「交通便が劣るが子育てに良い」マンションの将来

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
~~~~最近は更新回数を増やしていいます~~~

「都心からは遠いが、周囲には自然公園などの緑が豊富で、子育て環境が良い。分譲価格が安いので、生活がラク。マンションは駅近が一番という呪縛から解き放たれると、マイホームの選択肢は広がり、楽に購入できる」――このように教える人がいます。一理あります。

しかし、筆者は、この意見に与しません。なぜなら、資産価値の面で疑問が残る物件が多いからです。

●郊外マンション・駅から遠いマンションの長所と短所

森羅万象、何事も裏と表があるものです。メリットがあれば、デメリットもある。そう言い換えてよいでしょう。

冒頭の意見の裏・デメリットは何があるでしょうか?

①まず、都心から遠い・駅から離れるということは、通勤の便に問題がありそうですね。
都心から遠い立地、都心から遠くはないが駅からバス便といった立地条件のマンション。
最終電車は結構遅くまで運行しているので、問題はないかもしれません。また、バスが頻繁に運行しており、しかもマンションのすぐそばに停留所があるような場合、さほど生活に不便はないかもしれません。
しかし、毎夜帰りが遅くなる人にとっては終電や終バスに間に合わないため、いつもタクシーの利用になることでしょう。
妻が夫をクルマで駅まで迎えに出るという対応をする家庭もあるかもしれません。

②買い物が不便という場合がも多いでしょう
郊外の街でも、駅前には多数の商店や飲食店ができており、十分とは言えないものの、不自由なく暮らせることでしょう。しかし、都心のターミナル駅まで行かないと飽きてしまうという場合も多いに違いありません。
バス便の場合も、最低限度の買い物施設が徒歩圏にあるはずですが、駅に近い住まいほどの便利さは望めないでしょう。

③一番のデメリットは、将来のリセールバリューが低くなる惧れがあることです
一般に、都心から離れるほど、また駅から離れるほど価格が下がる傾向はデータで明確に証明されています。勿論、郊外でも人気のある街、郊外の中核都市などは例外です。

新築の都心マンションや駅前マンションの価格を100、同じく郊外マンションや駅からバス便のマンション価格を70とします。都心マンション・駅前マンションの将来価格が100から20%ダウンの80となったとき、郊外マンション・バス便マンションが70から同じく20%ダウンの56になるかというと、そうではありません。後者は40くらいになる惧れがあるのです

●子育てが終わったらどうしますか?

地方都市では生まれた家に住み続けて50年といった例も珍しくないと聞きますが、都会では賃貸も含めれば一生の間に5回も6回も住み替えることは珍しいことではありません。
マンションに限りませんが、住まいは、ときどきの事情に応じて住み替えるものと言ってよいのです。

ときどきの事情には個人差がありますが、結婚や転勤、転職、親の介護、子供の進学、環境の変化などです。
子育てのために、環境の良い場所に住みたいのだ。多少遠くなって、通勤が痛勤になったとしても構わない。このような親心による転居は敬服に値します。

駅に近くて環境も良い、このような物件が見つかればそれに越したことはありませんが、現実は難しいものです。世田谷区や目黒区、杉並区などには一部の駅で見られますが、例外的です。

再開発によって整備された街、最近では人気急上昇の武蔵小杉が典型的ですが、23区の外とはいえ、鉄道によるアクセスが抜群に良いことに加えて、美しい街並みが子育て世代にも高く評価されています。その代わり、価格も都心並みに高くなってしまいました。

予算に限りがある以上、仕方ないのですが、二兎を追えない人もたくさんあって、結局「子供のために環境を優先しました」と語る人が多いのです。

そう決断をした人は、資産価値を無視したということだったのでしょうか?何人かの人にお尋ねしました。すると、「考えていなかった」という人もありましたが、「考えたが仕方ない」という人が多いのです。

多数のサンプルを取った調査ではないのですが、苦渋の決断だったという人が多いように感じました。その質疑応答の中で筆者が感じたことは、都心に近い、あるいは駅に近くて環境も良い、そんな物件は本当になかったのだろうかという疑念でした。

ともあれ、子育てが終わったら、どうするのでしょうか? その街では進学に際して希望校に行くには遠過ぎるということはないのか、年を重ねて来た夫は通勤苦から解放されたいと思うことはないのだろうか?このような疑念が湧きます。

何年か住んだら家庭内の事情も変わり、その家では不都合な状況が出て来ます。
転勤のない会社だと思っていたのに、合併や資本系列の変化で、逆に急成長のおかげで、通勤先が変わってしまったとか、地方転勤になってしまったとかの想定外の事情が起きることもあるのが世の常です。

家族がバラバラになってはいけない。さあ、家をどうしますか?売りますか?貸しますか?そんな岐路にぶつかるかもしれません。

●資産価値の視点は外したくない

筆者に寄せられた過去のマンション評価依頼の90%以上は「売るとき有利に売れるマンションかどうか、貸すとしたら貸しやすいマンションかどうか」を判定して欲しいというものです。
皆さん損はしたくないという本音を吐露されていたと思うのです。「マンション評価サービス」を始めたばかりの頃から感じて来たことです。

筆者は、多くの事例とデータを解析しつつ、選択の方向を可能な限り「資産価値」という物差しで価値を測り、ときに助言をさせて頂いたつもりです。

便利な立地で環境も悪くない、子育てにも適している街は実は都区内にも多数あることを皆さんご存知です。然るに、郊外や駅から遠い物件を選んでしまうのは、予算の壁があるからです。ところが、会話をしてみて分かるのは「3LDKの間取り・広さ」という呪縛があることでした。

年齢や家族構成から見て最低これだけは必要だね、というファミリーも確かに多いのですが、過半はDINKSか子供が一人だけという世帯でした。そうであれ、遠くの3LDKでなく、近くの2LDKで十分なのではないかと感じる人が圧倒的に多いのです。

新婚カップルにはよく言います。「お子さんがすぐできても、2LDKなら10年は住めるはずです」と。駅近の2LDKなら、売るも貸すも問題ないことが多いのです。駅近ならどのような物件でも良いわけではありませんが、多くが転売しやすく、賃貸にも有利です。

●駅から5分以内は外したくない選択の基本。10分では遠い

駅に近ければどんなマンションでも価値があるわけでなく、その他の条件との総合判断となるのですが、駅距離の占める割合は大きいのです。

駅そのものがどこにあるかも重要です。郊外なら、枝線や都心直通でない沿線より、直通幹線がいいですし、人口の多い中核都市・県庁所在地などの中心の駅がいいのです。

都区内でも、可能な限り徒歩5分以内の物件が良いのです。そこから5分以内に公園もあるはずです。つまり、都区内にも子育てに向く立地条件の物件は少なくないのです。

新築で条件を満たす物件がなければ中古にも目を向けましょう。広さを妥協すれば、便利な駅の徒歩5分圏で必ず見つけられると思います。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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