建売住宅の供給増加に思うこと
- 2016.03.10
- 建て売り住宅
ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
最近の新聞で「都内の戸建人気じわり」という記事を見つけました。
マンション価格の急騰に対し、建売住宅の価格は最近数年間ほとんど変わっていないとか。そのため、相対的に割安感があるため売れ行きがよいのだそうです。
売れ行きが良いので、業者も開発を増やしているとかで、新築マンションが大きく減らしていることに比べて、こちらも対称的です。
●東京の建売住宅のプロフィール
都内の建売住宅は、今どのくらいの価格で販売されているのでしょうか?東京カンテイ社が2015年5月に発表した数字を見ると、2014年4月から2015年3月までの月別の価格推移(1戸平均)は4087万円から4419万円までですが、トレンドとしては概ね安定しており、平均4200万円となっています。
敷地が所有権で面積100㎡~300㎡、最寄り駅から徒歩30分以内の木造住宅に限定しての調査としています。
これだけでは、都内のどのような場所かも、どのようなプロフィールかも分かりづらいので、サンプルを探してみました。いずれも、現在販売中の物件です。
都心の中の都心・文京区で、土地面積70.12m2・70.27m2、3階建て建物面積104.3㎡・104.77㎡ 2棟が、8980万円・9280万円です。
新宿区の西武新宿線「中井」駅から徒歩8分と至近な立地では、全12棟が土地面積91.1㎡~98.54㎡、建物面積89.64㎡~95.84㎡ で、分譲価格は 6965万円~8898万円とあります。
南西部の世田谷区では、東急大井町線の尾山台から徒歩18分という立地で10棟が土地面積 105.11㎡~116.03㎡、建物面積92.95㎡~99.56㎡で分譲価格6445万円~7396万円とあります。
北西部の練馬区では、西武池袋線「富士見台」歩14分に全26棟の現場があり、そのうちの4棟を間もなく売り出すそうで、土地面積は111.81㎡~114.45㎡とやや大きめ、建物も103.62㎡~105.78㎡が、6240万円~7280万円で分譲とあります。
東部江戸川区(最も販売現場数が多い区)では、JR総武線「小岩」徒歩15分に2棟、土地面積82.43㎡・83.77㎡で建物面積が84.46㎡(2階建て)で4000万円を切る(3780万円・3880万円)という物件があります。
都下も少し見ましょう。JR中央線「三鷹」バス8分の三鷹市に、全30棟のうちの4棟が土地面積120.31㎡~122.32㎡、建物面積95.31㎡~97.06㎡、は分譲価格5870万円~6780万円とあります。
もう少し都心から離れてJR中央線「日野」徒歩13分の日野市には、土地面積が広めの130.78m㎡・131.33㎡、建物面積96.05㎡・96.2㎡の2棟現場が分譲価格3980万円・4000万円で販売中です。
東京都全体でSUUMOに掲載された建売住宅の物件数は10,000件を超えているため、1件1件全部に目を通すことは困難ですが、ざっと検索サイトを通覧すると、建売住宅とはこんな感じということが分かります。
上記のデータだけでも大体のパターンは把握できそうです。
?販売価格の上限を地域ごとに概ね定め、そこからの逆算方式で土地面積を決めたかのように100㎡以下で販売される物件が多い。都心では40㎡~50㎡という狭小地が多く、郊外でも高々120か130㎡しかない。
②建物面積は、土地面積によって自動的に決まって来るため、100㎡を割り込む土地には100㎡未満の狭小住宅が、場所によっては3階建てとして建設される。
③最寄り駅から徒歩圏にあるものでも10分以上と遠く、バス便物件が多数見られる。
④大手業者による20棟以上の比較的大きな開発もないことはないが、大半が10棟未満の、いわゆるミニ開発と呼ばれる既存住宅の谷間で建設されている。
●マンションと比べてみる
さて、上記の戸建は近くのマンション価格と比べてどのくらいの差があるのでしょうか?
詳細のデータを並べるのは割愛しますが、ざっと1000万円~2000万円の差、一戸建ての方が安いのです。
こう聞いて戸建てに食指が動く人もあるかもしれませんが、利便性や資産価値の観点を考慮すれば、戸建てが上とは言えないのです。
そもそもマンションと戸建てを比べるのはナンセンスだという意見も多く、微妙な問題と言えるかもしれません。
どちらも一長一短があり、どちらが良いかの鍵は買い手の価値観、ひいては人生観にあると思います。
ともあれ、新聞の伝えるところでは、価格の安さからか、若いファミリー層が買い手の中心なのだと聞きます。
としたら、階段の上り下りは苦にならないかもしれませんね。3階建てでも移動に関する限り問題は多分ないのでしょう。
しかし、こうした狭小敷地の戸建てを買った人は後先を考えているのだろうか?そんな疑問を感じます。
つまり、売却のとき、中古の戸建ては市場でどんな価値判断がなされるのか、その検証をしているのだろうかという疑問です。
マンションでも中古になれば、建物の劣化は見映えの悪さと、内装リフォームの必要度から新築マンションより安くなるのは普通のことですが、様々な背景や理由から新築を超える価格で取引される中古マンションは少なくありません。
一方、木造戸建ては築20年経つと建物価値はゼロと見なされるという現実は今も残っています。乱暴な言い方をお許しいただくとして、土地代だけになってしまうのです。
地価が大きく上昇しない限り購入価格を超える価格で売却することができないと思うほかありません。
建物の減価分を埋めるだけ地価が上がることは、1980年代の土地バブルが再来しない限り、ないからです。
●快適に暮らせるなら狭小戸建てでもいいではないか?
値下がりしても、賃貸マンションに住むことと比較したら、超低金利の現在、負担は購入の方が低いので、割り切れば「買い」の選択はあって良いとする意見も聞いたことがあります。
なるほど、賃貸マンションでは35年住んでも、家主から感謝状も出ませんが、自己所有なら、35年ローンが完済すれば、その先はただで住めるので、計算上は得かもしれませんね。
35年経ったとき、建物が老朽化して住むに堪えない状態になっていたらどうするのかという疑念が湧きます。
そんなの簡単だよと語る人がいます。建物だけの費用を払って建て替えたり、状態によってはリノベーションしたりすればいいと。
マンションだって、リフォームして住む人がたくさんあるではないか。管理費や修繕積立金だって長い目で見れば馬鹿にならないのだから、戸建てが損だとは言えないよと反論して来ます。
ご説ごもっともですが、金銭的な損得ばかりに目を向けていては根本的な答えは出ないのです。
利便性はマンションの方が上のはずです。セキュリティもマンションが良いでしょう。
しかし、このような論争を続けても実は意味がないのかもしれません。 先に述べたように、最後は価値観や人生観によって選択先が決まるのです。
筆者も、マンションと一戸建て両方に住んだ経験がありますが、それぞれ一長一短があるなと思っています。 しかし、決定的に違う点がひとつあります。それは、マンションは売却がしやすいということです。
売却のしやすさは、価格の下落率が低く、多額のローンを組んでいても、売却時の銀行清算ができなくなるような事態は起きにくいこと、また、利便性を求める買い手が多い大都市圏では、利便性が著しく劣るマンションでない限り、買い手は比較的早く付くことを意味します。
狭くても快適な我が家、駅から遠くてもマイホーム、職場から遠くても駅近の、そして小さいながら庭付きの家、だから私は満足だという人を誰が批判できましょうか。
しかしながら、マイホームは賃貸と違って簡単に引っ越しを繰り返すことはできないのです。「転勤の予定もないし引っ越しは当分ないから構わない」かもしれませんが、今は人生90年の時代です。あなたが40歳として、あと50年、変わらずそこに住み続けることはできるでしょうか?
「想定外の何かが起こり別の場所に移転する必要が起こったら」――この観点を忘れるべきではないと筆者は思います。その点を踏まえての選択をした方がきっと後悔しないですむと確信するからです。
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