パワーカップルという新・富裕層の増加が変えるマンション市場
- 2017.06.30
- マンション市場
★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツーをご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください★★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
マスコミは新語を生み出すのが得意ですね。マンションの世界でも何年か前に「タワーマンション」という言葉を登場させましたが、いつの間にか定着してしまいました。
業界以内では、元々は超高層マンションと呼んでいたのですが、いわゆる板状型の超高層もあったので、筒状の超高層と区分したかったのでしょうか?
「湾岸」というのも割に新しい言葉です。以前は、ウオーターフロントと呼んでいた記憶がありますが、今では湾岸が短縮形で時代に合うのでしょうか。有名なブロガーの「のらえもん」さんは湾岸の妖精というニックネームを持ちます。
「DINKS」という言葉も、社会学者ではなく、マスコミが発明した言葉だったと思います。そのころはデュークスという言葉も同時に出ていました。
DINKSはDouble Income NO Kids の頭文字、DEWKSは、Double Employee
With Kids の頭文字です。
最近の新聞では、「パワーカップル」という聞きなれない言葉を発見(2017年4月22日の日経新聞)しました。
「共働き経済圏動く」という見出しの記事でした。夫婦ともフルタイムの共働き世帯の増加によって消費の姿が変わりつつあるという内容で、家事の時間節約につながる商品・サービスが受けているというものでした。
家事代行サービスや大型冷蔵庫が好まれる、宅配便の増加、そして都心マンションが人気だと紹介していました。そして、パワーカップルという言葉の意味は世帯年収が高いので購買力が高いことのようでした。
なるほど言い得て妙な表現と思いました。
それはともかく、パワーカップルの増加はマンション市場をどう変えるのでしょうか?既に大きな潮流を生み出しているのですが、これについて補足をしておこうと思います。
● パワーカップルは多忙だから都心を選ぶ
通勤時間が長いのは困る。フルタイム共働き世帯にとって、職住近接は絶対条件のようなものです。特に子供ができたDEWKS世帯は一段と切望します。
しかし、都心のマンションは中古でも高いものです。普通なら若い世帯には手が出ないと想像しがちです。ところが、パワーカップルは、やすやすと1億円に近い買い物ができてしまうのです。
今回の値上がり前の底値だったのは2012年でしたが、そこから都心マンションは30%も値上がりしました。23区のデータでは2012年が264万円(坪単価)でしたが、2016年には332万円に達したのです。都心は@400万円以上となっています。
比較的手ごろな価格で評判だった湾岸マンションも、@300万円は下らない状況にあります。
70㎡(21坪)なら7000~8000万円が当たり前の時代となってしまったのです。それでもパワーカップルは購入することが可能です。世帯年収が高いからです。二人合わせれば高額所得者なのですね。
この実態を筆者は3年以前に気付きました。仮にXさん夫婦としましょう。Xさんは大手商社勤務、奥さんは大手証券勤務、結婚して半年だというのですが、Xさんは結婚時点で海外勤務だったので、いきなり単身赴任だったようです。それも解かれ間もなく真の新婚生活を始めるためのマンションを探しているということでした。
そのときに候補に選んだマンションの価値について相談を受けた筆者は、面談して勤務先と年収など資金内容をお聞きして納得したことを今も鮮明に覚えています。
最近は、キャリアの国家公務員カップル、有名なIT企業にお勤めの夫とメーカー勤務の妻というカップル、生保勤務の夫と出版社勤務の妻というカップルなどからご相談を受けました。年齢の幅があるのですが、少ない予算のカップルでも7000万円弱、多い人で1億円強、平均では8000万円くらいでしょうか?
住宅ローンが空前の低金利で利用できるうえに世帯年収が多いので、高額マンションが買えてしまう若いパワーカップルの実態がよく伝わってきます。
● 購買力が伸びれば都心マンションは値下がりしにくい
価格の高騰は客離れを起こし、やがて値引き販売が増えるでしょうし、新築物件の価格も頭打ちになるはずです。その予想は基本的なところでは変わりませんが、パワーカップル需要の台頭を見てしまうと、マンション価格も都心に限れば値下がりへ転じるのは遅くなるのかもしれないと思わずにはいられません。。
今後もパワーカップルは増加を続けることでしょう。その層が厚みを増すとき、都心の物件は新築も中古も値下がりしにくい側面を持つことになるはずです。
● 専業主婦家庭は外周部へ?
一方、夫一人の稼ぎで生計を立てる家庭もパワーカップルの以上に多いわけですが、この階層はどのエリアでマンションを求めているのでしょうか?
もちろん勤務地の違いや、これまで住んでいた場所との関係、あるいは実家との距離といった「地縁性」があるので、場所は千差万別ですが、共通しているのは都心から少し離れた外周部の物件を検討しているという感じがします。つまり、遠く離れた物件は敬遠する傾向を感じます。
資産価値を重視する人が多くなっているからでしょうか?いざというとき、売りやすい・貸しやすい、そんな物件であるかどうかという視点を共通して持っている印象が強いのです。
買い替え計画をお持ちの、あるご相談者は「子育てにめどがついたので妻が働き始めたが通勤が大変なので郊外から都心に住み替えたい」と動機をお話しくださいました。この方もパワーカップルの仲間入りをしたのです。
● パワーカップルは新・富裕層
話をもとに戻しましょう。パワーカップルは、二人の所得を合わせると紛れもなく富裕層に分類できます。敢えて「新・富裕層」と名付けます。
パワーカップルの増加は、高額マンション需要層に厚みをもたらします。需要が増えれば新築だけでは足らないので、中古の人気も高まります。つまり、都心では中古マンションは値下がりしにくいことになるのです。
もちろん、すべてのマンションが値下がりしないわけではありません。マンション同士の競争は必ず起きるのです。都心の中古マンションは全体的に底上げされるとはいえ、ある物件は100で買われ、別の物件は150で買われていくという差はできます。
随分高くなったものだ。こんなに高いマンションを一体全体、どこの誰が買うのか。そんな疑問は解けたはずです。同時に、高くても強いのが都心のマンションだということも何となくお分かりいただけたかと思います。
そもそもモノの値段は需要と供給のバランスで決まるものです。新築マンションの供給は、このブログで何度も語ってきたように、ひと頃に比べると大幅に減ってしまいました。そこに新富裕層が増えて都心需要が増えれば、都心マンションの資産価値は、ますます下落しづらいことになるのです。
あとは、個別の価値を見極めることです。都心は大体どこも好立地なので、別の面で差が生まれるものです。駅に近いのが普通のことであるなら、駅前や駅直結が格差を生むでしょうし、10階建てより40階建ての方が良いことが多いでしょう。ブランド力のあるマンションの方が無名のマンションより高く評価されるに違いないのです。
20年を超える中古なら、メンテナンスの差が価格の差を生んでしまうはずです。
このようなことを思い描きながら、これからも読者の皆さんのお役に立てるよう、一層の研鑽を積んで行こう。そんな思いを強くした今日でした。
・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。
大好評!!「マンション価格の10年後を予測する」
将来の価格を当てるのは簡単なことではありませんが、三井健太のマンション相談室では、あなたの購入マンションの価値及び価格の妥当性を評価したうえで、将来価格をズバリ予測、根拠とともに精緻なレポートとして提供しています。
将来価格(リセールバリュー)を知っておきたい人はとても多く、そのニーズにお答えしようと始めた有料サービスですが、購入が得か損か、買い替えはうまく行くか、そんな疑問があれば一度お試し下さい。
無料の「物件評価サービス」のみのご依頼も従来通りに承っています。
※詳細はこちら http://www.syuppanservice.com/resale-value.html
◆全国のマンション探しはこちらが便利
http://www.syuppanservice.com/suumo.html
CONVERT BREAKS: 1 ★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツーをご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください★★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。
2017/5/20の記事「新築は遅いが中古の値下がりは早い」の中で、「中古マンションの値下がりが近く始まる、その兆しは既に見られる」とお伝えしましたが、先日(2017年6月23日)の新聞でこれを裏付けるような報道があったので、お伝えしようと思います。
新聞には、東京都区部の中古マンションの3分の1が値下げに踏み切ったと出ていました。調査したのは東京カンテイ社で、中古市場に出ているマンションのうち、直近3か月で値下げに踏み切った住戸の割合は5月時点で32.4%だったというのです。
同社の分析では、値下げ例が30%を超えると「値下げが活発な」と言えるそうで、近い将来の価格下落につながりやすいとのこと。値下げが広がる背景には需要の鈍化があると付記しています。
この分析が正しければ、中古マンション購入を検討中の人は焦らない方がよさそうということになりますね。
ただ、意中の物件なり、価格交渉中の物件のある人はどうでしょうか?見送った方がいいのでしょうか?上記の記事を読んだと思われる人からの問い合わせが筆者のところに続けて届いたので、ブログでも所感を述べることにしました。
具体の物件名を書くことは憚りますが、以下は一般論としてご賢察ください。
●売り急ぎのオーナーさんも増えています
中古マンションを売り出す人の事情は一般的にいくつかのパターンがありますが、最も多いのは「ランクアップ住み替え」です。
手狭になったから、もっと職場に便利な場所に住みたいから、子供の通学の便を考えて、眺望の良いタワーマンションに憧れて・・・などです。
もう一つは、「キャピタルゲインを狙った投資家の転売」です。
最近(この1年くらいで)気付いたことは「売りを急いでいるオーナーが増えている」らしいことです。2年前は「売り惜しみ」を感じたものでしたが、逆転したようです。少なくとも筆者の印象はそうです。
マンション価格の値上がりも、もうすぐピークアウトすると盛んに喧伝され始めたからでしょうか?専門家や業界関係者などが「もうピークだ」「高止まった」などと語るからでしょうか?
原因はともかく、高値警戒感は買う側にも売る側にもあるようで、今まさに分水嶺にあるのかもしれません。
売り手は、「下落のトレンドに移りそうだ。早めに売って利益を確定させよう」と強気の姿勢から現実的な姿勢に転換しだしました。筆者に毎週届く中古物件の「値下げ情報」を眺めていると、確信が持てます。
「6980万円で売り出している我が家だけど、6780万円に書き換えてもらいたい。もし買い手さんが指値をしてきたら、6500万円までなら覚悟するつもりもある。とにかく早いとこ決着つけたいので、よろしく」・・・こんな電話が仲介業者に頻繁に届くようになっているとも聞きます。
中には、来年3月に完成する新築マンションに移るための自宅売却を9か月も前の6月から始めた人もありました。値下がりしないうちに買い手を決めておきたいという思惑なのでしょう。もっとも、中古マンションを探している人で9か月先の入居という条件を容認して買ってくれる人があるかは甚だ疑問ですが。
●不動産は夫婦の縁と同じ。大事にした方が良い物件もある
この先、中古マンションの値下がりが始まるとして、それが確実なら慌てて決めることもないわけですが、本当はどうなのでしょうか?
筆者はご相談のあった方には「慌てないで」と言っています。ゆまり、これはという物件に巡り会うまで「じっくり」探すという基本方針をお伝えしています。
ただし、誤解のないようにお断りしておきたい点を最後に書こうと思います。「チャンスかどうかは後になって分かるものであること」、「不動産は夫婦の縁と似ている」ということです。後者について補足しましょう。
夫婦の縁とは「条件」で結ばれるわけではなく、もっと深い何かによって結ばれるものと考えます。
マンションでも同じで、「高いとは思うけど、自分たちにとってふさわしい物件だと思う」や「前々から気になっていたマンションだけど、売り物がめったに出ないので、これを逃すと次はない気がする」、「予算より500万円オーバーです。あと少し頑張るとしても300万円が限界。そこまで下げてくれたら買いますが、300万円下がらないなら縁がなかったと思って諦めよう」などといった決め手を見いだせれば、その物件を買ってよいのではないかと筆者は考えます。
夫婦の絆は損得で結ばれるものでもありません。マンションも優先順位は「生活の向上」や「家族の幸福」などが先で、次が「資産価値」なのです。筆者が常々述べるのは「資産価値」についてですが、「生活の向上」以下、本来の目的を後回しにしていいと述べているわけではありません。個人個人、選択条件も基準も異なるからこそ、他人の筆者が恣意的に言えないだけのことです。
大事なことは、経済的損失を被っても、金銭で測れない精神的価値が高ければ満足度は高いはずです。
見学したとき、この場所、このマンションに住みたいと感じた、その気分を大事にすることも必要です。
自分と家族にとって「ほしいと思うなら、経済的な損得計算は二の次」と敢えて申しましょう。もっとも、「でもやっぱり大損はしたくない」のも人間心理です。そんなときは、筆者の提供する「将来価格の予測サービス」をご利用なさるとよろしいのです。きっと得心できるお答えをお届けできるはずです(笑い)。
・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。
★★★三井健太の「名作間取り選」はこちら https://mituimadori.blogspot.com
★★★「三井健太の住みたいマンション」はこちら https://sumitaimansion.blogspot.com
◆全国のマンション探しはこちらが便利 http://www.syuppanservice.com/suumo.html