欠陥マンション騒ぎ再び

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

2014年に大きなニュースになった欠陥マンションは、港区南青山7丁目に建設中だった高級マンション「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町(地上7階、地下1階、総戸数86戸)」でした。

「平均専有面積:約102㎡、平均価格:約1億4000万円」が、工事の不具合により販売中止・契約解除だけではなく、ほぼ完成していた建物の解体という事態に追い込まれたのです。

事業主の三菱地所レジデンスは契約解除に際して購入者に手付金を返し、迷惑料を支払うなどの対応をとりました。

工事の不具合とは、配管や配線を通すための「スリーブ」といわれる貫通孔が、設計図が示す通りに入っていなかったこと。まさに前代未聞の大失態でした。施工を担当したのは、何とスーパーゼネコンの鹿島建設です。

●前代未聞の欠陥が2件も

昨年は、この他にも何件か施工ミス事件が発覚しました。このブログでも2014年6月10日に「施工ミス相次ぐ」というタイトルで紹介しましたが、その中に欠陥が入居後10年近く経過してから分かったという事件もありました。

デベロッパーは住友不動産、施工は熊谷組。 杭の一部が地中の堅固な支持層に届いていなかったため、建物が傾いて来たというものです。

同社は「安全とは言い切れない」として、住民向けに転居を勧め、仮の住居を無償で用意。「売り主の責任を痛感している。修繕や建て替え、買い取りなどあらゆる手段を検討する」と説明しています。

その後の報道でも、傾斜しているB南棟とB東棟に加えて、A棟住民の希望者にも買い取り(契約解除)に応じることを決定した。支払い内容は現在、管理組合理事会と協議中だが、住友不動産は購入価格の返還や登記費用などの損害賠償、100万円の慰謝料などを提案している。
 住民説明会で同社は今後の補償のロードマップを提示した。これによると、2014年10月中に主要なボーリング調査を完了。11月中に構造検証を終えて、12月に全体の是正方針を示す予定だ。現在、設計・施工者の熊谷組とともに調査している、杭未達の詳細な原因については、11月頃に予定している住民説明会で報告するとあります。

そして、昨日再び住友不動産のケースと同種の欠陥がトップニュースで流れました。

2006年に三井不動産レジデンシャル他が販売した横浜市都筑区の4棟・700戸余の大型マンション「パークシティLaLa横浜」というJR横浜線鴨居駅徒歩11分、商業施設「ららぽーと横浜」に隣接する人気マンションですが、約50本の杭(くい)のうち計8本の杭が強固な地盤(支持層)まで届いていないことが判明したというのです。

住民が建物の高さに約2cmのズレがあることを発見し、売主・三井不動産レジデンシャルと施工した三井住友建設に通報、これを受けた両社は8月から調査。その結果、杭が短いと分かったというのです。

建築の専門家は巨大地震が来たら、建物は大きく傾くかもしれないと報道番組でコメントしています。住民は怒り、不安におびえています。 

早急な対応が待たれますが、報道では、「三井不動産レジは建て替えも視野に検討を始めた」とあります。

万に一つも起こりえない欠陥が、しかも大手デベロッパー2社が開発・販売したマンションから相次いだことは大きな衝撃です。

このような事件に触れていつも思うのは、信用保持のために企業が多額の経済的負担を強いられること、それが可能なのは大手に限られるだろうという点です。

ある日突然マンションが倒壊するなどということは万に一つもないと信じたいですが、巨大地震が来たときなどに、想定外のことが起こらないとは誰も断言できません。

このようなことを想像するとき、ブランドマンションに傾く買い手が多いのは当然のこととも思うのです。

分譲マンションの歴史は、まだ50年あるかなしかです。この長いとは言えない時間の中で積んだデベロッパーの経験の中には高い授業料を払ったこともあるのです。それが今日の企業活動につながり、今日の地位とブランド価値を高めて来たとも言えます。

しかし、今回のようなことが発生すると、せっかくのブランド価値も大きく揺らいでしまいそうです。

●それでもブランドマンションは安心?

今回の報道に限らず、欠陥騒ぎを見聞きした人は、自分だけはそのような住宅・マンションを掴まないようにしなければとの思いを強く抱きます。

しかし、素人にとって欠陥かどうかの見極めは簡単なことではありません。 実は専門家でも蓋をされてしまうと見抜けないものです。

10年前に鉄筋不足の「耐震偽装事件」が全国各地で起こりましたが、これは悪意に満ちた一人の人間が起こした事件とも言えるものでした。

普通、取引する当事者間には信頼関係が成立し、まさか悪意に満ちた欠陥商品の製造などはないと考えます。

注文者と受注者の関係で言えば、性善説(せいぜんせつ。人間の本性は善であるとの孟子の説)に従い、注文者は受注者(作り手)の良心を信じて発注するのです。マンションで言えば、発注するデベロッパーは長年の経験と実績、技術力を持つゼネコンを信頼して施工を任せるのです。

買主も売主も、それぞれの立場で取引相手を信じ、雨漏りするようなマンション、地震ですぐに倒壊するようなマンションを売っているのではない、建てるわけはないと考えるのです。

しかしながら、悪意はなくてもスキル不足や管理ミスなどで粗悪なマンションができてしまうことが万にひとつできてしまうのも事実です。

そこで買い手は「より安全な製品」を選択するための物差しとして、「大手マンション業者」や「大手ゼネコン」などの看板を用います。

大手なら、しっかりと品質管理、すなわち施工過程をチェックし、欠陥マンションの発生をゼロにしてくれるだろうと、漠然としたイメージではあるものの、期待と信頼感によって商品を選択しているというわけです。

マンション業者の多くは、基本的にゼネコンに工事を一任していますが、万一の施工ミスを防止するため、設計事務所に「監理(監督と管理)業務」を依頼し、自社の企画・建設部門の担当者とともに定期的な現場訪問を行うのが普通です。

また、住宅性能評価を依頼してあれば、国が指定した第三者機関が施工中の現場へ赴いて数次の検査を行います。

マンションの品質管理は、このようにして二重三重にチェックされていますが、人間のやることです。手抜かりは万に1回にせよ起きてしまうものです。

そのとき、売主と施工会社は信用保持のために多額の経済的負担をしてでも補修や改善、あるいは建て替えを実行します。

しかし、それが可能なのは大手に限られるのかもしれません。中小企業では負担に耐えられない場合が多いからで、根本的な原因追及に応じない可能性が高いのです。おそらくは対症療法でお茶を濁すに留めるでしょう。

構造的な部分の瑕疵は法的に担保されています。中小業者でも「保険加入」が義務付けられているので一定程度は補償されます。ただ、竣工から10年を超えてしまったら、法的には業者に補償責任はなくなるのです。

ある日突然マンションが倒壊するなどということは万に一つもないと信じたいですが、巨大地震が来たときなどに想定外のことが起こらないとは誰も断言できません。

このようなことを想像するとき、改めてブランドマンションに傾く買い手が多くなるかもしれないとも思うのです。

昨年の欠陥騒ぎで三菱地所レジデンスと住友不動産が信用を失墜し、マンション販売が伸び悩んでいるという話はどこからも聞こえて来ないからです。 短絡的ですが、責任を認め最善の対策を早めに取ったからと言って過言ではありません。

意図して欠陥マンションを建てたわけではないし、買い手に対しては、お気の毒ですが不運だったとしか言いいようがありません。 ただ、不幸中の幸いは、売主が大手デベロッパーだったということです。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

★三井健太のマンション相談室は、マンション購入のお悩みにお答えするサイトです。

★「無料の未公開情報」や「マンションWEB講座(※最新版NO.89は、2015年10月5日にアップ)」など、お役立ち情報も多数掲載されています。

★マンションの売却は不動産業者でない当相談室へ(日本初のサービス誕生)

マンション購入のご相談を始めてから5年経ち、住み替えを考える相談者も出て来たようです。
 住み替えの理由はいろいろですが、より高く売りたいと考えるのは自然なことで皆さん共通しています。 

購入時のご縁で、売却のご相談も最近ぼつぼつ届き始めたので、本格的にご相談を承る(無料)こととしました。 「不動産の売却は不動産業者へ」という常識は変わらないにしても、不動産業者に任せっきりにするのは少々問題があります。 そこで、まずは筆者にご相談なさることをお勧めしようと思います。

売却するか賃貸するか迷っている。不動産業者はどこがいいか? 査定を依頼したが、期待外れの価格だったので、どうしようかと悩んでいる。住み替え先の入居が来年3月だが、売り出し時期はいつ頃がいいか? 手数料の3%を下げられないか? 入居したまま売り出すより空室にしてから売る方がいいのか? リフォームはどこまで実施すべきか etc. 

先ずは無料ご相談をお気軽にどうぞ!! お申込みは上記URLから