マンションの緑地率に注目しましょう

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

マンションの広告を見ていると「空地率〇〇%」というコピーにときどき遭遇します。

ある物件は「既存樹の桜やケヤキを継承し、空地率60%の開放的なランドプランを採用」とアピールしています。さらに、「約5000㎡の敷地内にコミュニティガーデンも新設し、緑に包まれた暮らしを演出」と続けています。

このようなコピーが意図していることが何かは、どなたでもお分かりのことと思います。商業地などでは、建蔽率制限(80%。角地は90%)一杯に建つので、ゆとりのないマンションが普通ですが、住宅地では建蔽率制限が厳しい(60%以下である)ので、敷地にはオープンスペースが大きく取れます。

そのスペースを活かして、子供の遊び場や井戸端会議に花を咲かせる小さな庭園などを設けることができ、そのままマンションの付加価値となるからです。

庭園や花壇などのグリーンゾーンが広いほど「潤い」をもたらし、落ち着いた暮らしを彩るものとなり得ます。

そんな期待感を抱かせる空地率ですが、数字は一種の魔法です。空地率60%と聞くと、少しばかり錯覚を起こしそうです。

空地率は、建物が建っていない部分の割合を指すもので、建蔽率の対語に当たります。

空地には駐車場が設置されているのが普通です。しかも、その占める面積は庭園やプレイロット(子供遊園)をはるかに上回ります。

敷地配置図や全体を俯瞰した完成予想図をよく見ると、グリーンゾーンは僅かです。一見すると、敷地の大半が駐車場という感じがするものも少なくありません。

売却するとき、買い手は広い駐車場を見ても感動することはないでしょうが、花壇や広い庭園を見たときは、大いに心地よさを感じてくれるはずで、一種の感動に包まれるのではないでしょうか?

近年、都会ではクルマ離れが進み、東京などでは駐車場は戸数比で30%も要らない実態にあるとされます。古いマンションでは、借り手のない駐車場を居住者以外に貸し出すケースもあると聞きます。

高齢化が進むと、駐車場の実効比率は更に下がるのでしょうか。いずれにせよ、駐車場スペースが狭くなれば敷地内の緑地スペースは反対に広くなる理屈です。その駐車場を建物の下にもぐらせれば、一段と緑地は広く取ることができるわけです。

世帯数を超えた住宅戸数、単純な数だけの比較なら家は余っています。空き家が増え、これが社会問題になってもいます。マンションも、今後はかつてのような勢いで新築を供給することはないのです。

「マイホームは新築一辺倒」から「中古から中古へ」というのが一般化して行く時代になりつつあるのです。 そうなると、これまで以上に中古マンション売買では物件の差別化策が注目を集めることになります。

マンションの価値は立地条件が大きく左右するものですが、同じような立地のマンション同士の比較では住戸だけではなく、建物外観やエントランス、ロビーなどの共用施設、及びランドスケープ(庭園・景観など)が決め手になって来ます。

勿論、維持管理がしっかりしていなければ折角の各種施設もグリーンゾーンもみすぼらしく映り、感動どころではなくなります。

築30年を超えるマンションで新築と大差ない価格で取引されている有名マンション、そこまでの価格にはならないものの周辺マンションより常に20%以上の高値で取引されるという優良マンションの共通点には「維持管理の充実」と「豊かな植栽」があるのです。

この事実から言えることは、立地条件を別としたら、マンションの価値は、室内の設備・仕様などで決まるものではなく、マンション全体の見映えに左右されるということです

もう一度言いましょう。 大きく育った高木の豊かな葉緑、手入れの行き届いた花壇、古ぼけた感のない外壁や共用部の床・壁、傷ひとつない綺麗なエレベーター、整理整頓がきちんとなされた駐輪場、こうした外形的なところでマンションの価値に差ができるのです。

今後、注目したいのは、「緑地率」または「緑被率」です。

これが30%以上あれば、敷地は緑で覆われた印象が強く伝わって来ることでしょう。オープンスペースが60%のマンションなら、半分は緑地ということになるからです。

現実は、こんなに高い緑地率の物件は少ないものです。営業マンに尋ねてみて(把握している営業マンは少ないが)、回答が20%以下であるとしても、部分ごとの(庭園なりプレイロットなりの)の広さを聞き、それがどの程度のものかを想像してみることが大事です。

新築マンションは物件ごとにHPが公開されていますが、そこには「トップ」「間取り」「設備仕様」「物件概要」などと並んで「ランドスケープ」というページが設けられています。

敷地配置図という表現のHPもありますが、そこには「敷地があって、その上に建物がどんな形で配置されているか、エントランスがどこにあり、駐車場はどのように配置されているか、庭園や緑道がどこに、どのくらいの割合を占めているか」などがおおよそ分かるように描かれています。

パンフレットにも同様の絵が載っています。

しかし、どちらも図面そのものが大きくないので、それぞれの大きさ(広さ)がどの程度か実感するのは困難です。東京ドーム何個分という表現をよく聞きますが、こうした比喩がないからです。

畳100枚分の広さなのか、住戸100戸分の広さなのか、バスケットボールのコート1面分?それともテニスコート2面分? こうした表現を見ることはあまりありません。

〇〇㎡の庭園、既存樹〇〇本といった表現はたまに見ますが、多くは部分のパース(完成予想図)を展示するだけです。

立ち話をする住民の姿を書き込んだ庭園風景、子供たちが走りまわる姿の入った敷地内公園、高木の間を縫う敷地内通路を夫婦で歩く姿、こうしたパースが代表的なものです。

こうした絵や図を見て想像力を膨らませるのです。ただし、ここは少しシビアに見つめたいところです。こうした共用空間の実際の大きさを是非とも想像して「〇〇と同じくらい」と頭の中で描くのです。

敷地内に分散する緑地の合計面積で緑化比率を把握することより、そこに実際に立ったつもりになって、視界に入る緑の量がどのくらいかを想像することが大切なのです。

そうして、猫の額の庭園や植栽ではなく、極端に言えばマンションを包み込むような緑地であれば最高です。それこそが大きな差別感につながるからです。

わが家の差別化としての豊富な植栽、豊かな緑は、マンションの資産価値を高める大事な要素になり得るのです。

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