金利上昇の観測記事が目立つ2016年12月

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

最近1週間の新聞紙面では「長期金利上昇」の見出しが目立ちます。

よく読むと小数点以下の低いレベルでのことではあるのですが。

しかし、世界的な金利上昇の動きに対して日銀は「長期金利抑制に動いた」とある一方、「日銀、来年は利上げも」などの記事もあり、何かが水面下で起きているような空気を感じるのは、筆者だけではないかもしれません。

アメリカの大統領がトランプ氏に変わることで、何か大きな潮流がやって来る予兆なのではないかとも感じたりします。専門家のコメントを読んでも楽観的な予測と悲観的な予測とが混在し、素人の筆者の頭は「もつれた糸」状態になっています。

もっとも、専門家の予測もあまり当てにならないものなので、心配しなくても大丈夫なのかもしれませんが。

ともあれ、筆者に届くご相談メールの中に僅かながら金利上昇を心配する声も届き始めたのです。

1%以下の金利が2%に上がったら困る、上がらないでほしい、そう願っている人は多いはずです。既に入居し、毎月ローンを返済している人の中には、変動型住宅ローンを選択している人も多数ありましょうし、これから購入しようとしている人や契約済みの人の中で引き渡しが1年以上先という物件を選択していたら、ご心配だろうと思います。

●返済中の人への進言

筆者の経験を少しお伝えします。

その昔、購入したマンションは変動型ローンを利用していたのですが、半年ごとに見直しされるので、ある日いつものように新しい「償還表」が銀行から届きました。目を凝らすと見慣れない項目がありました。それは、「返済保留金利」というような意味で、軽視できない金額でした。

金利が急激に上がったとき、一定の範囲をオーバーフローした分について、支払いを猶予する仕組みになっているからでした。

変動金利ですから、下がることもあるわけで、下がったときには保留していた分を払っていただきますよというような趣旨のメッセージが添えてあったと記憶しています。

「激変緩和措置」というのだそうです。

変動型ローンの返済額の上昇幅は最大25%までとなっています。つまり、変動型ローンを利用中、金利が急上昇したとしても、家計が狂わない措置を取っていることになります。少しくらいの金利上昇であれば、さほど影響はないでしょうが、急上昇したようなときは、ありがたい措置ということになるでしょう。

ところが、この制度には注意しなければならない点があります。

半年に1回金利の変動はあっても、元利均等返済ローンの場合は、金利と元金を合わせた返済額が変わるのは5年に1回です。つまり、金利が上がっても、内訳が変わるだけということです。

返済金額は5年間見直されないため、上昇した金利によって増えた利息が溜まってしまう場合、あるいは、金利返済優先で計算されるために元金が減らない場合があるのです。

5年後の変更では、返済期間や毎月の返済金額に大きな影響を及ぼす可能性もあるというわけです。

今も、この仕組みは残っています。10%ですら毎月の負担が増えたら大変というご家庭もあることと思いますが、仮に10万円の返済の人の場合では5年後の返済額が、最悪12.5万円まで増額され、かつ返済期間が長くなる場合もあるというのです。金融機関によって差があるとも聞きますが、いずれにせよ重大な問題です。

筆者の場合は、その後の金利低下で返済額は増えず(逆に減って)、かつ溜まっていた金利も跡形もなく消えてしまいました。

金利動向には注視して行くことが重要であるとしても、「慌てず騒がず金融機関と相談しながら対策を講じる」という姿勢で臨めばいいのではないかと思います。

●これから購入する人の対策

筆者は向こう2年で金利が今の1%以下から2%まで上がるようなことはないと思っているのですが、心配症な方には以下の三つの選択肢を提示したいと思います。

対策その1:完成時期が先の物件は検討しない

完成済み、またはこの3月には入居できる物件、百歩譲っても夏までに完成する物件の中から選択するのがいいでしょう。

対策その2:頭金を増やす

資金的に余裕のある人は、頭金を増やすことで問題を解決することができます。2年先の物件を契約した、あるDINKSの計画をご紹介しましょう。お話では、2年間で8百万円の頭金増額を目標とし、奥さんの給与を全額貯蓄するのだそうです。「2年間だけ耐乏生活すれば2年先は楽だから」と。

対策その3:少額手付契約にして最悪の場合は諦める

乱暴な意見と非難されるかもしれませんが、「とても気に入った物件を見つけたが、完成時期だけがネック」。このような場合は、売主と交渉して手付金を極力少なくして契約しましょう。そうしておいて、堪えがたい高金利になったときは手付金を放棄して解約する道を選ぶのです。

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低金利時代が長く続いています。金利が一段と下がったとき、「空前のこと」と感じたものでしたが、黒田東彦氏が総裁になってからの日銀は政府と共同歩調を取っているかのようで、そのおかげで「絶後」の超低金利時代となりました。

金利は、借りる側だけでなく預ける側にも影響を与えます。マイナス金利なんて世の中おかしいよという向きも増えている昨今、来年は転換点を迎えるかもしれません。

マンション購入を検討している人も、既にローンを返済している人も対策が必要になるかもしれません。一方、そのことが売買の市場にも影を落とすかもしれません。つまり、購買力が低下し、マンション販売に影響を与える心配です。

心配とは、新築マンションの価格下落を招く、つまり売り手に価格引き下げ圧力がかかるというだけでなく、買い替えを計画中の個人オーナーにとっても、自宅の売却見込み額を狂わせるかもしれないということを意味します。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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