ペンシル型マンションの気になるところ

新築マンションの供給動向を継続的に見ていると、実にいろいろなことに気付きますが、この10数年で主に首都圏で大きく変わったのは、1物件で500戸以上のメガマンションが当たり前のように供給されるようになったことです。

かつて、大規模マンションと言えば200戸を超えるものという概念が何となく定着していたものですが、500戸以上となると「大型」のカテゴリーには収まらないような気がしてきます。そんな思いから、筆者は勝手に「メガマンション」と呼んでいるのですが・・・

一方、15年くらい前からでしょうか?コンパクトマンションというカテゴリーも生まれました。コンパクトマンションとは、概ね30㎡以上50㎡未満のマンションを指しています。30㎡未満のワンルームマンションと50㎡以上のファミリーマンションとの中間に位置づけられるタイプです。

コンパクトマンションは、大規模タワーマンションの下層部に組み込まれる形で供給されるものと、建物全体がコンパクトマンションで構成されたものとに分かれます。

後者の多くは、「全戸角部屋、多面採光、内廊下式、500㎡以下の狭小敷地」という共通点があります。

コンパクトマンションだけでなく、70㎡クラスのファミリーマンションでも「全戸角部屋、多面採光、内廊下式、500㎡以下の狭小敷地」の区分に入る物件にときどき遭遇します。

どちらも、大きな土地の放出(売り物)がない都心部に見られるマンションタイプです。

敷地が狭くとも指定容積率が大きい商業地などでは、高層にすることで一定の戸数、すなわち塊としての商品が用意できるので、中小デベロッパーを中心に積極的に用地買収を図る傾向があります。

ワンフロアに3室とか4室、多くても5室しかないマンションは、殆どの住戸が角部屋になること、内廊下式にできることなどの長所がある反面(下図は「ローレルアイ大須)平成25年8月竣工済。敷地面積 498.74㎡のもので、本文と直接の関係はありません)、エントランスホールも内廊下も狭く、豪華さからははるか遠くなりがちです。管理費も高くつくので、多くは巡回管理(管理人不在)マンションとなりがちです。

また、狭い土地に高く積む形のマンションは、その多くが外形的には貧相なものとなりがちです。中には、デザインに注力し、小規模ながら「なかなかのもの」もありますが、滅多に見られません。ただの「ペンシルビル」にしか見えないマンションが多いのです。

次の写真は、本郷通り駒込駅付近を撮影したものですが、このように隙間なく高層マンションが並ぶと、スパンの狭い物件はビル群の中に埋没してしまい、存在感が薄らぎます。この姿を見て「うちのマンション可哀想」とつぶやいた人もありました。


凝った作りが必ずしも良いとは言えませんが、ペンシル型マンションは存在感が薄い上に、特徴を出しにくいので、デザイン的な工夫が特に必要です。

例えば、GOODデザイン賞を取った、次のような姿は多くの人々が個性を感じるのではないかと思うのですが、読者の皆さんはいかがでしょうか?

2008年度 グッドデザイン賞 受賞:太田紙興株式会社 (東京都)

2008年度 グッドデザイン賞 受賞 :有限会社キアラ建築研究機関 (京都府)

筆者は、「デザイン性」はマンションの価値を左右する、とても大事な要素と考えています。
マンションのデザインとは、外観だけでは勿論ないのですが、ペンシル型マンションでは自ずと外観のことと言ってよいでしょう。

マンション全体を外から見たとき、誇らしく見えるかどうか、賃貸マンションに見えてしまわないかどうか、我が城として満足しえるのかどうか、友達に自慢できるのかどうか、頑張った自分へのご褒美として価値あるものなのかどうか、少し遠くから眺めて考えてみましょう。

工事中で確認できない場合は、類似のプロポーションのマンションを探して眺めてみましょう。

もちろん、中規模マンション、大規模マンションと比較することも大事です。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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