(11/20の1)巡回管理のマンションを買うときの覚悟
- 2016.11.20
- マンションの管理問題
「マンションは管理を買え」や「管理を見て買え」などと、管理の重要性を言い表す格言があります。その割には、管理形態に関する曖昧な表示が野放し状態です。
理想形は「24時間有人管理」、次が「8時間以上の日勤管理+24時間機械管理」で、歓迎できないのが「巡回管理+24時間機械管理」ですが、中古物件の売却概要を見ると、表示には、「日勤」としながら、管理人は滞在しておらず、本当は「巡回管理」だったという例が少なくありません。
ある購入検討者から聞いた話ですが、管理人室を覗いたが誰もいないのでおかしいと思い、管理会社に確認したところ、清掃人が週3日通勤しているが、管理員は巡回だという回答だったことがあります。
小規模マンションは管理費が高くなるため、巡回管理にするほかありません。分譲会社は、管理会社と相談しながら、管理人の勤務態勢を週5日以上にするか、週2日程度に間引きするか、或いは週5日の午前中だけとするか、管理人不在の巡回管理方式とするかなどの検討を行います。
管理人の人件費は、所有者が管理会社に払う管理委託費、すなわち管理費で賄われます。人件費を平均月額250,000円とすると、100戸のマンションなら1軒あたり2,500円で済みますが、25戸の小規模マンションでは1軒当たり10,000円にもなってしまうからです。
管理費は、共用部分の清掃料や電灯料、エレベーターの保守管理費、動力費といった費用にも使われますが、管理人の人件費は小規模マンションほど比重が大きくなります。
そこで、サービスが低下するのを承知で間引き管理や巡回管理を選択する売主が現れます。つまり、小規模マンションは管理サービスの面では不十分なマンションとなってしまう例が多いのです。
●マンション管理の重要性
マンションの管理とは、一言で言えば「建物の状態を綺麗に保つこと」です。
綺麗に保つとは、整理・整頓・清掃を行うことでしょうか? それも確かにあります。しかし、それだけでは十分ではありません。
もし、整理・整頓・清掃だけで足りるなら、清掃人が1日数時間いればいいということになります。巡回でも問題ないのなら、どこのマンションも巡回になるでしょう。その方が日中ずっと滞在してもらうより安上がりのはずですから。
「綺麗に保つ」とは、規約を守らない人を取り締まることも含むのだと思います。
住人には、様々なタイプがいます。所有者と所有者の転勤などで空いた住戸を借りている人、あるいは大人と子供、子供も幼児から中高校生くらいまで幅があります。モラルに問題のある人もあるはずです。
管理人が常勤していなければ、管理は乱れるものです。管理人は常に目を光らせ、ゴミを拾い、自転車置き場を整頓し、軽微な修繕箇所に気付いたら手直しの手配をする、不届きな入居者がいれば規約や共同生活のマナーを遵守するよう注意を促すのが仕事です。
マンションの管理人とは、管理組合、すなわち住人から委託された番人なのです。
管理人は、建物(共用部)の目視によるチェック、訪問者の出入りチェック、入居者のモラル(管理規約の順守の)チェックなど、ハードとソフト両面の番人という重要な役割を管理組合(所有者)から委託されています。
マンション管理は、清掃人が決められた周期でやってきて綺麗にすればいいというものではないのです。管理人がいなくても、日常生活に支障はありませんが、長い目でみると資産価値の劣化が早まる懸念があります。
その意味から、巡回管理より常駐または、短くとも1日5時間以上で週5日以上は滞在すべきなのです。
●管理員業務仕様書の点検
「管理員業務仕様書」というものが、管理規約に添付されています。その中に次のような項目が明記されています。
・建物、諸設備及び諸施設の目視点検
・照明の点灯及び消灯並びに管球類等の点検、交換(高所等危険箇所は除く)
・諸設備の運転及び作動状況の点検並びにその記録
・無断駐車等の確認
・各種メーターの点検(検針)
・外注業者の業務の着手、履行の立会い
・ゴミ搬出時の際の立会い
・災害、事故等の処理の立会い
管理人の給与は管理会社から支給されるものですが、マンション住民が共同で負担しているのと同じです。中小型マンションを検討する人は、是非とも管理人の勤務態勢をチェックしましょう。
さらに、上記仕様書に付記される回数(週3回や月2回などと書いてあります)のチェックも大事です。
筆者は管理員の経験はありませんが、こまごまとした業務が多岐に渡ってあるということは理解しているつもりです。それを怠らず、目こぼしせずにし続けることが、管理業務では大事なのだと思います。
築10年や15年では、差が見えないはずですが、その先で差が開くのです。
管理の良いマンションは、寿命が延びるだけでなく、売却時の価格に良い影響を与えるものです。買い手としては、単に管理費の安い・高いだけではなく、管理形態、なかんずく管理人の滞在時間にも注意を払い、正しい情報を把握するようにしたいものです。
●巡回管理マンションを買ったら覚悟すること
居住者が仕事を持っている以上、マンション管理は管理会社に委託するほかありません。その管理が「巡回管理」では、しっかりやってもらいたいと願っても限界があるはずです。
気に入って買ったマンションが巡回管理だったとき、我が家の資産価値を守るには、どうしたらいいのでしょうか?
「マンションは管理を買え」などと、昔から言われて来ましたが、どうやら管理は管理会社の仕事だなどと割り切るわけには行かなくなりそうです。
筆者は管理に関してはマンション住まいが長いというだけで、専門家ではありませんが、門外漢とも言えません。自分が過去に住んだ複数のマンションの規模は、それぞれに特色がはっきりしていました。
低層の小型マンション、120戸の駅前マンション、300戸以上のタワーマンションという差異があります。この中で、たまたまですが、一番管理が良かったと感じたのが低層の小型マンションです。
小型ゆえに、住人同士が顔の見える関係にあったようで、協力し合いながらバリューを守っていたのです。
巡回管理のマンションが管理の悪化につながらないケースもあるとしたら、高額の管理費を払ってでも管理人を朝から晩まで滞在させるか、それができないなら、住人の中から輪番制で管理補助員を選び、週1回でも見回りや点検業務に当たる仕組みを導入するべきです。
共用部の点検などを通して居住者の管理意識を強化することがお互いのためになるということを定着させることに役立つはずです。
早く言えば、うるさ型の住人が何人もいて、番人よろしく目を光らせ、モラルに関することはもとより、建物の隅々まで点検して歩くというイメージでしょうか。勿論、どこか問題が起きたり、気になることがあったりすれば、その情報を共有するための連絡会議や調整会議、あるいは解決のための協議などを定期的に実施するのです。
このような活動が、改修工事や積立金の増額といった課題をスムーズに処理・解決して我がマンションの価値を長く維持して行くことにつながるのだと思います。
一戸建てなら、好きなときに自分だけの判断でどんなことでも実行できますが、マンションはそうはいかないのです。面倒だなと思うかもしれませんが、共同の財産なのですから、共同の義務を果たさなければなりません。その覚悟ができなければ、資産価値は経年劣化が進み、いざ売却というときに差がついてしまうのです。
入居と同時スタートは現実的に無理としても、管理組合の管理への関わり方を明記しておき、2年目から活動を始めるといいでしょう。そうすることが管理員補助としての実務に早くから精通し、いざというとき、住人同士の意思疎通もスムーズに行くはずですし、問題の目を早い段階で摘んでしまうことが可能ともなるに違いありません。
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