販売不振の一方でミニバブル現象も続いている

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

新築マンションの急騰にたびたび驚かされて来た最近3年ですが、最近はすっかり馴らされてしまった筆者です。しかし、今もときどき驚かされます。販売絶好調のおまけ付きだからです。

一方では価格引き下げ物件も散見されます。販売状況は「二極化」状況を呈しているようです。

●金利の低下が価格上昇を吸収

低利の住宅ローンが、ここへ来て更に低下し、史上最低を更新しました。変動型ローンでは、年利0.6%などという信じられない超低金利です。ご存知の「マイナス金利」を日銀が決定した影響とされます。

金利が下がれば、返済可能額から逆算すると借入可能額が増えることになります。

一時期、金利の先高観をコメントしていた専門家も、最近はすっかり口をつぐんでしまいました。今は「日銀の政策転換に踏み切らない限り、当分は低金利が続くでしょう」と発言しています。

数年前、住宅ローン金利が2%だった頃と、少し前の1%との差を、毎月の元利均等返済額で比較してみましょう。

返済期間35年とします。 年利2%で3千万円なら毎月99,380円です。これを1%の金利に変更すると、毎月84,680円に15%も減少します。

毎月返済を99,380円まで上げていいとし、これから借入可能額を逆算すると約3500万円と約17%の増額になります。

頭金を2000万円用意できる人は、5000万円だった予算を5500万円に上げても負担は変わらない計算になります。10%の予算アップです。

頭金を1000万円で予算4000万円だった人なら、4500万円に予算を13%アップしても負担額は変わらない計算となります。

もう少し返済を増やしても無理がないという買い手や、親からの贈与を積み増しして予算を増やせることになった買い手なら、20%くらいの価格上昇は吸収できてしまうのでしょう。

しかし、それ以上の価格上昇が起こればギブアップする人が増えて行く理屈です。

ところが、価格上昇によって需要が100から80に減ってしまったとしても、供給が大幅に減っている(2008年頃の半分以下になった)こともあって、売れ行きはあまり落ちなかったのです。少なくとも最近までは。

2013年をスタートとして2015年までの3年間で首都圏の新築マンション価格は平均で20%の上昇でした。 しかし、金利低下が需要の減少率にブレーキをかける形となり、販売率の低下も思ったほどではなかったということなのでしょう。

しかし、これ以上の値上がりが起これば、金利低下も焼け石に水となるはずです。

新築マンションの販売に陰りが出て来たことは、少し前の本ブログで述べた通りですが、直近の金利低下は再び販売スピードを回復させるのでしょうか?

●価格が下がらない

新築マンションの価格は急に下がることはないのですが、売れ行きが極端に悪化すれば利益を削って引き下げを図るしかありません。

しかし、上述のように一段の金利低下が高価格をものともせずに好調な販売につながれば、売り手は強気な価格で事業を継続することでしょう。

建築費の上昇は一服感が出て来たと聞きますが、下がる気配はなく、一部の物件から一段と高くなった感を受けるほどです。

●まるでバブルの特異な物件

筆者に連日届く検討マンション、または購入契約済みマンションの評価依頼。 この対象物件の中に、駅前マンション・駅直結マンションがあります。調べて行くと、その中に旧相場の5割~10割高などというとんでもない例が見られます。

その異常とも言える高額マンションに遭遇すると、「バブル現象」の一端を見る想いに駆られます。

駅前マンション、駅直結マンションは利便性の高さで群を抜き、その希少性から高い価値を有することは確かなのですが、相場の5割高や6割高が果たして妥当なのかについては少々疑問を感じます。

別格のマンションなので別次元の価格になってもおかしくないのですが、もはや常識の尺度を超えているとしか言えない高価格なのです。 過去の事例を見ても、駅直結マンションは地域相場の4割高くらいは当然と感じるものもありましたが、さすがに5割を超えて来ると、「高過ぎる」というほかないのです。

価値観の差とでも言えばよいか、「これは値打ちだ。●億円出しても買いたい」という人が果たしてどれほどいるのだろう?立地条件で差はあるにしても、大きな関心事です。

そういえば、昨年は目黒駅前のタワーマンションで坪単価@600万円というとんでもない高単価の大規模マンション数百戸が短期完売を成し遂げました。

このようなことを繰り返し思い巡らすと、1980年代のバブル期の現象と重なり合って来ます。常識の尺度で測れないときは、大体が「バブル」なのです。高値を合理的に説明できない、逆説的ですが、それがバブルというわけです。

駅前・駅直結マンションの異常な高値マンションが売り出しのたびに即日完売を続け、3か月もしないうちに数百戸が完売してしまうとしたら、将にバブル現象。そんな感想を持ちます。

京都市の「京都御所」界隈で最近発売された複数の高級マンション。その中に億ションが20戸以上もあり、中には7億円を超える部屋もあったとか。しかも、あっという間に売れたというのです。 このニュースも、バブル現象を彷彿させるものでした。

1980年代のバブル現象は、「買うから上がる。上がるから買う」という循環を作り出し、ありとあらゆる土地・マンションが高値になりました。最後は、誰も手を出せないレベルまで上昇し、通勤可能な地域のマンション開発自体が停止してしまったのです。

私たちが歴史から学んだのは、高値マンションを売り出し続ければ、売り手は自ら首を絞めることになるということでした。また、「バブル期の異常な高値マンションを購入した人は、それを売却すれば例外なく損失を被る」ということでした。

一部で値引き販売中、竣工後1年を経ても販売に苦労している物件も増えていることと睨み合わせると、一部の高値マンションの売れ行きを見ても市場全体がバブルという判断には至りませんが、特定物件だけのバブル現象というのもどこかおかしい。そんなことを思う日々です。

 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

★三井健太のマンション相談室は、マンション購入のお悩みにお答えするサイトです。

★「無料の未公開情報(HPでご紹介。現在66タイトル)や「マンションWEB講座(※最新版NO.90)」など、お役立ち情報も多数掲載されています。

★新築も中古も物件検索はこちらが便利・・・http://mituikenta.web.fc2.com/index2.html

第三者の公平な目でマンションを評価する「マンション無料評価サービス」

※ご検討中マンションの価値を客観的に評価し、適正価格かどうかの判定を含めてレポートにしお届けしています。詳細は上記URLで

※「買ってよかった」を再確認したい方もどうぞ。物件サイトが閉鎖されている場合は、建築概要・住戸専有面積・階・向き・価格・管理費・修繕積立金などの情報をご提供いただきます。
※中古物件の場合は、物件の掲載WEBサイトのURLをご記入ください。