第564回「売れていないマンションを物語るチラシ配布作戦」
- 2017.07.15
- マンション市場
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7月14日金曜日、たくさんのチラシが新聞に折り込まれました。いつもの週より随分多いなと思ったら、今日から3連休でした。
「それにしても、遠いところから宣伝にやって来たなあ」と感じさせるものが3件も混ざっていることに、改めて「売れていないのだなあ」と実感した次第です。
読者の皆さんのお住まいでも同様の事象が見られませんか?
短期間に高くなった新築マンションも、連動して上がった中古マンションも、さすがに買い手に見放されて売れ行き不振に陥ってしまったわけで、多くのマンションが店ざらしになっています。
新築の場合は、店ざらしというと正確ではありません。売れる数しか店頭に並べないからです。それ以外の在庫は倉庫の中に眠っているというわけです。
ともあれ、新築は表立って値下げすることもできないので、顧客の動員に苦労しています。広告のデザインを変えたり、価格を未定としてみたり、あの手この手を使って集客を図るものの、思うに任せず、とうとうこんな遠くまでチラシ配布作戦に出たのだと分析せざるを得ないのです。
●値下げすれば忽ち売れるのに
どんなマンションでも価格が安ければ、人里離れた山の中でない限り買い手はつくものです。売れ行き不振は、究極のところ価格が高いことに原因があるのです。
環境が素晴らしい、駅にも近い、建物もハイクオリティである。それでも売れないのは、価格に魅力がないだけのことです。
こう筆者が語ると、一部売り手は「高くないよ」と反論するかもしれません。しかし、高くないとする根拠が近隣の競合マンションと比べているだけだったら、どちらも高いことを意味しています。
その立地では、手の届く需要層が薄いのです。安かったときは100人いた層が、高くなったことで50人に減ったのです。減った顧客をライバル社とともに分け合って結果的に共倒れ状態にあるのです。
こうなると解決策は、価格を下げるしかありません。しかし、これまで買って下さった顧客の前では、たとえ5%でも値下げ販売は打ち出しにくいものです。
メーカーの監視外で小売店が値下げ販売することがあるとブランドに傷がつくから、全て直営小売店にしているのだというブランドバッグメーカーの話を聞いたことがありますが、新築マンションでもこれに似た不文律があるのです。
しかし、それで売れるならまだしも、やっぱり売れないとするなら値引き作戦しかありません。一部のデベロッパーを除き、たとえブランドマンションでも最後は値引き販売に踏み切ってしまうのが現実です。
最後というのは、建物竣工後の在庫販売のことですが、そのタイミングをじっと待つという作戦も買い手にとって悪くないものです。
●中古の値下げは早い
一方、中古マンションは値動きの動きは早いものです。新築マンションの価格引き下げは硬直的ですが、中古マンションは柔軟だからです。
10日前の本ブログ記事「中古マンションがもうすぐ買いやすくなる??」の中で紹介しましたが、東京都区部の中古マンションの3分の1が値下げに踏み切ったと出ていました。
調査したのは東京カンテイ社で、中古市場に出ているマンションのうち、直近3か月で値下げに踏み切った住戸の割合は5月時点で32.4%だったというのです。
新築と違って、中古の売主は殆ど個人です。個人の裁量で、もしくは都合で売り出し価格を決めることができます。同じマンションの別のオーナーの中には、「安く売らないで。自分の部屋を売る価格に影響するのだから」と言う人もあるかもしれませんが、それでトラブルになったという話は聞いたことがありません。
新築マンションは青田売り(建物未完成の段階で販売)するので、売れないから値下げしようと決断するまで平均したら1年くらいの猶予期間がありますが、中古は3か月で変動すると言えそうです。
売りを依頼するとき、仲介業者と交わすのが「媒介契約」ですが、この期間が3か月なので、もちろん契約後2か月で値下げしても問題はないものの、普通は3か月様子を見て決まらないとき、媒介契約を更新するか、他社に乗り換えるか、それとも売却を断念するかを考え、売却を継続するオーナーは、その際に価格を改定することが多いのです。
3か月経過して売れないと、仲介業者は「少し下げていただけないでしょうか」と提案して来ます。経過を見ていたオーナーは、仕方なく値下げ提案(要求)を呑むというわけです。
筆者に情報提供してくれるW不動産の売り出し価格を見ていると、以下のような事例が毎週見られます(抜粋)。最近の情報では130万円から1100万円、2%~8%ほどの幅で価格改定していることが分かります。
(改定前価格⇒改定後価格)(値下げ幅)
6,270万⇒5,980万円 ▼290万円(4.6%)
4,880万⇒4,750万円 ▼130万円(2.7%)
6,450万⇒6,250万円 ▼200万円(3.1%)
7,380万⇒6,980万円 ▼400万円(5.4%)
5,480万⇒5,230万円 ▼250万円(4.6%)
5,380万⇒5,100万円 ▼280万円(5.2%)
7,980万⇒7,690万円 ▼290万円(3.6%)
4,480万⇒4,280万円 ▼200万円(4.5%)
7,280万⇒6,980万円 ▼300万円(4.1%)
6,980万⇒6,420万円 ▼560万円(8.0%)
9,480万⇒8,990万円 ▼490万円(2.0%)
14,000万⇒12,900万円 ▼1100万円(7.8%
10,980万⇒10,480万円 ▼500万円(4.6%)
個人オーナーが自宅マンションを売却するのは住み替えのためです。
売り先行の人もありますが、買い先行の人も多いはずです。つまり、住み替え先を既に契約済みであり、一定額以上で売れないと資金計画が大きく狂うのです。
このため、早く金額を確定させてしまいたいと考えるのでしょう。
人気マンションの場合は中々売り物がないので、出たらすぐ買いたいという人もあるため、何か月も売れずに残っていることも、価格改定に至るとうことは少ないかもしれません。
そのような物件を待ち焦がれる人は、新築のようにじっくり待つというわけには行かないものですが、もし物件を特定していないのであれば、今は慌てない方が良いと言えるでしょう。良い物件に出会えたときも、腰を据えて価格交渉することをお勧めしたいと思います。
・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。
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