交通便の良くない物件が目立つ新築マンション

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

最近、「安いな」と一瞬ながら感じる物件に遭遇すると、決まって駅から徒歩15分以上を要するような不便なものです。

首都圏全体、特に東京都区部の価格上昇は目を覆うほどのすさまじさですが、このまま右肩上がりが続けば、いつか来た道に迷い込むに違いないと思うばかりです。

その危惧を業界が感じているかどうか定かではないのですが、価格抑制のために、あるいは建設用地が取得しにくい現状から仕方なくなのか、遠隔地でもと開発に踏み切った物件が増えて来た気がします。

以前も「郊外マンション・バス便マンションは長谷工だらけ」のタイトルで書いたので(2012年11月25日)繰り返しませんが、そこに絡むのが、やはりそうかと思うゼネコンの「長谷工コーポレーション」です。

工場跡地などの大型の土地を探すことに長けている同社は、特命受注を狙ってマンション用地をデベロッパーに紹介します。これがビジネスモデルであり、同社発展の最大要因です。

無論、駅から遠いマンションがすべて長谷工の関係するプロジェクトというわけではありませんが、物件に共通するのは、価格の安さをアピールしていることです。

3年前に予想していた通りの状況になったと今さらながら感じる日々です。

筆者に届く最近のご相談メールには「駅から遠いことが問題だと思うが、このような物件を買っても大丈夫か」や「値引きするというが、それに乗っても大丈夫か?」、「そもそも、この価格は適正なのか」といったものが増えています。

筆者は答えます。

「駅から遠かろうが、価格が高かろうが、そこに住みたいと思う要素がたくさんあって抵抗がない立地・環境、言い換えれば物件がお気に召したのであれば、購入に踏み切っても悪い選択ではない」と。

そもそも理想的な物件は皆無と言ってもよいのです。仮に理想に近い物件があったとしても、価格が予算を大幅に超えるものであったりするのが普通です。

従って、どこかを妥協して選択することにならざるを得ないのです。選択した物件が買いたいと思う物なら、それでいいのでは。

ただ、マンションには「経済的価値」と「使用(利用)価値」の二つの側面があると考えられます。後者は、個人の価値観や家族の事情などによって幅があるもの、その大きさは他人には測り知れないものがあります。

仮に「経済的な損失」を被ったとしても、使用価値が高いことで大きな「精神的利益」を得て余りあるという場合があります。つまり、場所を含めて物件を気に入り、快適な暮らしができそうなら、その選択は間違いではないのです。

快適に暮らせるかどうか、豊かな気分を味わえるかどうか、その観点で新生活を想像してみましょう。金銭の多寡では測れないマンションの価値、それを測定するのは買い手自身です。

このように付言します。

とはいえ、できたら損はしたくないと誰もが考えます。そこに筆者の出番の意味があります。

ご相談物件に筆者が住むわけではないので、筆者の個人的な好みや価値観で良し悪しをコメントすることは無意味です。 ご相談者は、必ず客観的な意見を聞きたいと付け加えます。

そうです。筆者に期待しているのは、あくまで公正な判断、一般基準です。

個人的には価値があると思えても、いざ売却するというとき、他の人はどう思うのだろうか? 高く評価してくれるものだろうか、損はしないだろうか――こうした思いが筆者へ「ご相談や物件の評価依頼」となって大量に届きます。

最近目立つ交通便の悪い物件を選択したとき、何が起こるのでしょうか?

読者の皆さんはお分かりと思いますが、いわゆるリセールバリューが高くならないことです。

徒歩物件を100で購入し、10年後に売却したところ、100で売れたとしましょう、同時期に90で買ったバス便のマンションは70でしか売れなかったというようなことが起こるのです。

しかし、今の時期は、理論上は90から70になるはずの交通便が悪い物件より、駅近マンションの方が、リセールバリューが低くなることもあるのです。

駅近マンションを100ではなく120で買ってしまいがちなので、10年後は100でしか売れないといったことも考えられるからです。

そのことに比べれば、交通便が悪くても安く買えればリセールバリューは悪くないのではないかと期待する人もあるかもしれません。

こうした意見には一理あります。しかし、問題は本当に安く買えたのかどうかにあります。駅近の販売中物件と比べたら間違いなく安いはずです。しかし、比較対象物件が異常に高かったら? もうおわかりですね。一見して安い物件が実は価値に見合う安さとは限らないからです。

その辺りを勘違いしないような判断が大事になります。

そこで提案です。交通便の良くない物件を買うときは、「より安く」を念頭に置き、価格交渉を頑張ることがカギになると覚えておきましょう。
交通便に問題のあるマンションの売れ行きは良くないのが一般的です。従って、販売促進のために値引きを行います。そこにつけ入るスキがあるのです。

前向きに購入を検討するときは是非とも価格交渉にチャレンジしましょう。値引きの提案が売主から出たときも、その提示額にぬか喜びせず、増額を狙うべきです。

 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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