「高級な億ション」と「なってしまった億ション」

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

東京のマンションの値上がりは凄まじいと言っても過言ではないほどですが、そんな実感を日々味わっているなか、マンション選びに追加したい視点が出て来たので、今日はそれについて書きます。

●なってしまった億ション

25年以上も昔、バブル期のことですが、「なってしまった億ション」とか「結果億ション」という表現が誕生しました。

建物は中級だが、地価の暴騰によって価格だけが高級マンションの代名詞・億ションと同じ1億円を超えている物件を揶揄した言葉でした。不動産インフレを象徴する言葉でもありました。

今、再び都内各地で販売中のマンションの中に「なってしまった億ション」が登場しています。

一部の住戸に留まっているので、バブル期のような極端さはないものの、原価(土地と建築費)の上昇によって「なってしまった億円台の住戸」が増えています。

不動産経済研究所の調査によれば、2015年に売り出された首都圏の億円の住戸は、1638戸もあったそうです。

さて、「なってしまった億ション」に筆者が感じることは以下のようなものです。

? 室内の設備・仕様は標準を超える上級ではあるが、最上級とまでは言えない。

② 共用部も上級ではあるが、最上級でもない

③ 全体が億ションではなく、上階の「プレミアム」住戸などに限定されている(例外的に中層階にも誕生してしまったものも見られる)

④ 億ションが建つイメージの街でもないが、駅前立地であるケースが多い

●高級な億ションの条件

これに対し、そもそもの高級マンションというイメージに背かない億ションとは、どのようなものでしょうか?整理してみましょう。

? 社会的に特別な階層(富裕層に分類される少数の階層)が、ステイタスシンボルとして好む邸宅地(ブランド地)に立地する。

② 特別な仕様で造られた外観や共用部を持つ(5つ星の高級ホテル並みの仕上げ材やインテリア、オブジェなどで飾られている。内廊下の絨毯ひとつ取っても品質にこだわりが見られる。エレベーターの仕様も上級)

③ 戸数の割にエレベーターの数が多く、駐車場は全て地下自走式かタワーリフト式になっている、ドアボーイやバトラーが滞在し、高額な管理費が設定されている。

④ 水回り部分も含めて全体的に天井が高く、リビングルームは飾り天井が施され、いかにもシャンデリアが似合うとか、トイレや洗面室の床はCFシートなどではなく、悪くともタイル貼り、多くは天然石仕上げになっている、壁の仕上げも高級感と上品さのあるデザインにこだわっている、設備もハイグレード、建具は高級な天然木材、ドアハンドルの材質・デザインも一級品を採用など、書ききれないが、本物志向に徹した専有部分となっている。無論、広さもゆったりと作られている。

このように、高級な億ションとは、建物が高級というだけではなく、そこに高級住宅地や邸宅街といった立地条件の特別な価値が加わって成立するものです。

そのような特別な億ションにも、「なってしまった」という意味を加えるならば、今の時期は2億円が3億円になってしまったということになるのでしょう。

●なってしまった億ションの未来

さて、本稿のテーマは「なってしまった=結果億ション」の価値についてお伝えすることにあります。 

今の時期は、大半の新築マンションが建築費の高騰によって、少し前(2010年~2012年頃)の安定期の相場、これを旧相場と呼ぶなら、そこから2割も、3割も高くなってしまったのですが、それでも金利の低下や住宅ローン減税の効果から購買力はさほど低下せず、言ってみれば届いてしまう(買えてしまう)人を増やしています。

そのことが、億ションでも買えてしまう人も増やしていると言えるのです。

「届くから、買えるから」の理由で高値の「なってしまった億ション」を買ってしまうと、将来はどのようなことになるのでしょうか?

物件固有の条件によって異なるので、ここで総体的な予想を述べるのは難しいのですが、多くの場合で悲観的にならざるを得ません。

実際の価値以上の値段が付いてしまうことを、バブル現象と定義するなら、「なってしまった億ション」は、将にバブル物件なのです。バブルは必ず調整されるときが来ます。つまり、一旦は必ず値下がりしてしまうのです。

その先は、また値上がりのトレンドがやって来ますが、その局面で元の価格に戻るかどうかは疑問です。

マンション価格は、上昇期と安定期と下落期とが循環するものですが、それが何年くらいの周期で起こるかを予想するのは難しいのですが、もし、次の上昇期に価格が回復しなければ、その先の上昇期には築年数の経過もあるので、結局は元に戻らないままということもあり得るのです。

その意味で、「届くから・買えるから」に甘んじることなく、実質価値をよく確かめて購入することが大事だとお伝えしたいのです。

今日の話は「なってしまった億ション」を題材にしてはいますが、基本はどのようなマンションにも当てはまるのです。 どれも旧相場より高値で買わざるを得ない時期にあるのは仕方ないとして、バブル部分が剥がれ落ちて大きく価値が下落してしまうことのないよう、物件選択はよく吟味することが望まれます。

もっとも、自分にとって価値ある物件、自分にとって理想的な物件、自分・家族にとって幸福になれる、または快適な暮らしを約束してくれる物件と思うならば、そのマンションは迷わず「買い」であり、髙くても一向に構わないとも言えるのですが・・・

 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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