中古マンション購入後のまさかの支出に注意

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

中古マンション購入の際にすぐ気にかかる問題は、古い設備機器の故障です。
もうひとつは、管理費や修繕積立金の値上がりです。

今日は、この二大不安についてお話ししましょう。

●設備機器の瑕疵担保責任

先ず、設備機器の故障に関してですが、中古住宅の売主は新築と違い多くが個人なので瑕疵担保責任は免責されるのが普通です。

中古住宅の取引は、一般に現状有姿(ゆうし)の取引のため、瑕疵担保は免責されると契約書に明記されます。

現状有姿(ゆうし)の取引とは、物件は現状のままで引渡すという意味で、排水、柱、など見えない所の不具合があっても責任は無いというわけです。取引後に不具合・傷等を発見しても売主は責任を負わないのです。

そういうリスクがある旨を契約前の段階で説明しているので、上記リスクが顕在化したとしても、売主には責任はないという意味になるのです。

個人売主には、不動産を売ってしまった後で長期間にわたり、契約解除も含めた担保責任を負わなければならないというのは事実上無理だからです。

そこで、責任範囲はガスや電気機器などまでと明記した契約が一般的です。この場合でも、個人間の場合は引渡し後3ヶ月以内を限度とする取り決めが多いようです。

最近は、売主に代わって仲介業者が責任を負うケースが増えています。「売却は当社にお任せ下さい」と言ったところで、売却依頼者を多数確保することは難しいので、同業者との差別化策として「後のトラブルが及ばないシステムを持つ当社へ」とアピールしているわけです。

野村不動産傘下の野村アーバンネット社は「ホンキの補修保証サービス」と銘打って2015年から新サービスを展開しています。「ホンキの補修保証」は、売買対象の中古住宅について、あらかじめ建物検査、住宅設備機器の検査を行い、同社負担にて補修・保証を行うサービスとなっています。

東急リバブル社も野村不動産アーバンネット社と類似のサービスを展開中ですが、いずれもいくつかの条件付きで5年間の保証を買い手に付けています。

2社のほかにも、三井不動産、大和ハウス工業、大京、東京建物、などの傘下にある仲介業者各社は、住宅設備機器の3~6か月保証を実施しており、拡大する傾向が窺えます。

 保証内容に差はあっても、買い手を安心させ、かつ個人売主に責任が及ばないサービスが誕生したことは、中古売買の活性化を促進するという意味で歓迎すべきことと言えましょう。

●管理費・修繕積立金の値上げ

 しかし、もうひとつの問題である「管理費等の値上がり」については、誰も保証をしてくれない中古マンション購入の盲点になっているのかもしれません。

中古マンションを購入してから1年も経たないうちに、修繕積立金の不足分を一時金として徴収するという管理組合決議に運悪く遭遇するかもしれないからです。

管理費の値上げも起こり得ることですが、物価上昇(電気代、人件費、機械の保守点検料などの日常経費の増額)によるものなので、家計を圧迫するほどの値上がりはないと見てよいでしょう。

ただし、管理組合が銀行から借入を行い、その返済を毎月の管理費にONするといったイレギュラーな決議をした場合は別です。

管理組合の借金とは何でしょう。それは次で説明する修繕費の不足を賄うためです。

修繕積立金は資産価値を維持して行くために不可欠な貯金と分かっていても、当初の計画がずさんであったり、販売上の都合で故意に低く抑えられていたりし、必要な時期に必要な貯蓄残高を満たしていないことがあります。これは、古いマンションほど多いことが分かっています。

積立金が不足すれば、必要な大規模修繕の着手が遅れ、建物の劣化が進んでしまいます。修繕が遅れると、修繕費は適切な時期に行った場合に比べて大幅に増額したりもするのです。

管理組合では、不足額を一時的に銀行からの調達で賄うという方法と、一時金徴収という方法などを協議します。

この問題は簡単に決まりません。一時金でとりあえず間に合わせたとしても、大規模修繕は周期的に必要なものなので、次回分をどうするかという課題も残ります。

長期修繕計画を立案し、初期は毎月5000円でも、5~10年ごとに1.5~2倍ずつ上げて各支出時期にマイナスが生じないような積立金額を設定するのが新築では当たり前になっていますが、中古マンションでは長期修繕計画それ自体が存在しない管理組合もあるのです。

計画があっても、修繕の対象範囲を絞り込んでいるため資産価値の維持にどれだけ効果があるのか、建物劣化をどの範囲まで食い止めることができるのか甚だ疑問と思われる例も少なくないのが実態なのです。

そんな問題物件で、管理組合の役員が解決のために奮闘するというケースがあります。その結果、修繕積立金の増額と一時金徴収決議に至るのです。

この決議は、組合員個々の所有年数が勘案されることはありません。貴方は新築当初から住んでいるから30万円、貴方は最近越して来たから3万円などとはならないのです。

うまく説明できないのですが、区分所有法(マンション法)では、1階住民はエレベーターを使用しないからといって管理費が安いことはないのと同じようなものかもしれません。

積立金の増額や一時金徴収が、自分の住むマンションのメンテナンス、すなわち資産価値の維持に必須としても、購入したばかりの新住民にしてみれば、何となく割切れないものが残るのではないかと思います。

新築購入の場合、契約前に「修繕積立基金」として50万円なり100万円なりをご用意いただきますと説明され、それが購入の条件であるとあらかじめ承知しているわけですが、中古売買では協議中の段階にある場合と長期修繕計画書に明記された「増額予定金額・一時徴収予定時期と金額」以外は説明されません。

おそらく、仲介業者に尋ねても明確な回答は得られないはずです。

マンションの分譲が開始されてから50年を超えて来た現在、マンションの老朽化は社会問題になりつつあります。簡単に建て替えができないこともあって、長く住んで行けるマンションつくりと長く快適に住むための維持管理の課題に取り組むことが焦眉の急と言われるようになって来ました。

この意識変化が、修繕計画の立案と財政的な裏付けを要求する背景になっているのです。新築はあらかじめセットされていますが、中古はあっても不十分と思っておいた方がよいのかもしれません。

中古マンションを購入する場合は、新築のように契約時に支払うことがない代わり、後日の支払いがあるかもしれないと。

●修繕計画書の確認は必須

中古マンションの購入の際には、誰も保証してくれない「修繕費の一時金支払い」というリスクがあると覚悟して購入するとして、可能な限り事前に予定したい心理が働くことでしょう。 そこで、最低限のチェック事項をご紹介しておきましょう。

先ずは「長期修繕計画書」の有無を確認しましょう。

計画書は管理会社が提案という形で作成したもので、その通りに実行するかどうかは管理組合が決めることですが、望ましいものか、最低限度の計画かは別としても、専門家が策定したものがあれば、概ねいつからいくらに増え、またはいつ頃いくらの一時金徴収があるかを知ることができるからです。

中古マンションの売買の世界では、「管理に関する重要事項説明書」なる書類が出て来ます。

これは管理会社から買主に提示されるもので、仲介業者が手配します。

そこには、管理費等の滞納明細や大規模修繕の履歴(大項目のみ)と修繕積立金の残高が記載されていますが、長期修繕計画の細部はありません。管理組合で決議されていなければ「増額予定」も「一時金徴収予定」も掲載されていないのが普通です。

従って、必ず「長期修繕計画書」のコピーを下さいと仲介業者に依頼することが大事になります。

また、管理組合議事録も可能な限り事前に目を通しておきたいものですが、この件は次の機会にお話しします。

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