買ってはいけないマンションあれこれ

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

2年くらい前に書いた「マンション選びの法則 12か条」で述べたことに関連して、「できたら避けたいマンション」についてお話ししようと思います。

先ずは「マンション選びの法則 12か条」をおさらいします。

●マンション選びの法則 12か条

1)高い物は高く、安い物はより安く

「安く買えば、それだけお得になる」この一見正しそうな論理は反対の結果になることがあります。

都心のマンションは、新築も高く、中古も旺盛な需要に支えられて価格は強含み、つまり、都心のマンションは中古になっても値下がりしにくいのです。

これに対し、郊外マンションは、比較的安い価格で供給ができますが、中古マンションも都心ほどの需要がないために、価格は常に弱含みとなります。

都心のマンションは150で買っても20年後に100くらいに留まり、郊外マンションは100で買っても20年後は50になってしまうといったことが起こります。

2)バス便物件が値上がりすることはない

「高い物件はより高く、安い物件はより安く」という法則は、そのまま駅近マンションとバス便マンションとの差にも当てはまります。

バス便マンションは、多くの場合で環境の良さと価格の安さを「売り」に販売されます。
しかし、通勤を犠牲にしてバス便を選択する人の絶対数は少ないので、販売に苦労するケースが多く見られます。

バス便マンションは需要が少ないので、中古になっても同様に買い手を見つけるのに苦労することになります。そのために価格は下方圧力を受けることになります。

3)利便性と環境の良さは両立しにくいものだ

数万坪の大規模な再開発が駅前で行われると、道が綺麗になり、公園が整備され、街並みががらりと変わります。マンションと商業施設が誘致され、便利で環境も良い理想的な住宅街が完成します。

武蔵小杉が最も有名ですが、このような街は稀有です。

また、環境の良い住宅街を縫うように走る私鉄沿線がありますが、このような場所で駅前にマンション用地を確保することは極めて難しく、これまでの実績では、旧・住宅公団アパート(分譲)の建て替え例(京王線「桜上水」駅前に広がる「桜上水ガーデンズ」)くらいしか浮かんで来ません。

結局、駅に近いマンションは、喧騒の中にあるか、既存のビルに囲まれたような位置になるので、良い環境条件を併せ持つことはないと思った方が正解というわけです。

4)再開発で誕生の人気マンション。その価格は10年後のもの?

再開発エリアのマンションの中には、分譲価格が現状とマッチしない高値のものが少なくありません。再開発のグランドデザインがほぼ固まっているケースは、完成後の価格を織り込んだレベルになっているのです。

開発業者は、「再開発のグランドデザインはとても魅力がある。これなら高値でも売れる」そう踏んで、用地争奪戦で高い札を入れて行くからです。

再開発で街の魅力は倍加し、従って値上がりすると期待して多くの購入者が集まるのですが、価格は言わば10年後の価格が設定されているので、中古価格は期待ほどにはならないのです。

5)枝線より幹線・支線より本線

幹線鉄道とは主要鉄道のことで、枝線鉄道とは主要鉄道から枝分かれしている鉄道のことと定義しておきます。一方、幹線鉄道は東京都心とダイレクトにつながる鉄道ということです。

駅近マンションは、高くても人気があるものです。首都圏住民は利便性を優先する多忙な人が多いからです。

しかし、幹線鉄道の駅前は既に建物が密集していてマンションが新しくできそうな空地はなかなかないもので、販売物件は待てど暮らせど出て来ません。たまに売り出されると手が出ないほどの価格であったりします。

そこで、仕方なく1回乗り替えを覚悟し枝線の物件に目を向けるという選択をする人も出て来るわけですが、幹線・本線鉄道の駅のマンションの人気には敵いません。

6)「駅から近い」は徒歩5分までのこと

駅に近いとか遠いとかいうときの基準には個人差があります。

しかし、新築マンションの売れ行きを見ていると、「10分を超えると人気がなく、5分以内は人気を博する」という傾向があります。

中古マンションとして売り出すときも同様で、駅に近いという印象は5分前後までと認識しなければなりません。

7)マンションの価値は立地で決まる

マンションの価値を大きく左右するのは立地条件です。立地さえ良ければ建物はどんなものでも構わないというほど単純ではないものの、マンションの価値は立地がすべてと言ってよいほど比重が大きいのです。

立地が良いとは、駅に近いこと、その駅が都心や都心に近い駅であること、その駅から都心へのアクセスが良いことなどを意味しますが、先に述べたように「駅から近いとは徒歩5分以内」ですし、「鉄道は幹線・本線の駅」が条件になるのです。

8)中古マンションは新築より安いとは限らない

一般に中古マンションは新築より安いと言われます。事実そうです。しかし、中には新築を上回る高値の取引が行われている中古マンションもあるのです。

新築は高いので最初から中古に狙いをつけて探す人もいますが、中古の中で「より条件」の良い物件を求めて行くと、新築と大差がない価格であることに気付くはずです。

都心や人気の街にある優良な中古は、新築並みの結構な値段と思わなくてはなりません。マンションの価値を左右する比重が高いのは立地だからです。

9)業者が売主のリノベーション物件は割高

中古マンションは、築40年近いものになると、レトロな印象の中に味のある建物もないことはないですが、多くは見映えが悪く見学しても購買意欲が湧かないものです。

そこで販売促進のために、専有部分だけでも新品同様にしようという策が自然に登場して来ます。つまり「リフォーム」です。

所有者が居住したままでリフォームするのは難しいですが、移転してからなら思い切った工事が可能になります。

思い切った工事、すなわち設備機器の交換をはじめ、間仕切りも換える「リノベーション」です。

リノベーションは、玄関ドアや窓のサッシなどを除けば、新築マンションのモデルルームにも劣らない、むしろ斬新な印象を放つマンションを誕生させます。

その綺麗でお洒落で、賃貸マンションでは見られない先進の設備を備えたリノベーションマンションは、見学者の購買意欲を高めるのに威力を発揮します。

リノベーション物件は、ほぼ例外なく売主が個人ではなく業者です。中には大手仲介業者も含まれますが、大半は無名の不動産業者で、本業はリフォーム事業だったりします。

築40年を超えるような物件は中々買い手が付かないので、個人売主は業者に買い取ってもらう道を選択します。買い取り業者は安く仕入れ、リノベーションを施して販売するわけです。、そのとき信じられないような利潤を加えたものが見られます。

リノベーション物件は割高なものが多いと思った方が当たっています。

10)直貼り床はローコストマンションの象徴

直貼り床のどこがいけないのでしょうか? 二重床にしないと階下に生活音を響かせるのでしょうか? いいえ、必ずそうなるとも言えないのです。

遮音性は、コンクリートの厚さや梁から梁までの長方形面積、施工方法、施工精度など様々な要素が絡み合って差ができるものです。

直床構造の最大の問題は、将来のリフォームが制約を受けやすいということです。大掛かりな間仕切り変更を計画したときに初めて気づくという問題点なのです。

ローコストマンションは、規格型の設計にして特別な材料も部品も極力使わないこと、作業工程を減らして時間と手間をかけずに労務費を抑えることによってローコストとしていることが特徴です。直貼り構造も、コストダウン策のひとつに位置づけらるものです。

あるマンションの広告でこんな文言(コピー)を見つけました。

「洋服のように簡単に替えのきかないのが住まいであろう。貴方の人生を纏う(まとう)住まいだからこそ、選び抜かれた生地で、仕立てにこだわり、着心地がいい、そんな住まいであって欲しい」

ローコストマンションは、この対極にあるマンションと言えます。ローコストマンションの象徴、それが直貼り工法です。  

11)ブランドマンションには安心料が含まれている

欠陥住宅・欠陥マンション騒ぎが何年おきかに発生します。 その報道を見聞きした人は、自分だけはそのような住宅・マンションを掴まないようにしなければとの思いを強く抱きます。

しかし、素人にとって欠陥かどうかの見極めは簡単なことではありません。 実は専門家でも蓋をされてしまうと見抜けないのです。

悪意はなくてもスキル不足や管理ミスなどで粗悪なマンションができてしまうのも事実です。

そこで買い手は「より安全な製品」を選択するための物差しとして、「大手マンション業者」や「大手ゼネコン」などの看板を頼りとします。

ブランドマンションは高いが、しばしば 「安心料だと割り切って買いました」という声を聞きます。

大手なら、しっかりと品質管理、すなわち施工過程をチェックし、欠陥マンションの発生をゼロにしてくれるだろうと、漠然としたイメージではあるものの、期待と信頼感によって商品を選択しているというわけです。

構造的な部分の瑕疵は法的に担保されています。中小業者でも「保険加入」が義務付けられているので一定程度は補償されます。ただ、竣工から10年を超えてしまったら、法的には業者に補償責任はなくなるのです。

ある日突然マンションが倒壊するなどということは万に一つもないと信じたいですが、巨大地震が来たときなどに、想定外のことが起こらないとは誰も断言できません。

分譲マンションの歴史は、まだ50年あるかなしかです。この長いとは言えない時間の中で経験を積んだデベロッパーの中には高い授業料を払ったこともあるのです。それが今日の企業活動につながり、今日の地位とブランド価値を高めて来たとも言えます。

大手マンション業者、大手ゼネコンのブランド価値は、安心という付加価値を生んでマンションの資産価値の向上に直結しています。付け加えると、売却時に次の買い手を安心させる要素として大きな意味を持つことになるのです。

12)大規模マンションは小規模マンションに優る

単棟のタワー型マンションにせよ、中高層の多棟型マンションにせよ、大規模マンションはスケールメリットがもたらす付加価値が豊富です。

共用施設が充実しており、その恩恵にあずかれるからです。

タワー型なら、絶景を楽しむことができる展望ラウンジ、両親を呼んで歓待することが可能なゲストルームなどが定番の施設です。

広大な敷地に複数の棟を配置した大規模マンションでは、敷地内公園や散策路・遊歩道、人工の親水公園などが併設されています。

子育て世代が多いエリアでは、雨の日も子供が走り回れるキッズルームや保育所を併設したものも見られます。

エントランスホールやロビーの大きさも違います。広いだけでも立派に見えるものですが、中には2階に設けたロビーへエスカレーターで移動する形式の大規模タワーマンションも少なくありません。

これらの施設は、小規模マンションでは造りえないものです。

管理サービスの面では、コンシェルジュを置き、入居者の様々な利便に答える体制を整えているのも大型ならではです。

●理想を追うと買えない

以上の12か条を全部満たすマンションはほぼ存在しないと言えるでしょう。「ないものねだり」、「理想主義」という批判を受けるようなものです。

従って、12か条の内のどれかを優先し、どれかを無視または下位の選択条件にすることが必須です。

マンション探しの旅に出た人の中には、「青い鳥症候群」に陥る人がいます。

理想と現実とのギャップに不満を感じるあまり、理想を求めて次々に新しいものを手に入れようとするような動きを指す言葉と思いますが、沢山の物件見学を行ない、沢山の知識と情報を詰め込み、それが仇となって迷走してしまう人のことです。

研究をすることは良いことですが、理想像を捨てきれず、何か月経っても購入に至らない人が現実に少なくないと聞きます。

仕事の合間にマイホーム探し、実は簡単ではないのかもしれません。それを効率よく、ひどく遠回りせずに購入に至るコツは、条件に優先順位をつけること、枝葉末節を思い切って切り落とすこと、妥協すべき条件と妥協できない条件を整理して選ぶことです。

優先すべき条件は「立地」です。駅から近いこと、都心に近いこと、都心にダイレクトアクセスの鉄道利用であることなどです。

しかし、その条件に当てはまっていたら建物条件は軽視していいわけでもないのです。次は、できるだけ大きいもの、ブランド力のあるものなどが続きます。

住み心地の視点で避けたいマンション

こうしたことを意識しながら選別をして行く過程で、つい選択してはいけないマンションに惹かれてしまうことがあります。そのとき何を第一条件にするべきでしょうか?

住まいの基本は、居心地がいいことです。ストレスを感じることが少ない住まいであることが重要と言えます。一言で表せば「快適」なことです。

快適な住まいは、言い換えればストレスのない住まいということです。

快適と言えない住まい、ストレスになりそうな住まいとは、例えば次のようなものです。

駅から遠い:遠ければ最寄りの駅まで真夏は汗だくになって不快な気分を味わうことでしょう。買い物のために重い荷物を抱えて駅前と家を往復しなければならないかもしれません。マイカーを使って買い物をしているが、駐車場の前で長く待たされるなど・・・

寝室の隣のトイレの排水音が響く:遮音性の低い造りだったのです。神経質な妻は愚痴をこぼします。

バルコニーの先が隣家の壁:プライバシーが侵害される気がする。うっとうしいなどの印象を持つことっでしょう。

子供が騒ぐので1階住戸を買ったが、冬は寒い:床下に断熱材を入れているという説明だったが、底冷えするような感じがしてしまう。2階の住民に尋ねたが暖かいという。床暖房も効果が低い気がして後悔している

このような例を挙げるとキリがありませんが、「住み心地」という観点は何よりも優先するのです。

資産価値の視点で避けたいマンション

次は、マンションの資産価値という観点から「買ってはいけないマンション・なるべく避けたいマンション」について整理して行きましょう。これは、先の12か条の裏返しでもあるのですが、ずばり直截的な言葉でお伝えしようと思います。

1)管理人不在マンション

いわゆる「巡回方式」の管理は、清掃人は毎日来てくれるものの、管理人は1週間か2週間に1回しか来ないという管理体制のものです。

管理人の業務は多岐に渡りますから、それを巡回でこなすということは、言ってみれば「間引き管理」です。誤解を恐れずに言うなら「手抜き管理」なのです。

管理人を置かないのは、管理費が高くなるからです。管理費が高いと販売がしにくいので、好ましくないと知っていながら、分譲主は「巡回管理」の設定で販売してしまいます。

管理費が高くなるのは、戸数が少な過ぎるからにほかなりません。

高級・高額マンションの場合は、管理費の負担をさほど気にしない高給取りが住むので、管理人を少なくとも1日8時間以上の勤務で、きめ細やかな管理業務に当たらせるものです。

管理人不在マンションは、ルール違反者を取り締まることもできないので、美観を損ねるマンションとなってしまったり、長い間に建物劣化を進ませてしまったりと、良いことは何もありません。

12か条の12番目に掲げた「大規模マンションは小規模に優る」という根拠の一部は、この管理体制の差でもあるのです。

2)小さ過ぎるマンション

管理人不在マンションは小型マンションであると断定していいのですが、小型の基準については書きませんでした。多少の幅があるためです。イメージ的には、50戸未満と言えます。

この項では「小さ過ぎる」と表現しましたので、戸数規模では30戸未満と定義しておきます。1フロア当たりの戸数では2戸か3戸のイメージです。

3戸で10階建てなら27戸(1階に住戸はないので9層)です。14階建てなら39戸となりますが、小型の高層マンションで、戸数より1フロアの面積が狭いという条件が加わることになります。

小さ過ぎると、差別化が図りづらいのです。高層の場合では、ひょろひょろとした恰好、あるいはペンシル型のフォルムとなります。中低層でも同じですが、建物価値を高く見せるには、ある程度の大きさが必要です。

例えば、エントランスを豪華にしたいと思っても小さいマンションでは自ずと限界があります。建物全体に風格を持たせたいとしても、周囲の建物に囲まれてしまうと存在すら否定されてしまうかのようです。

しかし、一戸建ての住宅が長く続く街並みの中なら20戸の低層マンションでも目立つ存在になることでしょう。

結局、大きい、小さいは相対的なものです。500戸級のメガTowerマンションが並ぶエリアでは100戸程度の高層マンションなら霞んでしまうことでしょう。

3)直貼り床構造のマンション

直貼りマンションは、リノベーションがしにくいという欠点があります。間仕切り変更をしないなら問題はありませんが、水回りの移動をしようとすると、床を転がす配管スペースが取れず、断念しなければなりません。

その程度なら別に大したことではないとと思われるかもしれません。ここで「避けたいマンション」に掲げるのは何故でしょうか?

それは、直貼り構造がローコストマンションの象徴と考えると、他にも何かあると疑わざるを得ないからです。住んで行くうちに、何かしら不都合が出て来るのではないか? 粗悪品でもないし、危険な建物でもないはずですが、住み心地に不満を感じるときが来るに違いないと、は疑った方がいいのです。

後悔したくない人は避けておくべきです。

4)半地下・地下のマンション

半地下・地下住戸を設けたマンションをときどき見ます。とても売りづらい住戸です。価格を少し下げたくらいでは解決できない難しい販売課題を背負う住戸です。

そんなものを何故わざわざ作るのかと思われるでしょうが、髙い土地を法的制限いっぱいまで有効に活用したいからです。ひとつの土地に100戸建てるか90戸建てるかでは採算性が全く違ったものになります。法的に許されるなら、100戸まで建てる方が、1戸当たりの土地原価は下がります。それだけ販売価格を抑えられます。

逆に言えば、100戸建てないと販売価格が高過ぎて売れない、すなわち儲からないからです。

半地下・地下住戸が多いのは、第1種低層住居専用地域に線引きされた一戸建て住宅街の中の低層マンションです。

半地下・地下住戸は売りにくいので、価格を安くしたほかに上階にはない付加価値をいろいろ考えて商品化します。

例えば、敷地境界線一杯まで広いテラスまたは庭を作ります。このテラスは隣の敷地または道路レベルから見ると深さ1メートルから2.5メートルの穴状となります。建築用語では「ドライエリア=空堀からぼり」と言います。

このテラスまたは庭の先が公道である場合は、通行人からの視線を遮断するために密集した植栽を施すなどの工夫をしますが、それでも売れないケースが少なくありません。

人間心理は、隠されるとよけいに見ようとするものです。樹木の間には隙間があるので、ついつい先を見ようとしてしまうのです。

庭では夏なら子供がビニールプールで水遊びをしたりしているのでしょうし、大人はゴルフのスイングを練習したりするのかもしれませんが、視線を奥へと移せばリビングルームまで見えてしまわないかと他人事ながら心配になってしまいます。

まあ、立ち止まって中を覗く通行人はいないでしょうが、購入者心理としては抵抗が小さくないはずです。

(地下住戸に限らず、例えば1階住戸でもプライバシーを侵害されそうな位置の住戸は少なくありません)

本来、家は無防備にリラックスして過ごせるような造りが必要条件です。

そのほかにも、洪水に遭わないか、湿気対策はどうなっているのか、セキュリティは大丈夫かなどと買い手に去来する地下住戸への心配事は少なくありません。

地下住戸が価値を持たない(低い)の理由の一番は、人は低い所より高い所に住みたがるからです。

売却時、このような買い手に不安・疑問を持たれる半地下・地下住戸は避けておきたいマンションの最たるものかもしれません。

5)販社は一流でも零細企業が売主のマンション

無名なデベロッパーは、一流企業や有名企業のネームバリューを利用しようとします。その方法は事業提携です。提携の形態はいくつかあります。ひとつは、共同事業です。販売提携という方法もあります。

前者は、売主としての共同責任があるので、大手と組んでくれれば、買い手にとっては安心です。ところが、販売だけの提携は買い手にとって何の意味も持ちません。

売主にとっては、大手の販売力(知名度を生かした集客力)に一定の期待をかけて事業を推進することができるでしょうが、買い手はアフターサービスも10年間の瑕疵担保責任も大手販売会社に求めることはできないのです。

ところが、販売広告・販売ツールに有名企業が掲載されてあると、さも有名企業の売り物と錯覚してしまう買い手も少なくないのです。

冷静に考えれば分かることではあるのですが、錯覚は人を思わぬ方向へ誘導してしまうものです。

とまれ、大事なことは売主がどんな企業であるかです。マンションメーカー(デベロッパー)としての経験・実績はどうなのか、大手と比べて引けを取らない品質の建物を提供してくれるのか、アフターサービスは大丈夫か、万一のことがあったとき、満足すべき対応をしてくれるのか、財務基盤は堅固であるか、経営危機に陥ったときはどうなるのかといったことも考えて行くと、零細なマンションデベロッパーから購入するのはハイリスクです。

7)価格が高過ぎるマンション

資産価値の観点から、避けたいマンションというテーマで書いてきましたが、価格が高いマンションの大半は実は資産価値が高いのです。しかし、資産価値を売却価値と置き換えると、思ったほど(期待したほど)高い値が付かなかったと落胆する場合があるのです。

それは相場が急上昇したような時期に買ったマンションで見られる特有の現象です。

赤信号みんなで渡れば怖くないという交通標語がありました。それと同じで、高いと感じながらもよく売れている、人気があると思われるマンションは価値あるものと思い込む人間心理があって、怖がらずに買ってしまうのです。

しかし、相場は動くのです。高いときに買ってしまうと、タイミングによっては売却時に損失が大きく出る場合が多いのです。値上り前の低相場のときに買ったマンションは、売却価格が期待した以上になったりします。

これと同じで、相場が低位で推移しているような時期に買っても、それが突出して高いマンション(住戸)だったりすれば、売却価格は期待を裏切るのです。

例えば、東南の角の最上階のルーフテラス付き住戸が1戸だけあって、そこだけ飛び抜けて高いことを知っていたが、希少価値が高いのでリセール価格も大いに期待できると信じ買った。しかし、全く期待外れということがあります。

稀少価値がある、最も価値ある住戸であることは間違いなかったものの、価格がその価値以上に高く設定されたためです。いくら価値があると言っても、限度はあるのです。

タワーマンションの上下格差も同様です。眺望価値が高いので価格は下層階に比べて大きな金額を乗せるのが普通ですが、中古市場では新築時の価格差ほどの差にはならないのが実態です。

例外もある

世の中には、何事も例外はあるものです。小さ過ぎるマンションであっても、平均100㎡で15戸ののマンションは全体で1500㎡となるので、半径300メートル四方が一戸建て住宅街のマンションなら、その辺りで一番大きなお屋敷を凌駕する規模となりましょう。

マンションは100㎡の平面を買うのではなく、1500㎡全体の価値を買うのです。全体が相対的に大きく、上質または高級なマンションなら、たとえメガマンションの10分の1しかない小型マンションでも価値あるマンションとなるのです。

また、そのような高級なお屋敷街なら、規模が小さかろうが、駅から10分かかろうが、買いたい人が現われます。

住みたくても提供されることが滅多にない立地ゆえです。そして、価格もそれなりのものとなるのです。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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