第741回 「築浅の中古を狙うのは損?」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。

筆者は、よく「築浅中古はダメ」と言います。 今日はその理由について述べることにします。  

●新築マンションの供給数がガタ減りとなった1990年代

新築マンションの供給戸数は、ひところ首都圏で10万戸を超えることがありました。

2005年頃から2010年にかけてのことです。10万戸と聞いてもピンと来ない読者も多いと思いますが、歴史をたどると、年に10万戸も供給されたことはなく、多くても5万戸で、それ以上の供給は在庫を増やすだけ、言い換えれば「需要は5万戸が限界」と見られていたのです。

  しかるに、何故10万戸も供給できたのでしょうか?供給(発売)しても売れなければ在庫ばかりが増えて経営を圧迫するはずです。 そうです。その頃は需要が豊富でした。

その背景には、1990年~2000年頃の供給数激減によって買いたくても買うものがないという事情があったのです。   バブルと言われた時代、地価・不動産価格は信じられないほどの急激な高騰トレンドを示しました。

購買力を超える高騰に伴い、分譲業者は安値の土地を求める行動を取りました。すなわち、安い土地を求めて郊外へ郊外へと、まるで民族大移動のように用地を求めて行ったのです。   気がついたら都心から50㎞も離れた超郊外都市で土地を買い、そこで新築マンションを建てました。

買い手も動きました。「超郊外マンション時代の到来」でした。 しかし、長くは続きませんでした。長時間通勤に耐えられる人は限られるため、やがて売れ行きは止まって「超郊外マンションの時代」は終焉を迎えます、  

●新築マンション苦難の時代を経て

1990年初頭にバブル経済は崩壊します。株価は下がり、地価も下がります。

地価高騰を抑え込むための策が嵩じられて「狂乱の時代」は終わったのです。狂乱と呼ばれたのは、土地転がしに無数の不動産会社が殺到して「踊った」からです。

  国が採った策は劇薬でした。「超短期譲渡」には高率の譲渡所得税を課し、殆ど儲からないようにしたからです。

地価が下がり、実需の裏付けを伴う「正常な土地売買」がやがて戻って来ます。無論、マンション業者も途絶えていた用地仕入れができることとなりました。2000年代に入って、購買力に見合う適正な価格で新築マンションの供給ができるようになって行きます。

買いたくても買えずにチャンスを待とうとした買い手は、当然ながら潜在需要として貯まり続けましたが、200年代初頭から購買行動を再開します。その買い手の動きに呼応するかのように、息をひそめていたマンション業者は活発な供給に動きました。  

こうして、何回目かのマンションブームが到来します。そのためもあって、一旦下がった価格も再び高騰トレンドを見せるようになります。その結果、マンションの売れ行きは悪化の傾向を見せるようになって行きます。

2010年前後、上がり過ぎた価格を抑えるために、マンション業者はコスト削減に知恵を絞ります。   それこそ「乾いた雑巾を絞る」かのような究極の選択を採るようになったのです。ここでは具体例を述べませんが、見えないところで、もしくは買い手の理解を得られそうな部分でコスト抑制策を採ったマンションが増えていったというわけです。

  このためもあって、2011年ころから価格は5%程度下落しました。それも2016年までのことで、再び価格が上昇して今に至っているのです。

新築マンションの供給が減った要因は売れ行きが悪いからです。住宅ローンの金利低下もあって、売れ行きは支えられていますが、それでも、販売状況は芳しくないのです。今、「マンション業界、苦難の時代」の真っただ中にいると言えます。   地価も建築費も下がらないと、購買力に見合った価格で供給ができないからです。 下がる見通しは残念ながらありません。  

●新築マンションの検討で唯一の利点は?

そんな中でも、希望条件に合致する新築マンションに巡り会う人はあるのでしょう。

高値と知りながら手を出す人は少なくありません。筆者に言わせると、「高過ぎるからやめた方がいい」のですが、高値でもいいから新築にしたい人があるのも事実です。  

高くても構わない。買うなら新築――と決めている人の共通点をひとつだけ挙げると、「検討時間がゆっくり取れる」という利点にあるようです。購入受付期間が予告され、その点だけを意識しておけば意中のマンションが買えること、同一マンションの中に複数の売り物があって選択の余地もあるので買いやすいという点です。

  中古マンションは、いつ売りに出るかが分からないし、出ても直ぐに決まってしまう、先着順なので急いで結論を出さなければならない。多忙な我が家では無理――こんな声をよく聞きます。  

●中古を狙うなら築浅は損かも

高値の新築に手が出ないので中古マンションにしようと決めているが、その中古も思った以上に高いーーこんな声をよく聞きます。

この声の分析をしていくと、次のようなことが分かって来ます。

  良い中古は新築並みである。例えば、徒歩10分の新築と徒歩5分の中古を比べている自分に気付いていない人がいる。同じような立地条件でも、小型マンションで付加価値のない平凡な新築と大規模で付加価値も多く、管理体制の良いマンションを比較している。  

中古マンションの価格は、市場(買い手)が認めた価値によって適正に決まって行くものです。中古の売り手が5000万円で売りたいとしても、その価格が高過ぎれば市場では誰も注目しません。

消費者(買い手)というものは、インターネット上に出ている近隣マンションと見比べながら「嗅覚を働かせて」高いと見抜いてしまうのです。  

ただ、築浅の中古は少し違うようです。強気な売り出し価格でも買い手が決まってしまうことが多いからです。

築5年でも築10年でも大差はないはずなのに、5年の物件の方が強気な価格設定で売り出して通用してしまうと聞きます。要するに「築浅マンション」に人気が集まり、多少の高値も通用するらしいのです。買い手から見れば、買い手候補(見学者)も多いので、指値もできないまま売り手の希望価格で買うほかないのです。

  その状況に気付いている筆者は、相談者にこう言います。「競争率の低い古い物件に注目しましょう」と。その方が検討時間もしっかり取ることができるでしょうし、指値も通用するかもしれません」と。  

理由はもうひとつあります。2010年以降の建物は品質が低下している、すなわち手抜きマンションが多いからです。無論、全ての物件がそうだというわけではないですが、先に述べた通りの事由から 気を付かなければなりません。 

 

●狙うなら築15年が良い

筆者は問われたら必ずこう言います。「狙いは築15年前後」だと。

幅を持たせて言うなら「築10年超20年未満」と。

  賢明な読者はお気づきと思いますが、築浅の中古は品質の面で問題がありそうだという点と、築浅マンションは足が早すぎて買いそびれるからです。無論、何事も例外はあるので先入観は禁物です。 

  築20年を超えても良い建物はありますが、10年後に売ると仮定すると、30年マンションになるので、好ましくはないことも付け加えておきます。

日本人は「新しい物」を好む」傾向が強いので、古くなればなるほど売りにくいと考えておくことが必要です。   とはいえ、物件によるので、単純に築20年以上はダメと決めることもないことを最後にお伝えしておきます。

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談のお申込みはこちらから(http://www.syuppanservice.com

 

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以下は、売主様への提言です。

1.売却見込み額をお調べします。 2.どこの仲介業者に依頼したら良いのかについて助言します。 3.適切な売却時期を提案いたします。 4.少しでも高く売却するためのコツをお教えします。  

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不動産仲介会社に査定をしてもらったが妥当な価格なのか、これで本当に売れるのかなど、心配なときは是非ご相談ください。中立の立場で相場をお調べし、お答えいたします。  

2.どこの仲介業者に依頼したら良いのかについて助言します。

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