、全開することでバルコニー側から光を取り入れるのですが、この部屋をどう使うかは悩ましいものです。営業マンは、「窓なしの方が落ち着きますよ。書斎とか趣味のお部屋にどうでしょう」などと言い訳しますが、あまり納得感のない話です。

これは後退ということではなく、内廊下型マンションの増加によるものではあるのですが・・・。

設備的な後退も見られます。4番目は、標準化しつつあった設備を削ぎ落としたマンションが増えたという点です。

断熱性に優れた複層ガラスのサッシや食器洗浄乾燥機は定番でしたが、その不採用例も結構見られますし、トイレ内のお洒落な手洗いカウンターのないタイプ、すなわち水槽の上部に手洗い水栓を設けた昔の型に戻った例も増えています。

物件によって差はあるものの、「あれもない。これも付かない」という「ないない尽くし」の設備で平然と(?)売り出して来る例が目立つのです。

また、フローリング材も一時は増えかけた「突板」や「挽き板」という天然木を薄くスライスして張り付けた風合いのあるものが殆ど姿を消してしまい、8000万円、9000万円の高額マンションですら「オレフィンシート」という印刷した合成樹脂を張ったタイプが採用されているのです。

100戸を超える比較的大型の物件では、当たり前にあった共用施設。それがない物件も増えている感じがします。ロビーを少し広めにして一角を「オーナーズラウンジ」としている程度です。

また、以前なら2基設置したであろうエレベーターの数を1基にした物件、エアコンの室外機を視線から半分隠すようにした花台のない廊下、言い換えれば外廊下にむき出しのまま置けと言っているような無配慮な設計なども後退現象と言えましょう。

例を挙げるとキリがないのでこのくらいにしますが、進化でなく退歩しているマンション設計は、全てコストカットが理由です。 建築費の上昇が背景にあるためなのです。

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スペックが後退していない物件は、駅前の物件、都心の物件など、立地条件の良い物件、若しくは数百戸の大規模物件に限られます。これらは高くなっても売れるからです。

郊外の物件、駅から距離のある物件は高額では売りにくいのです。新規の供給が細っており、品薄感が強くなっているせいもあって販売は比較的好調に推移していますが、どんな物件でも売れてしまうほど熱狂的な市場ではありません。

買い手は慎重に品定めをしようとしています。従って、価格が高ければ販売は難しくなります。売主は苦心惨憺し、苦渋の選択の中からスペックを落とすのです。

それでも2割も3割もコストダウンできるわけではないのですが、1住戸あたりにすれば売値が100万円、200万円と違ってくるので、本意ではないがと言い聞かせながら一段下のスペックにして送り出すというわけです。

高額な物件を見慣れている顧客も多いので、見学時に落胆させてはいけないと考え、売主はモデルルームを多数のオプションで見映えよく飾るものです。しかし、冷静にチェックすれば、スペックの低さに気付くことでしょう。

大事なことは、スペックの低さを妥協できるかどうかにあります。

何年か住んでリフォームするときにグレードアップできるものならいいですが、ディスポーザーやバルコニーの水栓のように後付けが不可能な設備もありますし、直床を二重床に変えることも極めて難しいことです。

また、マンション選びの優先順位が立地条件だとするなら、こればかりは動かしようのない項目です。

こうした点を勘案しながら、マンション選びは慎重にしなければなりません。今とても難しい時期です。

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