パワーカップルという新・富裕層の増加が変えるマンション市場

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マスコミは新語を生み出すのが得意ですね。マンションの世界でも何年か前に「タワーマンション」という言葉を登場させましたが、いつの間にか定着してしまいました。

業界以内では、元々は超高層マンションと呼んでいたのですが、いわゆる板状型の超高層もあったので、筒状の超高層と区分したかったのでしょうか?

「湾岸」というのも割に新しい言葉です。以前は、ウオーターフロントと呼んでいた記憶がありますが、今では湾岸が短縮形で時代に合うのでしょうか。有名なブロガーの「のらえもん」さんは湾岸の妖精というニックネームを持ちます。

「DINKS」という言葉も、社会学者ではなく、マスコミが発明した言葉だったと思います。そのころはデュークスという言葉も同時に出ていました。

DINKSはDouble Income NO Kids の頭文字、DEWKSは、Double Employee
 With Kids の頭文字です。

最近の新聞では、「パワーカップル」という聞きなれない言葉を発見(2017年4月22日の日経新聞)しました。

「共働き経済圏動く」という見出しの記事でした。夫婦ともフルタイムの共働き世帯の増加によって消費の姿が変わりつつあるという内容で、家事の時間節約につながる商品・サービスが受けているというものでした。

家事代行サービスや大型冷蔵庫が好まれる、宅配便の増加、そして都心マンションが人気だと紹介していました。そして、パワーカップルという言葉の意味は世帯年収が高いので購買力が高いことのようでした。

なるほど言い得て妙な表現と思いました。

それはともかく、パワーカップルの増加はマンション市場をどう変えるのでしょうか?既に大きな潮流を生み出しているのですが、これについて補足をしておこうと思います。

● パワーカップルは多忙だから都心を選ぶ

通勤時間が長いのは困る。フルタイム共働き世帯にとって、職住近接は絶対条件のようなものです。特に子供ができたDEWKS世帯は一段と切望します。

しかし、都心のマンションは中古でも高いものです。普通なら若い世帯には手が出ないと想像しがちです。ところが、パワーカップルは、やすやすと1億円に近い買い物ができてしまうのです。

今回の値上がり前の底値だったのは2012年でしたが、そこから都心マンションは30%も値上がりしました。23区のデータでは2012年が264万円(坪単価)でしたが、2016年には332万円に達したのです。都心は@400万円以上となっています。

比較的手ごろな価格で評判だった湾岸マンションも、@300万円は下らない状況にあります。

70㎡(21坪)なら7000~8000万円が当たり前の時代となってしまったのです。それでもパワーカップルは購入することが可能です。世帯年収が高いからです。二人合わせれば高額所得者なのですね。

この実態を筆者は3年以前に気付きました。仮にXさん夫婦としましょう。Xさんは大手商社勤務、奥さんは大手証券勤務、結婚して半年だというのですが、Xさんは結婚時点で海外勤務だったので、いきなり単身赴任だったようです。それも解かれ間もなく真の新婚生活を始めるためのマンションを探しているということでした。

そのときに候補に選んだマンションの価値について相談を受けた筆者は、面談して勤務先と年収など資金内容をお聞きして納得したことを今も鮮明に覚えています。

最近は、キャリアの国家公務員カップル、有名なIT企業にお勤めの夫とメーカー勤務の妻というカップル、生保勤務の夫と出版社勤務の妻というカップルなどからご相談を受けました。年齢の幅があるのですが、少ない予算のカップルでも7000万円弱、多い人で1億円強、平均では8000万円くらいでしょうか?

住宅ローンが空前の低金利で利用できるうえに世帯年収が多いので、高額マンションが買えてしまう若いパワーカップルの実態がよく伝わってきます。

 購買力が伸びれば都心マンションは値下がりしにくい

価格の高騰は客離れを起こし、やがて値引き販売が増えるでしょうし、新築物件の価格も頭打ちになるはずです。その予想は基本的なところでは変わりませんが、パワーカップル需要の台頭を見てしまうと、マンション価格も都心に限れば値下がりへ転じるのは遅くなるのかもしれないと思わずにはいられません。。

今後もパワーカップルは増加を続けることでしょう。その層が厚みを増すとき、都心の物件は新築も中古も値下がりしにくい側面を持つことになるはずです。

● 専業主婦家庭は外周部へ?
一方、夫一人の稼ぎで生計を立てる家庭もパワーカップルの以上に多いわけですが、この階層はどのエリアでマンションを求めているのでしょうか?

もちろん勤務地の違いや、これまで住んでいた場所との関係、あるいは実家との距離といった「地縁性」があるので、場所は千差万別ですが、共通しているのは都心から少し離れた外周部の物件を検討しているという感じがします。つまり、遠く離れた物件は敬遠する傾向を感じます。

資産価値を重視する人が多くなっているからでしょうか?いざというとき、売りやすい・貸しやすい、そんな物件であるかどうかという視点を共通して持っている印象が強いのです。

買い替え計画をお持ちの、あるご相談者は「子育てにめどがついたので妻が働き始めたが通勤が大変なので郊外から都心に住み替えたい」と動機をお話しくださいました。この方もパワーカップルの仲間入りをしたのです。

● パワーカップルは新・富裕層
話をもとに戻しましょう。パワーカップルは、二人の所得を合わせると紛れもなく富裕層に分類できます。敢えて「新・富裕層」と名付けます。

パワーカップルの増加は、高額マンション需要層に厚みをもたらします。需要が増えれば新築だけでは足らないので、中古の人気も高まります。つまり、都心では中古マンションは値下がりしにくいことになるのです。

もちろん、すべてのマンションが値下がりしないわけではありません。マンション同士の競争は必ず起きるのです。都心の中古マンションは全体的に底上げされるとはいえ、ある物件は100で買われ、別の物件は150で買われていくという差はできます。

随分高くなったものだ。こんなに高いマンションを一体全体、どこの誰が買うのか。そんな疑問は解けたはずです。同時に、高くても強いのが都心のマンションだということも何となくお分かりいただけたかと思います。

そもそもモノの値段は需要と供給のバランスで決まるものです。新築マンションの供給は、このブログで何度も語ってきたように、ひと頃に比べると大幅に減ってしまいました。そこに新富裕層が増えて都心需要が増えれば、都心マンションの資産価値は、ますます下落しづらいことになるのです。

あとは、個別の価値を見極めることです。都心は大体どこも好立地なので、別の面で差が生まれるものです。駅に近いのが普通のことであるなら、駅前や駅直結が格差を生むでしょうし、10階建てより40階建ての方が良いことが多いでしょう。ブランド力のあるマンションの方が無名のマンションより高く評価されるに違いないのです。

20年を超える中古なら、メンテナンスの差が価格の差を生んでしまうはずです。

このようなことを思い描きながら、これからも読者の皆さんのお役に立てるよう、一層の研鑽を積んで行こう。そんな思いを強くした今日でした。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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