新築マンションの契約率が急降下(2016年1月)

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

毎月恒例になっている、新築マンション市場データが不動産経済研究所から今月も発表されましたが、それによると、月間契約率(1月に売り出された戸数の何%が月末までに売れたかを示すデータ)は好不調の分岐点とされる70%を大きく割り込み58.6%となりました。

50%台に落ち込んだのは、2008年7月以来7年半ぶりのことなのです。

1月は、8月とともに、例年販売が低調なときで、販売戸数も減るのですが、契約率まで落ち込むことは多くないのです。

この1月の発売戸数は前年同月比11.0%減の1494戸と5年ぶりの低水準でした。にも関わらず、契約率が急落した背景には「価格高騰」があると同研究所はコメントしています。筆者もそう考えます。

1戸当たりの価格で、1月は前年同月比25%も高くなったからです。1坪当たりの単価も22%アップになったのです。

以前も書きましたが、新築マンションの売れ行きには昨年9月、10月に70%を割り込みました。11月には70%を超え、持ち直したかに見えましたが、12月には60%台に再び下落しました。そして、とうとう1月には50%台と低下したのです。

昨年8月までは70%台を常に超える状況が続いていただけに、マンション業者にとっては厳しい状況を迎えたことを自覚させるデータと言えます。

価格が高過ぎて購入をためらうか、諦めるかする人が増えることを「需要の減退」と表現しますが、最近数か月の状況は将に「需要の減退」という現象を表しています。

この先の見通しはどうなるのでしょうか?

3月の決算を目前に控えているだけに、マンション業界としては動きが取りにくい時期ですが、竣工済みの販売物件は3月中の代金決済・引き渡しという条件をクリアすれば売上に上げられるので、目先では値引き販売が少し増えることでしょう。

検討中の方は、思い切って大きい金額を要求してみることをお勧めします。「拍子抜けするくらいあっさりと要求を満額呑んでくれた」と、嬉しさ溢れるメールを下さった方が年明けから増えているからです。

新築マンションの販売は、販売対象戸数を一気に売り出すのではなく、第1期、第2期と分割して売り出します。ご承知の通りですが、今後はこの「小分け」が一段と進み、第5期とか第8期とか、あるいは第3期・第5次などと売り出す回数が増えて行くことでしょう。

要するに「チビチビ」と売る作戦を採らざるを得ないのです。

そんな物件は、「販売は順調でない証拠」と思って間違いありません。

従って、慌てて申し込みをしなくてもいいのです。仮に5階と6階の同タイプを検討したいというとき、「今回は5階を売り出しますが、6階は次期以降になるがいつかはまだ分からないのです。価格も上階なので高くなりますが、かなり高くする予定なので、5階で決めて下さい」などと言われても真に受けることはありません。

当初目論んでいた価格にさらにONして強気な価格で売り出す例も散見された昨年でしたが、今後は強気なことも本心では言えなくなります。「本心では」と述べたのは、営業トークとしては、まだしばらく強気な態度を採り続けると考えるからです。

ところで、よく尋ねられる質問に「売れ残りマンションは良くないのですか?」というのがあります。

答えは「NO」なのです。物件によって「とても良い物件ですし、価値あるマンションと言えます。しかしながら、その価値以上の値段を付けてしまった、つまり高過ぎるために足が遅い物件なのです」とお答えする例が少なくありません。

このような物件は、価格交渉をして可能な限り下げてもらえば買っていいのですし、仮に期待したほど下がらなくても価値あると信じられる物件なら後悔することはないはずです。

問題なのは、価値の低い、価格だけが世間並みに高い、そんなマンションを買ってしまう危険を冒すことです。口のうまい営業マンに乗せられないよう、あるいは期限を切って購入を迫って来るようなことがあっても、今後は足を止めて冷静に、また慎重に考えをまとめることが大事です。

「登録受付は〇〇日まで」などとスケジューリングされていても、それは分割販売の手口に過ぎないと思いましょう。そこでチャンスを逃しても、次期の売り出しがまだあるのですから。

髙くても買って良い物件なのか、それとも見送るべき物件なのか、しっかり見極めることができそうな環境にあるとも言えるはずです。

モデルルームを見て舞い上がり、営業トークや分割販売の作戦(スケジューリング)に乗せられないようにしましょう。販売不振状況下では、売りの意識を強くし、力づくでねじ伏せようとでもするかのような営業を展開して来る販売主、販売会社が増えて来ます。 ここに気をつけることも肝心です。

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