「高値買い」してしまった物件の先行き

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

このブログで度々紹介して来たマンション価格の高騰問題。 建築費の上昇を主因として最近3年間の上昇カーブは驚くばかりです。首都圏全体の平均では、2012年を基準にして見ると2015年の価格は20%も高くなりました。

平均20%は、言わすもがな30%も40%も高い物件と10%程度の値上がり物件があることを意味します。

ここで疑問を持った読者があることと思います。昨日まで100円だった品が今日から120円になるような消費財の値上がりと不動産とでは意味が異なるからです。

 同じ不動産でも、賃貸マンションの賃料の値上がりなら分かるのですが、分譲マンションの値上がりとは、同一商品の値上がりのことではありません。

マンションの値上がりとは、昨日まで販売していたABCマンションの平均価格と、今日販売するXYZの平均価格を比べて後者が高いことを指してのことです。

ABCの各マンションの立地条件は異なりますし、XYZの立地条件もそれぞれに異なるのです。建物のスペックやグレードも、少しずつ違うはずです。

しかし、AもBもCも、またX、Y,、Zも同じ一定エリアにあります。例えば首都圏、例えば東京都心、例えば横浜市、さいたま市などと範囲を定めた中で販売されたマンションの全部を平均して3年前は5000万円だったのに対し、昨年は6000万円に上昇したなどと言っているわけです。

構成要素が異なるもの同士を比較して高くなった、値下がりしたなどと表現しているのです。
これに何か違和感を覚える人もあるのではないかと思いますが、唯一無二の商品というマンション・不動産の特性ゆえに、価格の変動を見る方法は他にありません。

仮に、エリアを小さく区切り、3年前に10物件500戸の供給があったとし、その平均価格が5000万円とします。3年後、同一エリアでは1物件30戸の供給にとどまり、平均価格は1億円だったとします。

この場合、「そのエリアの価格上昇率は100%だ」と言うでしょうか? 

3年前の物件はおしなべて標準的・一般的なマンションだったが、3年後の1億円平均の30戸のマンションは全くグレードの異なる高級マンションであり、かつ同じエリアとは言いながら、その中でも超一等地と言われる立地条件の稀有な物件だったとしたら、この比較は意味をなさないわけです。

説明を分かりやすくするために極端な例を引きましたが、マンションの価格上昇率は、数多くの物件の平均を比較しなければ傾向は掴めないということがお分かりいただけたことと思います。

ここで、値上がり(値下がり)の問題を買い手の立場になって考えてみます。

検討中マンションの価格は高くなったマンションなのか、さほど値上がりしていないマンションなのかを知るにはどうすればいいのでしょうか?

3年前から一定エリアの中で継続的に新たに販売されるマンションが出るつど、広告やモデルルームを見て来た人なら、おそらく感覚的に「随分値上がりしたなあ。3年前は70㎡の3LDKが4000万円で買えたのに、今は5000万円以下では買えないよ」などと感想を漏らすに違いありません。

このような買い手も実際にあるのですが、多くは3年前の価格まで把握してはいません。せいぜい半年か1年間のレンジでしか比較できないのではないでしょうか?

このため、1年で20%も30%もの価格上昇中であるときは気付くかもしれませんが、3年で20%、単純に年7~8%の上昇では、「何となくそんな気がする」程度のはずです。3年前の物件と現在の物件はエリアが同じではあっても別の物だからです。

マスコミ報道などで値上がりを聞き、自分の探すエリアもそうなのかもしれないとは思うものの、実感しにくい場合が多いものです。

こうして、3年前に比べて20%も高い、金額にして1000万円も高いマンションを知らぬ間に買ってしまうという実態に至ります。

買えてしまうのは、金利の低下によってローン返済に無理がないからです。考え始めて間がない買い手の大半は、「自分にこんな大きな買い物ができるなんて」と驚いていたりします。

知らぬ間になどと無礼なことを言いましたが、検討時間が半年か1年くらいの人の中には、多数の物件を見比べることによって値上がりを実感して行く人もあることをお断りしておきます。

その過程では、慌てて決断した人、様子見に転じている人、諦めた人、郊外エリアに条件を変更した人などと色分けされて行きます。

「高いけど、もっと高くなる」や「高いが、次の値下がり時期まで待てない」を理由に決断して購入に至った買い手も多数あるのです。

ところで、急激に値上がりしたマンションは将来どんなことになるのでしょうか? この点の説明も分かりやすくするために極端な例を取ることにします。

3年前は70㎡前後で5000万円だった某駅の徒歩圏マンションが、現在は1億円になってしまったとします。1億円では買えないのでバス便でもと妥協し、それでも6000万円と高くなったマンションを買ったとします。

新築マンションの急騰原因は、人件費高騰によって建築費が上がったことでした。5年後、建築費は下がりました。また、値上がりが急だったために売れ行きが悪化したので、その後の新規売り出しは、利益を切り詰めて価格抑制に努める売主が増加しました。

この結果、平均価格は大きく値下がりしました。某駅徒歩圏の新築マンションは70㎡で8年前の5000万円に戻りました。

そのとき、同エリアに1億円で5年前に取得したマンションの中古価格はどのようなレベルになるでしょうか?

新築は5000万円に戻ってしまったのです。1億円で買った自宅マンションは築5年でまだ十分新しいし、グレードも低くない自慢の我が家なので、新築を上回る可能性はあるかもしれないなどと期待しました。

ところが、新築と変わらない程度、すなわち5000万円でしか売れないなどと知ります。 つまり、購入額の半値です。失望は大きいことでしょう。

6000万円のバス便マンションの方はどうなってしまうでしょうか?徒歩圏の新築マンションが5000万円に戻ったのです。 比べたら、バス便の中古マンションは4000万円でも売れるかどうか。4000万円で売れたとしても2000万円もの損失になってしまいます。

このような事態が、この先に待っているかもしれません。極端な数字を用いて説明したので、現実はもう少しなだらかな結果になるはずです。しかし、急な上昇相場は必ず調整されるときが来ます。

その結果、「高値買い」をしてしまった人は、金額の多寡(大小)はあるにしても損失を被る可能性があると思った方がよいのです。

損をできるだけ少なくするためには、どうしたらいいのか、どのような物件を選択したらいいのか、このような意識を持たれ、より価値あるマンションを取得されることを心から祈念します。

勿論、筆者は多少なりともお力になりたいと考えています。

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